古本コレクター?の「古ツア」さんが明かす「古本屋巡りの醍醐味」 | FRIDAYデジタル

古本コレクター?の「古ツア」さんが明かす「古本屋巡りの醍醐味」

金曜日の蒐集原人・第10回「小山力也さんの古本屋ツアー・イン・阿佐ヶ谷に同行する」

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<コレクションはおもしろい。特定のテーマに沿って集められた充実のコレクションを見るのも楽しいけれど、それ以上にコレクションすることに夢中な人間の話はもっとおもしろい。この連載では、毎回いろいろな蒐集家の元を訪ねて、コレクションにまつわるエピソードを採取していく。人はなぜ物を集めるのか? 集めた先には何があるのか? 『金曜日の蒐集原人』とは、コレクターを蒐集したコレクションファイルである。>

世の中、古書蒐集に心を奪われた人は数多い。もちろんぼくもその一人。そして今回ご登場いただく小山力也さんは、日本全国の古本屋を巡る様子を、ブログ「古本屋ツアー・イン・ジャパン」に記録し続けている猛者だ。2008年から始まったその活動は、10年目を迎えた2017年に東京古書会館内で「古本屋ツアー・イン・ジャパン さすらいの十年展」として展示されたほど。

古本仲間は皆、彼のことをブログのタイトルにちなんで“古ツアさん”と呼ぶ。今回は、古ツアさんのお膝元である阿佐ヶ谷に集合して、4軒ほどの古本屋さんを駆け足でツアーしてから、喫茶店でじっくりお話を伺った──。

ブログを始めた動機はバンドの全国ツアーから

──順序として元々は古本が好きで、古本集めをしていたんですよね? でも、それがある時期から古本屋ツアーという活動に軸足を移していくことになったわけじゃないですか。そこに何かきっかけはあるんですか?

古ツア 昔、仕事で、あるバンドのスタッフをやっていたんです。そのバンドが全国にツアーへ行くんですよ。わたしはファンクラブの会報とか、携帯サイトの情報を更新するとか、広報みたいな役割を担当していたんです。それでネタを拾うためにバンドに帯同して、全国を回っていたんですね。

──古ツアさん、本業はデザイナーですよね。それはデザイナーとして関わっていたわけではないんですか?

古ツア それもあります。

──バンド名は言っても大丈夫ですか?

古ツア GOING UNDER GROUNDといいます。わたしはもう関わっていないけど、バンド自体はまだ活動してますよ。それで、全国各地を訪ねたら、みんなその土地のおいしいものを食べることが楽しみだったりするじゃないですか。でも、わたしはあんまり食べ物に興味がなかったので。

──食い道楽じゃない。

古ツア それで、何か他に楽しみを見つけたいと思っていて、あるとき金沢のホテルに泊まったら、目の前に古本屋さんがありました。文学堂書店というところ。それで空き時間に行ってみたら、まあ旅先ということもあって「楽しいなあ」と感じて。それ以来、どこかへ行くたびに古本屋さんを見て回るようになりました。

──その頃は、まだそれを記録に残すようなことはしてない?

古ツア してないですね。で、家に古本がたまっていくんですけど、その頃……2008年くらいはまだネット古書店とか盛んではなくて、だったら「ネットで本を売ったら面白いんじゃないか?」と思いついて。それはまだ実行していないんですけど、その宣伝のためにあのブログを始めたんですよ。

──ブログタイトルに「ツアー」って入ってるのが前から不思議だったんですが、バンドのツアー絡みだったんですね。

古ツア せっかく仕事で全国を旅することができて、各地の古本屋さんを見て回ってるんだから、それを書き留めていったらおもしろいんじゃないかという。ようするに自分が作るネット古書店に誘導するようなトピックですよね。

──それが動機だったとは、初めて知りました。

古ツア わたしが始める以前から、古本についての話をするブログはありましたけど、全国の古本屋について書いてる人なんてほとんどいなかったので。それで始めてみたら、どんどん面白くなっちゃって。

