コント師・かが屋が語るKOC優勝への「あと3年!」の真意 | FRIDAYデジタル

コント師・かが屋が語るKOC優勝への「あと3年!」の真意

2022 M-1、KOCへの道:「かが屋」【前編】

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2019年、お笑い界に若手の「第七世代ブーム」が押し寄せた。そんな中で頭角を現したコンビが、かが屋の加賀翔と賀屋壮也だ。下馬評通り、最注目のコント師として「キングオブコント2019」の決勝に進出。当時審査員だったバナナマン・設楽統から高い評価を受けた。 

あれから3年――。2020年は加賀の療養期間と重なり不参加、昨年は準決勝敗退と苦渋を舐めた。後続の芸人も続々と登場する中、彼らはどんな思いで今年の大会に臨むのか。昨年の大会を見て感じたこと、コントユニットの実情、現時点でのライバルなど、2人の率直な思いを聞いた。 

「第七世代ブーム」の中で頭角を現したコンビ「かが屋」の加賀翔(写真左)と賀屋壮也(同右)(撮影:スギソー)

2019年の大会は“飢え”が足りなかったかもしれない 

――「キングオブコント2019」のファイナリストになってから約3年が経ちました。当時はかなり注目されていたので、プレッシャーも大きかったんじゃないですか?

加賀:プレッシャーありましたね。事前番組とかで、たしか1位? 

賀屋:1位かどうかわからないけど、その番組でジャルジャルさんが“気になる若手”みたいな感じで名前を挙げてくださったのをすごい覚えてます。ビビりましたね、だいぶ。「二人とも顔が面白いんです」みたいなこと言ってくださって。 

加賀:「けっこう好きめです」みたいな感じで言ってもらえたんですよね。「あのジャルジャルが!?」って思いました。そこで舞い上がって、もう十分ですってなっちゃって。だから正直なところ、“飢え”が足りなかったかもしれないです。モテ期じゃないですけど(笑)、自分の好きな芸人さんたちから「好き」って言ってもらえるのは、もう人生でここだけだなって。 

賀屋:「決勝にいけた」っていう達成感があったのも、飢えが足りなかった原因の一つかもしれないね。 

加賀:そうそう。「ちゃんとしなきゃ」ってプレッシャーはもちろんありましたけど、あの時は「ありがたいな」っていうほうが勝ってましたね。

――決勝で披露したコントは「バラを抱えた男性が、彼女にプロポーズするため一途に喫茶店で待ち続ける」というもので、暗転が多かったですよね。そのことで笑いがリセットされてしまう怖さはなかったですか?

加賀:笑いがリセットされる……なるほど。そういう意味では、むしろ見せ方の差別化を図ったところがあります。「キングオブコントってこういうネタで、これくらいの展開があったほうがいい」って頭の中にはあるんですよ。 

でも、その年の僕たちは「キックボクシングのルールで戦ってるところに、別の格闘技を持ち込んで参戦する」って感じだったので、「じゃあ一番目立つ戦い方をしよう」と。一番ウケないかもしれないけど、観た人の印象に残るものをやろうってことで暗転の多いネタを選んだんですよね。 

――残念ながらファイナルステージには進めませんでしたが、当時審査員を務めていたバナナマン・設楽統さんからは94点の高評価を受けました。

加賀:嬉しかったです。忘れないですね、あの瞬間は。バナナマンさんにあこがれて芸人を始めたのが一番大きい理由なので。 

賀屋:僕らは最初からずっと言ってますからね。めちゃくちゃ嬉しかったです。 

去年の大会を見て、「あと3年ください!」って思いました 

――2020年のキングオブコントは、加賀さんの休養時期と重なり不参加。昨年は残念ながら準決勝敗退となりました。加賀さんが復帰して間もない、という以外に敗因はありますか? 

