昼食は車で一人…安倍元総理銃撃の山上容疑者「職場での暗い素顔」
「できない理由を考えるのではなく……」
演説が始まって、数分後。安倍晋三元総理が、隣に立つ自民党候補者を指さしながら話している時だった。不審な男が安倍元総理の背後、5mほどに近寄る。
ダーン!
男は長さ約40cmの手製の銃から発砲。男が2発目を撃つと、安倍元総理は前方に向かって崩れ落ちた。7月8日午前11時半過ぎ、奈良県奈良市の近鉄「大和西大寺」駅前で起きた前代未聞の元総理銃撃事件だ。
「安倍氏はドクターヘリで奈良県立医科大学付属病院へ搬送されましたが、この時すでに心肺停止の状態だったようです。病院によると、安倍氏の首には5cm間隔で、2ヵ所銃創があっとか。銃弾は胸部にいたり、心臓に大きな穴があき大血管が損傷。病院は20人態勢で治療に当たりましたが、大量の失血が原因で午後5時過ぎに死亡が確認されました」(全国紙政治部記者)
3年間の海上自衛隊勤務で学んだこと


安倍元総理への殺人未遂容疑で現行犯逮捕されたのは、奈良県奈良市に住む職業不詳・山上徹也容疑者(41)だ(奈良県警はその後、殺人容疑に切り替え)。山上容疑者は99年3月に奈良県郡山市の公立進学校を卒業後、海上自衛隊に勤務。02年8月に入隊し、05年8月まで広島県江田島市の第1技術学校などで務めていたという。
「自衛隊任期中に、銃の扱い方を学んだようです。防衛省によると、自衛官は小銃を分解し組み立てる作業を繰り返し教わります。1年に1回は、実弾射撃訓練もするそうです」(同前)
山上容疑者は自衛隊を退職後、ファイナンシャルプランナーや宅地建物取引士などの資格を取得。大阪府内の人材派遣会社に登録し、京都府の倉庫でフォークリフトを操り荷物を運ぶ仕事をしていたという。だが、職場の印象は薄かったようだ。
「口数が少なく、大人しかったそうです。周囲と一緒に過ごすことはほとんどなく、昼食は自家用車の中で一人で食べていたとか。今年4月には『体調が悪い』と申し出て、有給休暇を消化し5月中旬に退職しています」(全国紙社会部記者)
山上容疑者は奈良市内のマンションに住んでいるが、母親の住む家に帰ることもあったという。20代の近隣女性が語る。
「ご近所付き合いは、ほとんどありません。なんの仕事をしているのかも知らない。2週間ほど前に、自転車で帰ってきた息子さん(山上容疑者)を久しぶりに見ましたね」
関係者によると、家族が特定の宗教団体に入信していたという情報もある。警察の調べに対し山上容疑者は、安倍元総理を銃撃した理由をこう語っている。
「特定の団体に恨みがあった。安倍氏とその団体が繋がっていると思い込み、犯行に及んだ。思想信条に対する恨みではない」
思い込みで、元総理に凶弾を向けるという許されざる犯行。警察は事件の詳しい経緯や、動機について捜査を進めている。









画像:共同通信社 鬼怒川 毅