古本屋ツアーをするときのマイルール

──古本好きとして、とくにこの分野を集めてる、というのはありますか? ミステリーが多いのかなとは思うんですが。

古ツア いや、それ(ミステリー)はブログを始めてからですね。もともと好きではあったんですけど、いろんな本を読んでいて、むしろ「もういい加減ミステリーという年齢でもないだろう」と思ってる自分もいたんですよ。だけど、古本屋ツアーを始めて、いろんなところに行って、いろんな人と知り合うと、古本屋の先には必ずミステリー好きがいるんです。そういう人たちを見てると、みんなちゃんと自分の道を貫いていて偉いな、と思います。それに影響されてミステリーも集めるようになったというか、その分野のことも勉強して、読んだりするようになりました。

──では、ことさら特定の分野に集中してコレクションしているというわけではない?

古ツア おもに集めてるのは、ミステリーのいちジャンルとしての探偵小説と、それから派生して昭和初期の風俗関連とか、書誌とか、そういうのが好きですね。それとは別に児童文学とか、昔から好きなシュールレアリズム関係とか、おもむくままに集めてます。でも、自分の中では全部それらがつながっていて、バラバラっていうわけではないんですよ。

一軒目「千章堂書店」の店頭で手にしているのは創元推理文庫の『僧正殺人事件/ヴァン・ダイン』。これを買われたかどうかは、古ツアさんのブログでご確認ください

──以前、古ツアさんは「古本屋に行ったら必ず1冊は買う」とおっしゃってましたよね。それも含めて、古本屋ツアーをするときのマイルールというか、ルーチン作業的なものはなんでしょう? ブログ用に店頭の写真は撮ってるじゃないですか。でも、店内の写真は撮らない。まあそれは当たり前のモラルでもありますが。

古ツア そうですね。「必ず1冊は買う」っていうのも、最近は初訪問の店に行く機会が減っていて、いつも行ってる地元の店では、そうそう買いたい本があるわけじゃないから、そのルールは崩れてきてます。でも、いちおうルールとして言うなら、店頭の写真を撮って、1冊は買って、あとは「客として過ごす」ってことですかね。

──「客として過ごす」?

古ツア ようするに、最近はこういうブログをやってることが古本業界でも知られるようになって、そうすると、古本屋さんに行ったとき最初に名乗れば店内のチェックもやりやすかったりすると思うんですよ。でも、あえてそういうことはせず、本当にただの一般客として店を見て、帰っていくという。だからこれ(※店内のことを記録したメモ)が必要になるんです。

──そう、古ツアさんといえば、マメに書かれた店内の見取り図と、商品構成のメモです。「さすらいの十年展」でも、膨大な量のメモが圧倒的でした。

古ツア 普通のお客さんとして来店したなら、店内でメモなんかとっていたら怪しまれます。だから、どの棚に何が並んでいるかを必死に記憶して、店の外へ出てから見取り図を描くんです。

──記憶で描いたにしては、かなり克明にメモが残されているのに驚きます。それはやっぱりデザイナーという職業と関係してるんですかね?

古ツア どうなんでしょう。最初にブログを始めるとき、他の古本系のブログと差別化を図るために店内の描写を細かくするってことを決めたんですよ。そのためにはどこに何があるかを記録して、それを克明に書く。でも、人によってはあれを読むのが苦痛だっていう話もあるんですよ(笑)。外国文学だ、日本文学だ、社会思想が第一通路と第二通路にあるとか、そういう風に書いてあっても、それは単なる事象の羅列なんで。

──とはいえ、データの羅列も他にやっている人がいなければ、そこに価値は生まれます。

古ツア 最初は、店で扱ってるジャンルをメモするだけだったんですけど、そのうち見取り図も描くようになってからは、文章にもふくらみが持たせられるようになりました。だから、古本屋を巡るだけではなく、メモをとったり、見取り図を描いたり、それをテキスト化したり、そういう一連の行為がおもしろくてどんどんハマっていったという感じでしょうか。

このような書き込みが全ページ続くメモとノート。この感じに似たものを見た覚えがあるなーと思ったら、受刑者が獄中で残したノートだった

──小さいメモ帳と大きめのノートがありますが、その違いはなんですか?