加賀:もう完全にネタがなかったということですね。お客さんから「何でそのネタやったんですか?」みたいなこと言われたり、怒られたりもしたんですよ。 

賀屋:俺野球好きだから、「何でこの打順にしたんだよ」とか思ったりするけど、それと同じ感覚じゃないかな。 

加賀:絶対に本人がキングオブコントのこと一番考えてるんですよ。でも、そういう反応があるのも仕方ない。悩みに悩んだ結果として表に出たってことを理解してもらいたい気持ちもあるんですけど……。逆に言うと、「そう言われるだろうな」って想像通りの反応がきたから悔しかった。敗因は、コントを人前に出すにあたっての筋トレ期間が間に合わなかった感じですね。 

賀屋:そもそもあのレベルの高いキングオブコントで準決勝にいけるだけでも、だいぶすごいことだと思うんですよ。去年の決勝だって、めちゃくちゃいいネタばっかりだったし。 

加賀:たしかになぁ。正直なことを言うと、去年は隙間ないなって思ってました。「そりゃ仕方ない」って。僕らがいいネタできてたとしても、あそこには入れなかったなっていう。もちろん優勝した空気階段さんもそうですし、ジェラードンさん、蛙亭さんとかみんなすごかった印象なので。 

――そのほかにも、ザ・マミィ、男性ブランコなど、フレッシュな顔触れが揃いました。

賀屋:楽屋でいつも仲良くさせてもらってる人たちが順番に出てきましたからね。めっちゃ不思議な感覚ではありました。 

加賀:本当に知ってる人ばっかりでしたもん。好きな先輩が順番に出てくるライブというか(笑)。最高のイベントだったし、本当にすごかった。悔しいけど嬉しい気持ちもあって複雑でしたね。審査員の方々も変わりましたけど、事前に何も教えてくれなかったですからね、飯塚(悟志)さん。 

賀屋:あの期間、お仕事とかでけっこう一緒になったけどね。 

加賀:お会いした時に「変わるらしいですけど、どうなんですか?」って聞くと、「へー、俺もたまに言われたりするけど、ぜんぜんわかんない。どうなんだろうね」みたいな(笑)。 

賀屋:でも、絶対その時には決まってただろうね(笑)。 

加賀:またいいネタできた時に決勝にいければと思います。去年の大会を見て、「あと3年ください!」って思いました。リアルにそれぐらいはかかると思ってます。 

ユニットを組むってことは、その中で順番が決まっちゃう 

――昨年の大会では、「コント犬」の空気感段、男性ブランコ、「コント村」のザ・マミィ、「関西コント保安協会」のニッポンの社長と上位4組が軒並みコントユニットで活動しています。この影響はあると思いますか?

賀屋:たしかに言われてみたらそうですね。もし影響があるとしたら、普段やってるのとは違うコントができて、「でも面白いものを作る」みたいな。いい息抜きじゃないですけど、いいサイクルになってるんじゃないですかね。 

コントを作るってことは変わらないけど、いつもとは違う大人数のコントになる。それで普通に楽屋とかでしゃべってる時、たぶん必然的にコントの話とかにもなってるのかなと思うんです。そういう環境でいい刺激もらってるっていうのはあるんじゃないですかね。 

加賀:たとえば空気階段さんは、オズワルドさん、ファイヤーサンダーさん、蛙亭さんとかと「でかぷっしゅ!!」っていうユニットライブをやってたんですよ。そこで、お互いのいいところ、悪いところ、ユニットの中で見えてくる比較っていうのを常に感じてたんだと思う。そのことで励まされたり悔しかったり、頑張ろうって思えたりしたんじゃないですかね。

チーム、ユニットを組むってことは、いわばその中で多少順番が決まっちゃうわけですよ。去年のキングオブコントで結果を出したのは、そこでの切磋琢磨っていうのも一個の要因なんじゃないかと外から見てて思いますね。 

賀屋:そのへんのピリピリ感は、見にくるお客さんが思ってるよりシビアかもしれないですね。ただ仲いいだけじゃないっていう。本当に仲はいいんですけど、仲いいからこそ緊張感をキープしてる感じというか。 

加賀:それで言うと、僕らとハナコ、空気階段さんの3組でやってるユニットライブ「三者三様」があるんですけど、僕ら以外の2組がチャンピオンになっちゃったから誰かが気を使って開催されなくなったんですよ(苦笑)。たぶん僕らが優勝しないと復活しないので、そこはなんとかしたいですね。 

――ユニットのメンバー同士で、お互いのコントに意見することもあるんですか?

