タレント続々当選…”アベノレガシー”がもたらす「自民党大混乱」 | FRIDAYデジタル

タレント続々当選…”アベノレガシー”がもたらす「自民党大混乱」

参議院選挙に大勝したが…… "最後の安倍チルドレン"生稲晃子は涙を流し、"大失速"今井絵理子はギリギリ当選で安堵の表情

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生稲晃子氏は白いポロシャツで事務所に登場。後ろの壁には、安倍元首相の顔写真が入ったポスターがあった

選挙後の”第一声”

「安倍晋三元総理がいらっしゃらないことがまだ信じられません。悲しくて、悲しくてしょうがないのですが、当選することが恩返しだと思っていたので、本当によかったと思っています」

7月10日の午後11時、参院選に東京選挙区から出馬した『おニャン子クラブ』の元メンバー・生稲(いくいな)晃子氏(54)は、当選確実の一報を受けて、そう口を開いた。安倍元首相が銃撃を受けた前日の7日にも、生稲氏は選挙対策会議で本人から激励を受けていたという。”最後の安倍チルドレン”は、陣営の祝福を受けると、目に涙を滲(にじ)ませた。

「安倍元首相は生稲氏に相当惚れ込んでおり、安倍派総出で生稲氏をバックアップしたそうです。一方で、自民党は東京選挙区で菅義偉氏がバックにいる朝日健太郎氏も擁立している。票を食い合い、派閥間の溝が広がるリスクを冒してでも、安倍元首相は生稲氏を当選させたかったのだと思われます」(全国紙政治部デスク)

結果的には朝日氏と生稲氏がダブル当選するなど、63議席獲得の圧勝を収めた自民党。その中には、ギリギリで議席を確保した候補者もいた。『SPEED』の元メンバー・今井絵理子氏(38)がそのひとりだ。銀座の事務所に今井氏が姿を現したのは、空も白んできた11日朝5時ごろ。パートナーの橋本健氏、長男の礼夢(らいむ)氏や後援者を伴った今井氏は、比例当確の一報を受け安堵の表情を浮かべた。

’16年の初出馬の際には開票後すぐに当確ランプが点(とも)り、’19年には安倍内閣で内閣府大臣政務官に就任するという異例の”スピード出世”も果たしている。今回も最初は当選手堅いとの下馬評だったが、フタを開けてみればギリギリ当選と大失速。当確が判明した直後の会見で今井氏は「スピード感のない結果でした」と自嘲した。

銃撃事件が選挙に与えた影響について、選挙後に今井氏が本誌取材に答えた。

「私を支援してくださる人は障害を持った方や小さいお子さんを連れている女性なので、最終日(9日)は警備上のことを考えて街頭演説を取りやめました。代わりにSNS上で最後の演説をしましたが、『安倍元首相の分まで頑張って欲しい』という声をものすごい量いただきました」

生稲氏は政策アンケートの「丸写し疑惑」や選挙特番の取材を”全拒否”するなど、候補者としての資質が問われる言動が相次いだ。また今井氏も、’17年に発覚した橋本氏との”手繋ぎ不倫”や、今年5月の闘牛祭りで負った骨盤骨折など、「お騒がせ候補」の代表格として浮き名が立った。だが、安倍元首相の無念を、今回の参院選候補に少しでも晴らして欲しいという有権者の票が集まったのも事実である。

「参院選で日本維新の会が野党第一党になるかもしれないという見方もありましたが、ギリギリで立憲民主党が座を維持しました。これは、保守層が維新に流れず、自民党にとどまったことが一因で、安倍元首相の”弔(とむら)い選挙”になったことの証左といえます」(政治アナリストの伊藤惇夫氏)

”昭恵出馬”の現実味

参院選では圧勝を収めた自民党だが、党内部では未曽有(みぞう)の混乱が巻き起こるだろう。最大派閥である安倍派の後継や選挙区・山口の地盤、そして安倍一強の長期政権で強固にした、保守系の支持層をどう維持していくか、正解は見えない。

まずは安倍派だ。比肩するものなきトップを突如失った派閥は、後継探しの難航が確実で、自民党議員からも「このままだと派閥が割れる」との声が相次いだ。

「岸田派には、岸田総理の後は林芳正外務大臣、その次は木原誠二内閣官房副長官という暗黙の了解があるけれど、安倍派にはない。そもそも安倍さんは、”ポスト安倍”を作らないことで求心力を保ってきた面があります。まだ67歳で現役感も強く、本人は走りながら考えるつもりだったのでしょうが、こんなことが起きてしまった」(岸田派中堅議員)

ジャーナリストの鈴木哲夫氏は語る。

「萩生田光一経産相や西村康稔前経済再生担当相まで世代交代すると派閥の結束など事態の収拾がつかないかもしれません。そのため、一旦は年長者で会長代理の塩谷立元文科相や下村博文前政調会長でしのぐか、または集団指導体制で行く可能性はあります。ただ、安倍元首相の求心力でまとまっていた派閥なので、少なからず混乱は避けられないでしょう」

続いて、元首相のお膝元である山口4区の地盤を、誰が引き継ぐのかという問題だ。山口は区割り改定で、林氏の当選した3区が安倍氏の4区に分割される方向だ。そして、その前段にあたる4区補選の候補者に誰を立てるかが焦点になる。

「安倍氏に子息はいません。甥っ子で防衛大臣秘書官の岸信千世氏を立てるのか、はたまた昭恵夫人が出馬するのか。岸・安倍家から擁立するかどうかも含め、母の洋子さんを中心に話し合いが持たれるでしょう」(政治ジャーナリストの角谷浩一氏)

そして、安倍元首相を支持してきた保守系の支持層を、自民党がつなぎ止められるかも課題だ。党内で保守を前面に打ち出してきた筆頭は高市早苗政調会長だが、後ろ盾だった安倍氏を喪(うしな)った今、求心力があるとは言い難い。

「安倍さんの死によって、保守系支持層の心の拠りどころがなくなったことは事実です。他の保守系政党といえば維新ですが、今のところ安倍さんほどの論理的な支柱がいません。そうなると、参政党など保守を標榜する新党に票がこぼれ落ちてしまう可能性があります」(角谷氏)

「跡目を作らない」からこそ強固だった安倍政治のセオリーは、非業の死によって自民党に前代未聞の分裂を巻き起こすことになるかもしれない。

安堵の表情の今井絵理子氏は松葉杖をついて登場。橋本健氏(左)を「パートナー」と公言し、感謝を口にした
9日、芝公園で開かれた参政党の演説は1万人超(党発表)が参加。「1、2、参政党!」の掛け声で演説は終了した
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安倍元首相の弔問に訪れた高市早苗元総務相。強固な保守を掲げていた彼女は今後どう立ち回るか
山口選挙区の区割り変更後、安倍元首相の地盤と票を食い合うことになる林芳正外相の動向にも注目だ

『FRIDAY』2022年7月29日・8月5日号より

  • PHOTO鬼怒川 毅(1〜4枚目)、蓮尾真司(高市早苗) 共同通信社

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