安心安全な”最強の副業”「音声配信」で稼ぐカリスマたちを直撃!
スマートスピーカーの普及もあり、ビジネス規模が急拡大! ヒマな時間におしゃべりを配信するだけで一年に数百万稼ぐ猛者も
「趣味で配信していて、気づいたら年間750万円を超える収入になっていました。一度に10万円の『投げ銭』をしてくれる人もいます」
そう話すのは、音声配信アプリで配信者として1万6000人のフォロワーを持つひかるさん。「こんなに稼げるとは思っていなかった」という。音声配信サービスは近年、手軽に儲けられる副業として注目されている。
ITジャーナリストの三上洋氏は音声配信市場についてこう語る。
「”見る”コンテンツは数年前から飽和状態。スマートスピーカーなどデバイスの普及もあって、音声配信市場が急拡大しています。これまでラジオや音楽などプロの世界だった音声配信ですが、最近は一般人も気軽にトークを配信できるようなアプリが人気です」
さらに、音声配信アプリは特に収入につながりやすいと指摘する。
「映像配信者に比べてフォロワーが少ない音声配信者ですが、課金をするコアなファンが多く収入につながりやすい。声だけだと長時間の配信がしやすく、ファンにとって身近な存在になれるのでしょう」(三上氏)
音声配信アプリは基本的に「配信者のトークをリスナーが聞く」アプリだ。ラジオに似ているが、違いは「投げ銭」と呼ばれる課金アイテムを配信者に送れるところ。トークのお礼に投げ銭するリスナーもいれば、歌や「言ってほしいセリフ」をコメントでリクエストし、高額の「投げ銭」をする者もいる。「投げ銭」は運営料を差し引いて配信者の収入となるため、熱狂的なファンが多いほど稼げるということになる。前出のひかるさんが弊誌の直撃取材に応じた。
「『Spoon』というアプリを使っています。歌や雑談を配信して、多いときは100人、平均で40人ほど来てくれますね」
4年前から配信をはじめ、現在は経営するバーで働きながら週に2~3回自宅から配信している。ひかるさんの店で働くスタッフの一人、Aさんは元々配信のファンだったという。
「インフルエンザに罹って寝込んでいたとき、アプリで配信を聞いたのがきっかけです。ひかるさんの配信を聞くうちに、お世辞を言わない芯のある人柄に惚れ込んでしまい、この人の下で働きたいと思いました」
8月末にはもう一人、ひかるさんのファンが京都からお店がある水戸に移住してくるという。なぜ顔が見えない声だけの配信者に、そこまで惹かれるのか。
「声だけだからこそ、家族にも言えない恥ずかしい話もでき、深い信頼関係を築くことができました。音声配信アプリを介さず普通に出会っていたら、私はいま水戸にいないと思います」(Aさん)
多額の課金をするファンたち
クリエイターとして活動する傍ら配信者として月140万円稼いだことがあるというKIBAOさんは、音声配信が人々にウケる理由をこう分析する。
「音声は映像よりも生活の中に溶け込みやすい。習慣化して一日一回か二回は配信するように心がけると固定ファンがついてくれます」
音声配信アプリでは投げ銭の額で配信者が順位付けされるため、「お気に入りの配信者の順位を上げるため、月末に投げ銭を増やす視聴者も多い」という。
「ホストと似ていますね。稼ごうと思ったら、沢山課金してくれる常連のお客さんを作るのが大事。私の配信では、実家がお金持ちの19歳の女子大生が100万円課金してくれたこともありました」
アパレル店員をしながら配信者として活動するZOOさんは、毎朝出勤前の空き時間で配信している。
「話す内容は決めていなくて、視聴者さんのコメントを読みながらアドリブで今日の気分とか、予定についておしゃべりしています。寝坊することも多いので、時間もカッチリとは決めていません」
一回の配信で10万円稼ぐ一方、自身もリスナーとして課金しているという。
「月に30万円くらい課金しています。人によって投げ銭があったときのパフォーマンスが違うんです。安いアイテムのときは『ありがとう』だけど、高価なアイテムのときは『お前は俺のもの』と言ってくれたり。視聴者さんたちの反応を見るのが楽しいし、自分の配信の勉強にもなりますね」
新しいサービスゆえ、まだ利用者数は映像配信ほど多くないが、近い将来この界隈から億万長者が生まれるかもしれない。




『FRIDAY』2022年8月12日号より
PHOTO:濱﨑慎治