加賀:あります、あります。ただ、単純に意見を取り入れるというよりは、周りの話を聞いて「こういう思いって自分だけじゃないんだ」「こういう苦しい時期があって今があるんだ」とかって勉強させてもらう感じです。それはユニットに限らなくて、近くに相談できる芸人さんがいるっていうのが大事な気がしますね。 

負けたくないのは「ダウ90000」と「ザ・マミィ」 

――2020年以降、サスペンダーズ、Gパンパンダ、ゼンモンキー、金の国、ダウ90000など、お二人と同世代や年下のコント師が次々と台頭しています。今ライバルだと感じているコント師はいますか?

加賀:ライバルじゃないですけど、ダウ90000は僕にとっての“栄養”ですね。もう見たくて仕方がない。単純にファンです。自分たちの東京公演が終わって劇場出て、50分後にダウ90000の単独ライブ見てましたから(笑)。「やっと終わったー!」と「やっと見れる!」って気持ちが同時にきましたね。 

ダウ90000って、やっぱり芸人さんの中でも特殊で。8人組だから圧倒的なパワーに気圧される。ライバルになり得ないんですよ。「ちょっと待って、そんなのアリなの!?」みたいな面白さがある。でも、もしこれが大会だったらって思うとやっぱり恐ろしい。 

8人組が出た後に、コンビが出て展開も少なかったりしたら、それだけで致命傷になるんですよ。「人数少ないな」「ボケ数少ないな」っていう圧倒的な落差が出ますから。それまで4人がマックスだったところに8人が5分間しゃべるって相当なことなんです。そのパワーたるやすごいし、単純にボリュームもすごい。すごいからこそ、絶対ダウ90000には負けたくないって気持ちがありますね。 

賀屋:僕はザ・マミィです。個人的に負けたくないですね。「ツギクル芸人グランプリ」でも2組で競い合って優勝を持っていかれたし、普通のライブでも目の前で優勝してるのを見た回数がめちゃくちゃ多い。そのことごとくかっさらわれたトラウマを払拭したいですね。 

加賀:それで言ったら、本当は空気階段さんなんですけどね。「一緒に出ようね」って言ってくれてたから、絶対一緒にキングオブコントに出て戦いたかったんですけど、たぶんもう叶わない。優勝後に出るってこともないでしょうから。

――今年もキングオブコント予選が始まりました。大会に向けて今やっていること、これからやっていこうと思っていることはありますか?

賀屋:1月に新ネタライブ、5、6月に単独ライブをやらせてもらったので、今からやってきたネタを吟味してブラッシュアップしていく感じです。ライブで試させてもらいながら、大会に向けて一番いい選択ができたらいいなと思います。 

加賀:僕らを応援してくれてる方たちが、準決勝の会場にきてくださったりもするんですよ。そこで僕らがマジで初めてやるネタをおろして、死ぬほどウケたらたぶん泣いちゃうだろうなって。それが一番の理想ではあるんですけど、あまりにも理想論過ぎて毎年失敗してるんですよ(笑)。 

でも、ハナコの「犬」(「キングオブコント2018」のファーストステージで披露したコント)ができるところを見たりもしてるので、まだあきらめたくないって気持ちもあります。ネタって舞台にかけていったら、「ここをこうしたいな」とかってアイデアは勝手に出てくるものなんですよ。やっぱりだから、ネタ作りながら、やりながらですね。ギリギリまで新しいネタを作って大会に臨めたらいいなと思います。

【後編】「『どう目立つか』が大事 コント職人・かが屋の原点と目指す笑い」はコチラ

  • 取材・文鈴木旭

    フリーランスの編集/ライター。元バンドマン、放送作家くずれ。エンタメ全般が好き。特にお笑い芸人をリスペクトしている。2021年4月に『志村けん論』(朝日新聞出版)を出版。個人サイト「不滅のライティング・ブルース」更新中。http://s-akira.jp/

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