古ツア 大きい方のは、本の雑誌社で『古本屋ツアー・イン・京阪神』っていう本を作ることになったときに使った専用のノートなんですよ。関西のお店を1日に何軒か回って、いつものようにメモをとって、見取り図を描いて、文章もここに日記的に書いてしまう。

──これ一冊がそのまま単行本の叩き台になるわけですね。

古ツア 多分、こういう行為が好きなんでしょうね。直接パソコンでテキストを打たないで、まずノートに書いてから、それをパソコンで清書していくんです。これは自分でも不思議。

──見取り図はともかく、文章だけならスマホにメモすればテキストをそのまま流用できるのに。

古ツア なぜそうするのか、自分でも意味はわかんないです。

──でも、コレクターのおもしろさって、こういう余計な段取りを踏むところにもあったりするんですよね。合理的ならいいってもんじゃない。

記憶によって頭の中に構築した見取り図を歩く

──それにしても記憶力がすごいです。ぼくは短期記憶が弱いので、店内で覚えても外へ出たらその瞬間に忘れてしまいそう。

古ツア コツとしては、頭の中に店の見取り図を作るんですよ。

──レクター博士の「記憶の宮殿」みたいな。

古ツア とにかく覚えられようが、覚えられなかろうが、店内を全部見ながら歩くんです。で、気になった本があったら抜いていき、それで会計を済ませて外に出てからメモするんですけど、やっぱり落とすというか忘れるところもあるんですよ。それでもとにかく歯抜けのやつをこういう風に書いておいて、あとで頭の中を再び歩いて歯抜けの図と照らし合わせます。そうすると、ああ、これがあったな、あれもあったな、とポツポツ思い出していけるんですよ。

──あ、やっぱりレクター博士だ(笑)。

古ツア ただ、それをするには1日に2~3軒が限度ですね。あんまりたくさんの店を回ると記憶が混ざっちゃって、あとで思い出せなくなる。それと、すごく品揃えのいい店と出会ったりすると、本の方に気持ちが集中し過ぎて、記憶がおろそかになります。「わっ、こんなもんがある!」って。

次の店に向かって歩く。古ツアさんは何か1冊購入したようだけど、ぼくはちょっと欲しい本が見つけられませんでした。修行が足りない……

──古本屋さんって、分類がちゃんとしてる店だと覚えやすいじゃないですか。でも、同じ分野の本があっちこっちに散逸してたりする雑な店もあって、そういう店は覚えにくいでしょう。

古ツア 記憶が滲んだ感じになっちゃいますね。分類の仕方がすごく変な店とか。

──分類が変といえば、ぼくがやっていたマニタ書房(※2017年から2019年まで神保町で古本屋を営業していました)にも古ツアさんは何度か来てくださいました。店内をご覧になってみて、どう思われました?

古ツア いやあ、おもしろかったですよ。だって、普段とみさわさんが考えてるようなことがそのまま棚に現れていたじゃないですか(笑)。

──本棚というのはその人の頭の中だと言いますからね。

古ツア とみさわさんの家に遊びに行ってる感じで、楽しい店でした。

失われつつある古本屋という業種の観察者

──この名刺ホルダーのようなものはなんですか?

