懲役20年!人質女性に性的暴行を加えた被告の「ヤバい言い分」 | FRIDAYデジタル

懲役20年!人質女性に性的暴行を加えた被告の「ヤバい言い分」 

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昨年6月18日の午後11時前、さいたま市内のネットカフェに立てこもった男の身柄を確保し、捜査車両まで移動させる埼玉県警の警察官ら(写真:時事通信)

≪昨年6月、さいたま市のネットカフェで店員を人質にして立てこもった男に対する裁判員裁判の判決が20日、さいたま地裁で言い渡された。同地裁の佐々木一夫裁判長は「同種事案の中でも前例を見ないほど悪質さが際立っており、極めて重い事案」とし、林一貴被告(41)に対し、検察側の求刑通り、懲役20年を言い渡した。

7月18日、公判内容を詳細に記した記事をFRIDAYデジタル上に公開すると、林被告の理解しがたい言い分を読んだ読者の中には、安倍晋三元総理を銃撃した事件を引き合いに出し、〈山上徹也以上に危険な人間だと思う〉というコメントもSNS上にあがった。さいたま地裁で行われてきた公判を詳細に取材してきた高橋ユキ氏の記事を再録する≫

7月6日から、さいたま地裁(佐々木一夫裁判長)で開かれている。同月12日には論告弁論が行われ、検察官は男に懲役20年を求刑した。男はただ立てこもっただけではなく、人質に複数回の性的暴行を加えていたことが公判で明らかになった。

ナイフを持っていたのは「梱包用の文房具として…」

被告人の林一貴(41)は、昨年6月17日、さいたま市大宮区にあるネットカフェに入店。午後2時20分ごろ、女性店員を個室に呼びつけた。

「テレビつかないから、見てもらっていい?」

これを受け、林被告の個室に来た女性店員の首を背後から絞め、カッターナイフを突きつけるなどして約32時間にわたり監禁。その間に女性店員の首などに全治2週間の怪我を負わせたほか、性的暴行を加え、心的外傷後ストレス傷害(PTSD)を負わせたとして、逮捕監禁致傷と強制性交等致傷の罪に問われている。6日の初公判における罪状認否で林被告は「監禁したという部分は合っているが、他は間違い」として、逮捕監禁致傷については認めたが、強制性交等致傷については否認。弁護人も性的暴行について「被害者の同意があった」と主張した。

8日に行われた被告人質問でも、女性店員に対する強制性交等致傷について林被告は“脅迫はしておらず、同意があった”という趣旨の証言をした。法廷での林被告は上下ジャージに坊主頭。マスクで口元は見えないが鋭い目つきで傍聴席を見回すなど、堂々としたそぶりを見せる。

林被告は立てこもりの際、テレビを理由に呼びつけた女性店員が個室に入り、テレビの様子を見ているとき、後ろから首を絞めたという。その後、女性店員の両親指を結束バンドで縛ったり、また首に結束バンドを巻いたりなどした。のちに性交に及ぶのだが、この時の様子を被告自身はこう語っている。

弁護人「脅迫するようなことはあった?」

被告「していないです。『(性交を)してもいいですか?』と聞いた。断るならしませんでしたが、首を縦に振ったんで、ま、いいのかなと」

弁護人「監禁中であるため、そういう態度を取らざるを得なかったとは思いませんでしたか?」

被告「そのときは思いませんでしたが……まあ……本人と話をしてる中で、壁が低い人と思ってしまったのはある」

被告自身は性交前に許可を得た、女性店員が応じたために及んだという主張だ。さらに、女性店員は被告からカッターナイフを突きつけられたと証言していたのだが、これも被告は否定した。

「被害者本人に向けたことは無いっすね。ただ、一度、天井から音がして、そのとき警察が(天井の)通風孔から来てるのかなと感じ取って、そっちにカッター示したのはあります」

そもそもなぜネットカフェにカッターナイフを持ってきていたのかということについても「趣味でメルカリやってるんで、梱包用の文房具として」(被告の証言)と、あくまでもメルカリで発送商品を梱包するときのためにいつも持っていたのだと語った。

