「敵は中国」 自衛隊が参加した環太平洋合同演習を密着取材

撮影・取材:菊池雅之

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海上自衛隊の護衛艦「いせ」を発艦する哨戒ヘリコプター「SH-60K」。「いせ」は全長197mで最大11機のヘリを搭載可能


「ミサイル接近中!」

警戒アナウンスが響くと、海上自衛隊の護衛艦「いせ」の艦内は一気に緊張が高まった。探知した目標物を追跡し迎撃へ。垂直発射装置から2発の艦対空誘導弾が発射され、敵のミサイルを模した標的機を撃墜した――。

8月2日までハワイ島沖などで環太平洋合同演習「リムパック」が行われた。日本や米国、オーストラリアなど25ヵ国が参加。’71年から実施されている「リムパック」だが、今回は大きな変化があったという。取材した、フォトジャーナリストの菊池雅之氏が語る。

「過去2回(’14年、’16年)は中国を招待していました。しかし中国の覇権主義はエスカレートする一方。南シナ海のスプラトリー諸島に人工島を建設しミサイルを配備するなど、ハワイより西の太平洋を統治するという姿勢を明確にしています。米国のトランプ大統領はこうした強硬な態度に激怒し、5月に中国の招待取り消しを決定しました。今回のリムパックでは、中国を敵とみなした演習が多く行われたんです」

陸上自衛隊は、今回初めて12式地対艦誘導弾を参加させた。射程は百数十kmにおよび、陸上から敵艦艇を攻撃できるミサイルだ。中国海軍の領海侵入を防ぐために来年度以降、沖縄県宮古島など南西諸島に順次配備される。

「発射!」

米軍射撃場から発射された誘導弾は、垂直に打ち上がると上空で水平に方向転換。10分ほどで約90km離れた沖合に浮かんでいた、目標の退役米戦車揚陸艦に命中した。

訓練を見守ったロバート・ブラウン米太平洋陸軍司令官は、報道陣にこう語った。


「日本の地対艦誘導弾は素晴らしい装備。『中国艦艇を危険にさらすことができる』という強力な警告になる」

前出の菊池氏が話す。

「’16年12月には空母『遼寧』を含む大艦隊が、宮古島の北東110㎞の海峡を抜けるのが確認されています。日本は、ただ指をくわえて見ているしかありませんでした。リムパックの訓練成功を受け宮古島にミサイル連隊を置けば、領海侵入抑止と中国軍機や艦艇の往来を牽制できるでしょう。一方の中国も、今回の演習を黙視していたワケではありません。情報収集艦『東調』を派遣し、日本を始めとする各国艦艇の無線通信の傍受や電波分析など”スパイ行為”を行っていたんです」

憲法が改正される前に、自衛隊は米軍と一体化して完全な「軍」となってしまったように見える。日本は再び戦争への道を歩き出してしまったのか――。

艦上で行われた災害対処訓練。地震や豪雨など多くの災害を経験した日本が、訓練を主導する

「いせ」から発射される艦対空ミサイル「ESSM」。発射されたミサイルは2発とも目標に着弾

 

Photo Gallary3

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