古ツア これらは古本屋巡りの派生物というか、ショップカードやメンバーズカードで、古本屋さんを“モノ”として集められるものですね。

──これに手を出すのはコレクターの性(さが)ですね。ぼくは古本屋のカードは集めてないけど、ラーメン屋のショップカードは、ついもらってしまいます。

古本屋さんのショップカードやメンバーズカード、スタンプカードを納めたホルダー。可愛いキャラクターがデザインされたものが多いですね

古ツア でも、これも集めすぎてもう飽和状態なんですよ。ホルダーに入れていくと、ホルダー自体が無限に増殖していって。他にも、包装紙とか、栞とか、古本屋の名前が入っているものに関しては保存するようにしてるんですけど、そうするとB5のファイルがパンパンに膨らんだものがたくさん集まっちゃったりして。

──古本屋ではあまり見かけないけど、新刊書店では店オリジナルのブックカバーがあります。

古ツア 書皮(しょひ)ですね。あれを集めてる書皮マニアもいます。

──中古盤屋のレコード袋を集めてる人もいました。

古ツア ははは、見てるだけなら楽しいんですけど、集め出すとどうにも困りますね。うちもこれ(ショップカード)以外に、買い集めた本が山ほどあるわけで。

──いま、全国的に古本屋さんが減少しつつありますが、古ツアさんとしては、どんな思いですか?

古ツア うーん、悲しい気持ちみたいなものはありつつ、一方で、記録できる喜びもあるんですよ。「こういうお店があった」と。だから喪失感というよりは、古本屋巡りの記録を書籍として残せてるのが嬉しい……と言ったらおかしいけど、ありがたいことではあります。

──そういう意味では、やっぱり古ツアさんは古本のコレクターというよりも、古本屋の観察者なのかもしれませんね。

古ツア それでも、わたしが切り取れるのは(自分が活動した)一時期だけですけれどね。それと、古本屋さんって移り変わりも激しいでしょう? 古本屋ツアーの本も何冊か出しましたけど、時間が経つと掲載したお店でもどんどん閉店したところが出てきて、実用として役に立たなくなっていくんです。

──情報が古くなってしまう。

古ツア そういうことなので、あくまでも記録として見てもらえれば、こちらとしては嬉しいかなと思います。

二軒目は「古書コンコ堂」。さっそく店頭に出ている棚をチェック。110円均一の中にもいい本が眠っていたりするから気は抜けない

──最初に出版された『古本屋ツアー・イン・ジャパン』が、けっこう大判でページ数も多いボリュームのある本だったじゃないですか。それからあまり間をおかないうちに2冊目も出されましたよね。失われつつある古本業界にしては情報量がすごいなと思って。

古ツア 2冊目は神保町編なので。

──『古本屋ツアー・イン・神保町』の後も、『イン・首都圏沿線』『イン・京阪神』と立て続けに出版されました。最初の『イン・ジャパン』から3年後には、その続編の『古本屋ツアー・イン・ジャパン それから』まで出されています。

古ツア 1冊目がベストセラーになったわけでもないのに、ありがたいことです。

──古書組合が運営している「日本の古本屋」というサイトに、古ツアさんは『それから』執筆時のことをコラムとして寄稿されてましたね。そこには「もはや二千軒ほど調べ回っているので、二冊目と言えどネタに困ることはまったくなく、この分ならまだ後五冊は出せるぞ!と、勇ましく思ったりする始末」なんて恐ろしいことを書かれていました(笑)。

古ツア 古本屋の本ってマニアックなジャンルだから、確実に買ってくれる人がいるんですよ。そこまで多くはないでしょうけれど。

近場の店に通うことで見つけた新たな楽しみ

──最初におっしゃっていたバンドに帯同することがなくなったいまは、地方遠征も意識的にやらないと行くことができませんよね。

古ツア バンドの仕事をやってたときも、途中から古本屋巡りがおもしろくなって、仕事がないときでもわざわざ地方の古本屋へ行くようになってたんですよ。それに、バンドって一年中ツアーに行ってるわけじゃないんです。春から夏にかけてのツアーと、秋から冬にかけてのツアーがある。そのとき以外をどうするかって考えて。それで、まずは都内の古本屋を巡るようになって、でもそれだとネタが尽きてくるんで、だんだん地方にも足を延ばすようにしていきました。

