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今やユーチューバーの人気スポット・北朝鮮は危険がいっぱい

金正恩の「旅行者200万人」計画の裏側

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’18年8月、国内を視察中の金正恩委員長。観光立国を目指し、精力的にリゾートホテルや商業施設などを回っている

「報道関係者への入国規制が極めて厳格な北朝鮮政府が、なぜYouTuberは受け入れているのか。それは、彼らをまだ危険視していないからです。YouTuberは当局が案内した場所を撮影するだけ。また、観光に力を入れ始めた北朝鮮としては、彼らがネット上にあげる動画は、宣伝にもなると考えているはずです」(元朝鮮総連職員の安宿緑氏)

日本人男性が北朝鮮当局に拘束されたことが明らかになり、2週間が過ぎた。北朝鮮旅行はいま、過激な動画を投稿することで収益を上げているYouTuberの間で高い人気を呼んでおり、この男性も動画撮影を目的に現地入りしたと見られている。

「拘束されたのは、滋賀県出身の39歳の映像クリエイターとされています。中国の旅行会社を通じて北朝鮮へ入ったようです。軍事施設を無断で撮影したために拘束されたと言われていますが、日朝会談に向け、金正恩が有利な交渉材料を得るための策略という見方もあります」(全国紙ソウル支局記者)

YouTuberに限らず、北朝鮮にはいまや、誰でも簡単に、気軽に行けるようになっているという。

「3泊4日で平均予算は20万~30万円。1名からでも申し込めます。現地では必ず『案内員』と呼ばれるスタッフが2~3人ついて、各地を回ります。旅程は細かく決まっていますが、ビーチに行きたい、サーカスが見たい、と事前に希望しておけば、それに沿った内容のツアーを組んでくれます」(前出・安氏)

北朝鮮政府は正式発表をしていないため、正確な人数を把握するのは困難だが、日本からの旅行者は年間で100人程度。欧米では5000人前後、中国では1万人以上が毎年訪朝しているようだ。

「観光は北朝鮮が経済制裁されていない唯一といってもいい産業で、外貨獲得のこれ以上ない手段なんです。北朝鮮旅行でお土産を買う際には、円やドル、元にユーロと、様々な外貨で支払いができます。金委員長は、’20年までに現在の10倍以上、200万人の外国人観光客を誘致することを大真面目に計画しています。そのために、リゾートホテルや商業施設、スキー場を開発。欧米人のニーズに合うよう、サーフィンツアーまで立ち上げさせている」(北朝鮮関連の旅行会社関係者)

とはいえ、北朝鮮は国民を完全な監視下に置く独裁国家だ。安易な気持ちで旅行に行き、万が一ルールを破れば、様々な危険が待ち受けている。実際に北朝鮮で軟禁されたことがある、フリー編集者の江建氏が恐怖体験を振り返る。

「’07年11月、私は中国から列車で北朝鮮へ入りました。4泊した旅行中は特に問題なし。『あとで全てチェックする』とは言われましたが、写真を撮るのも禁じられませんでした」

問題は、日程を終え、列車で中国へと戻るときに起きた。2度の停電で列車が長時間停まったため、中国国境を越える前に滞在ビザが切れてしまったのだ。

「案内員が用意したホテルに強制的に収容され、『絶対に外に出るな』と。ホテルも停電していて、部屋は真っ暗でした。じっとしているのがとにかく怖くて、ホテルの中くらいなら大丈夫だろうと、部屋のドアを開けた。そしたら、案内員がドアの前で仁王立ちしていたんです。『どこ行くの? 出ないで』と言われ、部屋に戻された。暗い部屋のなかで、『このまま出国できなかったらどうなるのか』と、一睡もできませんでした。結果として翌朝に許可が下り、中国に戻れました。北朝鮮では向こうがその気になれば簡単に拘束される。外部にSOSを出すこともできません。興味本位で行くのは、絶対にやめたほうがいい」

金正恩がいかに観光立国を目指そうと、日本人にとって北朝鮮が、「近くて遠い国」である現実は変わらない。

平壌市内の地下鉄。案内された場所に限り、旅行中は撮影も自由

日本人編集者が軟禁されたホテル。停電でほとんどの時間真っ暗

韓国との国境にある北朝鮮側の施設。軍人がドアを封鎖

国境施設内でガイド(中央)に説明を受ける外国人旅行者

 

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