安倍元総理の銃撃で警護の甘さ露呈も…昭恵夫人「追突車両」写真
あまりにも、お粗末な事故だった。
トラブルが起きたのは、7月25日の朝8時45分ごろ。東京都千代田区の首都高環状線の三宅坂ジャンクション合流地点で、警視庁警護課の男性巡査部長が運転する警護車両が、前方を走る別の警護車両に追突する。前の車に乗っていたのは、7月8日の遊説中に銃撃され命を落とした安倍晋三元総理(享年67)の夫人、昭恵さん(60)だ。
「事故は、昭恵夫人が乗る車が速度を落とした時に起きたそうです。原因は巡査部長の前方不注意。幸い、昭恵さんを含めケガ人はいませんでした。
安倍元総理が銃撃され、昭恵夫人は警察の特別警護対象になっています。警備は24時間態勢です。移動にはSPが複数つき、警護車には衝突しても安全性の高いレクサスの最上級車が使用されています」(全国紙社会部記者)
検証チームが立ち上がったばかりで……

安倍元総理の事件では、警備の甘さが指摘されている。加害者の山上徹也容疑者は、ガラ空きとなっていた背後から安倍氏へ約8mの距離に近づき1発目を発砲。さらに警護の手薄さから5歩前進して、3秒後に約5mの至近から2発目を発射したのだ。
「7月12日に警視庁は、警護態勢に問題がなかったか検証チームを立ち上げました。その騒動渦中に、追突事故が起きたんです。警察は面目がないでしょう。7月26日の記者会見で、木原誠二・官房副長官はこう苦言をていしています。『警備当局は緊張感を持って任務にあたり、国民に不安を抱かせないように万全を期してほしい』と」(同前)
相次ぐ、要人警護での不祥事。元神奈川県警刑事で、犯罪ジャーナリストの小川泰平氏が警鐘を鳴らす。
「警護車両は低速で走行しているので、一般車両に追突されることはたまにあります。しかし今回のように、警護車両が事故を起こすというのは、聞いたことがない。警察官は、警護対象者の盾になって命がけで守らなければなりません。にもかかわらず逆に危害を加えるとは、前代未聞ですよ。『不注意でした』では済まされない失態です。
責任は、事故を起こした巡査部長1人にあるわけではない。彼が疲弊し、注意力が散漫になっていた可能性もあります。SPは常に緊張し、大きな精神的負担を強いられる。警察は組織として、人数や勤務時間など警護態勢の新しいルールを作る必要があるでしょう。このままでは世界各国が、日本の警備能力に疑問を持つことになりかねません」
9月27日には、安倍元総理の国葬が行われる予定だ。再び不測の事態が起きないよう、警察は警護態勢の根本的な見直しを迫られている。



撮影:蓮尾真司 小松寛之 加藤 慶 鬼怒川 毅 共同通信社