奈良の旧・統一教会”現役信者”が明かした「高額献金への疑問」 | FRIDAYデジタル

奈良の旧・統一教会”現役信者”が明かした「高額献金への疑問」

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安倍晋三元首相への襲撃の機会を窺う山上容疑者。旧統一教会に「強い恨みがあった」と供述している

「統一教会の教会員だった母は、家を担保にいれてまで献金をしてきました。だから、山上容疑者の家族と類似する点は多いんです」

奈良市内に住む旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の信者・山本恵さん(仮名・40代)は、うつむきながらそう言葉を絞り出した。

安倍晋三元首相を銃撃して殺人容疑で逮捕、送検された山上徹也容疑者(41)。母親の旧統一教会(世界平和統一家庭連合)への高額献金により家族の生活が破綻したことで、教団に強い恨みを抱いていたことが明らかになっている。

山上容疑者の抱えていた苦悩の一端を知るべく、本誌は容疑者が住んでいた奈良市内で複数の旧統一教会信者らに取材。現役信者と元信者から、家族と旧統一教会との間で生じた2つの物語を聞いた――。

冒頭の恵さんは、「物心ついた頃から母が旧統一教会の信者だった」と回顧する。教団に多額の献金をし、担保として家まで抵当に入れざるを得ないほどの熱心な信者だった。

母親の影響で自身も信者として活動し、約20年前に韓国で合同結婚式を挙げて結婚した。現在は夫の他、夫の父親も含めて市内の一軒家で同居している。

山上容疑者の母親との面識はなく、「ウチとは別のもう1つの支部だったはず」と語る恵さん。話を聞き進めるうちに驚いたのは、恵さんの結婚後、もともとは信者ではなかった夫の家族まで信者になったということだ。

「韓国に行き、合同結婚式で夫と出会い結婚しました。当時、合同結婚式にかかった費用は約230万円です。それから今にいたるまで、基本的に“夫婦間”の関係は良好です。結婚以降、夫の家族も入信しています。教会員としての毎月の献金額は収入の10%。これを『10分の1献金』と言います。これは月額で支払うもので、私達の中では『税金のようなもの』という認識です」

そんな山本さん一家だが、恵さんと夫を除く家族は献金に賛成というわけではない。恵さんの夫の父・信夫さん(仮名・70代)は、「私は献金について反対をしてきた」と語る。それでも、息子夫婦から懇願され、気がつけば入信させられていたという。これまでの献金総額について聞くと、「家族全体でいったいいくら払ったか定かではない」と嘆息した。

旧統一教会の献金システムについて、恵さんが続ける。

「月例の献金の他に、突発的に献金を求められることもあります。それは、『今、こういった危機が起きている』『非常緊急事態だ』『だから献金が必要なんだ』という理屈です。数十万円ということもあれば、数百万円ということもありました。その見返りに印鑑などの商品を受け取ります。収入が把握されているため、『奉仕の心があればこれだけできるだろう』と迫られると断るのは難しい。それと、礼拝にもお金が必要です。教会は献金について、『あくまで本人たちが納得した上でのこと』と説明している。ただ、ある日ふと、『なぜ信仰にこれだけお金が必要なのか』と思うようになったんです……」

本来は倹約家で、お金の管理にうるさい性格だったという恵さん。底なし沼のように求められる献金により、次第に客観的な金銭感覚を“取り戻していった”と語る。疑問を感じ、教会に金銭面での相談をしに行ったこともあるという。

コロナ禍以降、奈良でも対面でのイベントが減少し、現在はオンラインでの礼拝がメインとなっている。「教会への足も遠のいている」と語る恵さんだが、それでも旧統一教会を脱却するつもりはないようだ。

「一度強く言ったからか、現在では昔ほど突発的な献金を求められることはなくなりました。拒否もできるようになっています。今は月額献金と、オンラインでの礼拝のお金くらいで、金銭的には大きな負担になることはなくなりました。“めんどくさい一家”と思われたのかもしれませんね。

今回、こんな痛ましい事件が起きて、私自身もいろいろ考えさせられました。本当に何と言っていいかわかりません。私自身は以前より距離を置いて活動をしています。ただ、事実として統一教会に入り、合同結婚式により今の夫と出会った。そして、幸せに暮らせてきた。そのことを思うと、脱会するという選択はあまり考えられないんです」

前出の信夫さんは、息子夫婦に生じつつある変化について「家族での話し合いの結果もあったのではないか」と明かす。その上で、「なかなか自分は辞めさせてはもらえない」という率直な心境も吐露した。

田中景子(仮名・80代)さんは、以前は奈良市内で役職付きの教会員だった。しかし、多額の献金を見かねた家族が教団に抗議。’06年頃に脱会した。田中さんは自身の経験を踏まえ、当時の記憶をこう振り返る。

「確かに統一教会や宗教で家族がダメになるケースはあります。でも、そうじゃない家族もある。私は人から言われてじゃなくて、自分で納得して献金してきた。(統一教会が)大変だと思うから、してきたわけです。それでお金がなくなっても、奉仕の心を持ち、心の底から信仰していた」

田中さんは、献金のために幾度となく娘から金銭的な援助を受けてきたという。

「8年ほど前に、娘が家を建ててくれたんです。大事なのは家族との話し合いができているか、ということ。ウチの場合は、親子の会話がしっかりできていた。だからお金がなくなっても、『やっぱりお母さんやから』ということで、いろいろやってくれたわけです」

多額の献金を重ねる母親を見て、娘はどれほど思い悩んでいたのだろうか……。旧統一教会の影響は、信者本人だけでなく、その家族にも及ぶのだ。

山上容疑者が事件前日に「試し撃ち」をした奈良市内の教団施設
  • 取材・文栗岡史明写真(送検)川柳まさ裕写真(教団施設)木下宗

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