──自腹で(笑)。

古ツア そう。ツアーで行くときは交通費も宿泊費もバンドの経費なんですけど、個人的に行くときは自分で払わなきゃいけないわけじゃないですか。それは当たり前のことなんですけど、秋田のすごい古本屋まで往復で2万とか3万とかかけて行って、100円の本を買って帰ってくるとか。そういうバカなことをやってました。最近はさすがにそこまでのことはしてませんが。

──ブログを読んでいると、「タレコミがあった」と言って新店オープンに駆けつけていることがよくありますね。それはやっぱり古本仲間の情報ネットワークみたいなものがあるんですか?

古ツア そうです。ブログを読んでくれてる方がたくさんいらっしゃるんで、そういう人たちが古本屋さんの開店・閉店情報を教えてくれるんです。ただ、バンドの仕事をしていた頃と違って、地方の古本屋さんの情報を教わっても、いまはおいそれとは行けないのが悩ましいところですね。

──都内か、せめて関東近郊ならいいんですけどね。

古ツア 昨日もそれで荻窪にできた新しい店(※荻窪北口に開店した「古書かいた」さん)に行ってきたところです。

──それにコロナ禍もまだ終わってはいないから、遠出するのは憚られます。

古ツア だから近場を巡るっていうことがすごく多くなってきて、そうなるとまた新しい喜びというか楽しみというか、本当にいままで近所の店っていったら、たとえば週に1回とか、月に1回とか行けばそれで満足してたんですけど、視点を変えて毎日行ってみると、やっぱりちゃんとしてる古本屋さんは品出しとか頻繁におこなってるんですよ。

──ああ、埃をかぶってない。

古ツア 店頭の商品も動いてるし、どんどん右から左へ本が動く。そういうお店を見に行くのがすごい楽しみになってきて。違う発見がある。

古本を売るためにわざわざ古本を集める

──先ほど一緒に阿佐ヶ谷の古本屋さんを回っているときに「東京と大阪で本を売ってる」とおっしゃってましたね。それについてもう少し詳しく教えてください。

古ツア それはいま話した「近所のお店に毎日行く」という話ともつながってくるんですけど、店頭での動きがいいお店や、おもしろいお店は常にチェックして、気になる本をどんどん買っているとすごい勢いで本が溜まっていくわけですよ。自分で読みたくて買う本もあるけど、読まずに手放してもいい本だってある。それで、東京と大阪の古本屋さんに委託して売りに出してるんです。

──それはネット通販ではなくて、実店舗ですか?

古ツア 東京は西荻窪の盛林堂書房さんで。

──あそこは積極的にマニアの方に棚貸しをしていますね。喜国雅彦さんの棚もあります。

古ツア それと、大阪は梅田の蔦屋書店さんです。

──蔦屋書店って、あの(TSUTAYAとかの)蔦屋書店ですか?

古ツア そうです。梅田の蔦屋書店には古書ゾーンみたいなところがあって、そこに大阪のジグソーハウスという古本屋さんとわたしが本を並べてます。けっこう場所を大きくとってもらって。

──じゃあ、その盛林堂書房と蔦屋書店へ定期的に補充する感じですか?