カッターナイフはたまたま持っていただけで、性交も女性店員が応じたから……被告の理解し難い主張を、検察官が追及する。

検察官「あなた被害者と初めて会ったんですよね。なぜ面識がないのに性交に応じてくれると思ったんですか?」

被告「まあ……前提として、自分が個室内で自分の首を絞めて死のうとしたときに逃げなかった。『大丈夫ですか』と心配してくれた。あとは警察からの最初のインターホンでのやりとりのとき、自分が少し機嫌を悪くしたとき、『落ち着いてください』と言われて……自分もそういうような気持ちになった」

昨年6月18日、さいたま市内で男が女性店員を人質に立てこもったインターネットカフェが入るビル(中央)と集まった報道陣(写真:共同通信)

被告は女性店員と個室で時間を過ごすうちに気持ちが盛り上がったのだと述べる。別の検察官がさらに質問を重ねるが、時に挑発的に、あくまでも“女性店員が性交の求めに応じた”という主張を繰り返した。

検察官「あなたが自殺しようとしても逃げずに心配してくれたと言いますが、そこから被害者のどういう内心をあなたは読み取ったんですか?」

被告「……まあ……別に……人の心読める人間ではないですが、まあ、読み取るというよりは……逃げるつもりがない、イコール、一緒にいてもいい、そういうふうに思いました」

検察官「それは性交に応じているという内心ではないのでは?」

被告「それはあなたの考えで、僕はそうは思わない」

社会に対する文句の「中身」

事件当時、店内には女性の店員が2人、男性の店員が1人いた。そのうえで、被告は今回の被害者となった女性店員に声をかけている。逮捕当時の取り調べでは「ずっと探していた運命の人に出会えたから」などと、女性店員を狙っていたかのような発言があったというが、この日はそれも「一切そんなこと言ってない」と否定し続けた。そして、立てこもったのは性的な目的からではなく、過去に服役した経験から社会に“文句を言いたかった”からだ……と語り始めた。

「まー、初犯で逮捕されて、刑務所を出所……真面目に働こうとしたが、前科がある、と分かると警察も職務質問のとき無理矢理取り囲んで職質してきたり、そういうことずっとされてきたんで、1回刑務所に行ってしまったら社会復帰できないんだろうなと、そういう不満も言いたい。自分の主張を? 立てこもりしてる間に? 言えたらスッキリするなと思った」

立てこもっている間に自分の主張をメディアを通じて伝えてほしかったようだ。この裁判でも当時の辛さを語り続ける。

「出所して仕事を探してた、ハローワークとか。でも身分証がなかったり、出所したばかりだと、なかなかうまくいかない。マイナンバーカードを作ろうとしたら、身分証を作るための身分証が必要だと言われて断られた。一般的な会社からは、身分証かスマホがないと雇うことができないと言われた。刑務所に何回か入っていると、なかなか社会生活がうまくいかない。身分証も作ってもらえなかった。長く1回入ると、普通に生活できないのかなと言いたかった……」

ところで、性交に関しての証言は、女性店員と大きく食い違うところがある。被告は「していいか、と尋ねた」と述べていたが、女性店員は「個室に引き入れられ、首を絞められて倒されて、すぐに性行為をされた。その後カッターで脅されて口腔性交させられた」と証言していた。この食い違いについて裁判長に問われると、被告は「彼女の勘違いです!明確に否定します」と、あくまでも自分の言い分が正しいと述べていた。

出所者の再就職が厳しい現状を訴えながら、女性店員との性交には合意があったと述べる被告。判決は20日に言い渡される。

昨年6月、 男が女性店員を人質に立てこもったさいたま市のインターネットカフェが入るビルの前で警戒する警察官(写真:共同通信)
男が女性店員を人質に立てこもったネットカフェが入るビルを出入りする消防隊員(写真:共同通信)
  • 取材・文高橋ユキ

    傍聴人。フリーライター。『つけびの村 噂が5人を殺したのか?』(晶文社)、『暴走老人・犯罪劇場』(洋泉社新書)、『木嶋佳苗 危険な愛の奥義』(徳間書店)、『木嶋佳苗劇場』(宝島社)、古くは『霞っ子クラブ 娘たちの裁判傍聴記』(新潮社)など殺人事件の取材や公判傍聴などを元にした著作多数。6月1日に「逃げるが勝ち 脱走犯たちの告白」(小学館)が新たに出版された

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