30mの巨大盛り土が出現 台風シーズンを前に近隣住民から悲鳴! | FRIDAYデジタル

30mの巨大盛り土が出現 台風シーズンを前に近隣住民から悲鳴!

福岡県添田町 昨夏、土砂災害が発生した町で…… 許可された高さを6mもオーバーし、県は3度の行政指導

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「もし土砂災害が起きれば、去年の熱海のような大惨事になるかもしれない……。本当に恐ろしいです。地元の者はみな、雨が降るたびに眠れない夜を過ごしとります」(近隣住民)

添田町に出現した約30mの盛り土。周囲の住宅や森林と比較するとその巨大さがわかる。近隣住民は怯えている
添田町に出現した約30mの盛り土。周囲の住宅や森林と比較するとその巨大さがわかる。近隣住民は怯えている

福岡市の中心部から東へ車を走らせること2時間弱。福岡県田川郡添田町は、かつて炭鉱で栄えた人口約9000人の小さな町だ。

そんな添田町に高さ30m超の「盛り土」が出現、住民から悲鳴が上がっている。盛り土は周囲の森林よりもはるかに高く、かなり離れた位置からでも巨大な茶色の塊を確認できる。

住民たちが不安がるのも無理はない。町域の多くが山間部である添田町は、もともと土砂災害が多い地域。昨年8月には、大雨によって民家に土砂が流れ込み、高齢者が巻き込まれる事故も発生した。

問題の盛り土の周辺には、40軒以上の民家が点在する。本誌が近隣住民に取材すると、

「どんどん巨大化している」

「台風が来て土砂が崩れたら誰が責任をとるのか」

「農作物の土にも影響が出て野菜の質が落ちた」

といった切実な声が15人以上から次々に上がった。

この巨大盛り土はいったい何なのか。なぜ出現したのか。

「この盛り土は、添田町内の残土処理場に積まれています。処理場の所有者は、添田町の隣町である大任町(おおとうまち)の建設会社。’03年に開発許可を取得しましたが、ここ2~3年で急速に盛り土は大きくなった。背景には、田川周辺地域での建設工事の増加があると見られています」(地元紙記者)

この残土処理場を管轄する福岡県によると、盛り土は認可されている高さ25mを6mもオーバーしているという。添田町の寺西明男町長は本誌の取材にこう語った。

「住民の方からの盛り土の危険性を訴える声は私の耳にも入ってきています。ただ、許認可が県のため、町としては動きようがない。それでも万が一、何かが起きてからでは遅いという危機感は持っています。県との連携をより強めて、対策をしていく必要性を感じています」

福岡県の森林保全係の担当者は、現状をこう説明する。

「’20年11月頃から、複数回にわたり現地で調査を行ってきました。許可された高さを超えていることに関しては、今年に入ってから、3度にわたって高さを戻すよう指導をしています。それに対し、(処理場を所有する)事業者は、『梅雨時期の撤去作業は土砂崩れのリスクがあるため、梅雨以降に随時撤去していく』と説明しています」

だが、近隣住民によると、梅雨明けが発表されても撤去作業が進んでいる様子はまったくないという。なぜ、建設会社は再三にわたる県からの行政指導を無視し続けているのか。地元で囁かれているのは、こんな裏事情だ。

「実はこの会社は、添田町の隣町である大任町の町長の娘婿が代表なんです。大任町の永原譲二町長は、地元選出の武田良太衆議院議員の選対本部長も務める人物。『田川のドン』とも呼ばれる、いわば地元の大物です。この町長の存在が、建設会社が強気の姿勢を取れる理由だと言われています」(大任町の町議会議員)

違法な巨大盛り土について、本誌は当該の建設会社と大任町に対し質問書を送ったが、期日までに回答はなかった。

昨年の熱海の災害で、業者と行政のずさんな盛り土管理が問題視されたことは記憶に新しい。幸いにも梅雨の期間に土砂災害は起きなかった。しかし今後は、台風シーズンがやってくる。盛り土が低くならない限り、添田町住民の眠れぬ夜は続きそうだ。

大任町の永原町長(右から4人目)。娘婿が代表を務める建設会社が、盛り土がある残土処理場を所有している
大任町の永原町長(右から4人目)。娘婿が代表を務める建設会社が、盛り土がある残土処理場を所有している
今年に入り、福岡県からは3度の行政指導を受けているが、その後も残土処理場には土を積んだトラックが
今年に入り、福岡県からは3度の行政指導を受けているが、その後も残土処理場には土を積んだトラックが

FRIDAY2022722日号より

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