涙声で絶叫…参院選・自民党「安倍元総理の『選挙利用』」の違和感 | FRIDAYデジタル

涙声で絶叫…参院選・自民党「安倍元総理の『選挙利用』」の違和感

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7月9日、喪章をつけて選挙活動を行う松野未佳氏
7月9日、喪章をつけて選挙活動を行う松野未佳氏

18日間に渡る選挙戦最終日の銀座は異様な雰囲気に包まれていた。

有楽町駅からほど近いイトシア前で、7月9日、自民党の現職・朝日健太郎氏(46)は「安倍元総理が亡くなった。動揺を隠しきれない。言葉が出ない」と涙を浮かべてうつむいた。聴衆から「負けないでー」「頑張れ!」と声援が送られた。

7月8日、安倍晋三元総理が奈良市で演説中に銃弾を受け、非業の死を遂げたことは周知の通りだ。

演説を始める前に黙祷をし、選挙スタッフは腕や胸に黒の喪章を付け、うちわ型の政策ビラを配っていた。その中に「ミス日本コンテスト2016」グランプリに輝き、父親に松野頼久元内閣官房副長官を持つ松野未佳氏(26)の姿もあった。今回の選挙では朝日陣営のスタッフとして働いているという。彼女の左腕にも黒の喪章が掲げられていた。松野氏はこう語る。

「その日はJR秋川駅の北口でビラ配りをしていました。ビラを配っていたら『安倍さんは大丈夫?』と尋ねられ、何のことかわからなくて、スマホで検索して、驚きました。今でも信じられません……。候補者が街宣車から降りてきたら、背後に回るなどして気をつけています」

700m離れた銀座四丁目の交差点では、アイドルグループ「おニャン子クラブ」の元メンバーのタレント生稲晃子氏(54)がいた。生稲氏はピンクをイメージカラーにしていたが、この日は白のポロシャツに黒のアームガード姿でこう訴えた。

「昨日、安倍元総理が凶弾に倒れました。このような蛮行を許していいのでしょうか。民主主義の根幹を揺るがす、こんな行為を許していいのでしょうか。私は絶対に許しません」

銀座四丁目交差点に集まった聴衆からうねりのような声援が上がった。ここでも選挙スタッフは黒の喪章を付け、うちわ型の政策ビラを配ると、次々とはけ、買い物客は足を止めた。生稲氏は最終日の演説に安倍元総理が応援に駆けつけてくる予定だったことを語り、思い出を披瀝した。

「私は安倍先生に『演説が苦手なんです』と話したら、『大丈夫。慣れるから。私も始めた頃は苦手だったんですよ』と励まされた。励ましていただいたときの、あの優しい笑顔を忘れることができません」

生前の安倍氏を思い出したのか、涙声でこう続けた。

「安倍元総理が目指した日本を私たちが引き継いでいく。そのためにこの選挙戦に勝たなくてはならない。私を国会に送ってください」

最終日、銀座で選挙活動を行う生稲晃子氏
最終日、銀座で選挙活動を行う生稲晃子氏

そう訴えると、大きな拍手と声援があがった。ビラ配りを担当していた松田康将都議はこう語る。

「景色が変わりました。ビラを配っていて、有権者の方が『安倍さんの分まで頑張って』『安倍さんのためにも』とこちらを励ましてくれます。見知らぬ方からこれだけ応援されるのははじめての経験です。情勢調査で生稲候補は順位を下げていたので危機感を持っていましたが、手応えを感じています」

朝日氏、生稲氏、ともに参院選東京選挙区の6枠に入ることとなろうか。この日の選挙戦で、安倍氏は「伝説の政治家」のように扱われていた。ただ、事件の経緯や犯行動機などはっきりわかっていない部分もある。今回の犯行が絶対に許されないものであることは間違いない。しかし、この日の自民党のやり方は、安倍氏を過度に持ち上げ、選挙戦に”利用”しているようにしか見えなかった。それもまた政治家の宿命なのだろうか。

  • 取材・文岩崎大輔

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