古ツア そうですね、ひと月に1回くらい送って。でも、そうやって東京と大阪で古本を売ってると、そのために買わなきゃいけなくなってくるんですよ。

──あはは、こんどは売るためにわざわざ集める(笑)。

古ツア で、補充するのを怠ると、本当にガクッと売れなくなるんですよ。

──先ほどの「店頭での動きがいいお店はおもしろい」ということにつながりますね。

古ツア それもあって、近場のいいお店を定点観測してるんです。まあ、そういうことをしつつ、古本屋というものを楽しんでるんです。だからまあ、古本屋ツアーからいろいろ始まったんですが、だんだん古本を売ったりとかそういうこともするようになり、しまいには古本屋さんの手伝いまでするようになって。

──ブログを見てたら盛林堂書房さんの買い取りに同行されていたりしましたね。

古ツア あれはあれで人の本棚が見られるからおもしろいんですよ。とくにいま集中的にやってる日下三蔵さんの蔵書の片付けは、やってもやっても終わらず、やってもやってもすごい本が出てくる。

──業界で有数の蔵書家ですからね。

古ツア とにかく本を手放さない人だったので、盛林堂さんと一緒に行って「これこれ、ダブりダブり!」とか言いながらヒモで縛って(笑)。いろいろやってきた末に、そういうことができる(見られる)のは幸せですね。

三軒目は作家の切通理作さん(左)が経営されている「ネオ書房」。映画、特撮などの分野に強く、古本以外にも駄菓子などがある楽しいお店

──「古本屋ツアー・イン・ジャパン」のブログは、まだ当分は続けるおつもりなんですよね?

古ツア 自分の身の置きどころというか、古本との付き合い方は少しずつ変化してきてると思うんですけど、あのブログはずーっと継続してるし、何かしら書くことがあるんで、続けていこうとは思ってます。

──じゃあ、次は「古本屋ツアー・イン・ジャパン さすらいの二十年展」ができるまで頑張ってください。

古ツア 始めたのが2008年で、すでに14年目ですから「二十年展」もそう遠い話じゃないですね。

最後に訪問したのは「銀星舎」。ぼくは古書コンコ堂、ネオ書房、銀星舎でそれぞれ1冊ずつ欲しい本を発見できました

──最後にひとつだけ変なことをお伺いします。小山力也さんって同姓同名の声優さんがいますが、あの方と間違われたことってあります?

古ツア 何度もありますよ。いま歯医者さんに通ってるんですけど、そこでも間違われてます。治療されながら「声のお仕事だから……」みたいなことを言われて(笑)。本の雑誌社の取材で岡山の万歩書店に行ったときも、店の方に勘違いされました。あと、別のパターンとしては親戚から電話がかかってきて「あんた、ジャック・バウアーの声やってんの?」って言われたりとか。

──わはは、『24 ─TWENTY FOUR─』の(笑)。

古ツア そういう話には事欠かないです。

店内撮影協力:ネオ書房様、古書コンコ堂様

(取材後記)

取材をしたのは2022年の7月8日。お昼に阿佐ヶ谷に集合し、待ち時間のときにツイッターを覗いてみたら、安倍元総理の衝撃的な事件のニュースが流れてきた。もう心がざわついて気もそぞろになってしまったけれど、なんとか無事に取材をこなすことができたのは、ぼく自身も馴染み深い古本の世界がテーマだったからだろう。

友達と古本屋に行っても、相手がどんな本を物色しているかはジロジロ見ないのがマナー。当日撮影した写真を受け取って、初めて古ツアさんがどんな本に興味を持っていたかがわかった。取材にご協力いただいたネオ書房さん、古書コンコ堂さんには、改めて御礼を申し上げます。

(この連載は、毎月第1金曜日の更新となります。次回は9月2日の予定です。どうぞお楽しみに!)

 

  • 取材・執筆とみさわ昭仁

    コレクションに取り憑かれる人々の生態を研究し続ける、自称プロコレクター。『底抜け!大リーグカードの世界』(彩流社)、『人喰い映画祭』(辰巳出版)、『無限の本棚』(筑摩書房)、『レコード越しの戦後史』(P-VINE)など、著書もコレクションにまつわるものばかり。最新刊は、自身とゲームとの関わりを振り返った『勇者と戦車とモンスター 1978~2018☆ぼくのゲーム40年史』(駒草出版)

  • 撮影村田克己

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