医師が教える「猛暑とコロナ」の今夏に絶対にしてはいけないこと | FRIDAYデジタル

医師が教える「猛暑とコロナ」の今夏に絶対にしてはいけないこと

医師・大脇幸志郎の「よく考えたらもっともな提言」

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猛暑とコロナ。今、日本の「健康」が危ない。気鋭の医師が語るこの夏を生き延びる方法とは。我々は「健康」の意味を考え直すときがきたのかもしれない
猛暑とコロナ。今、日本の「健康」が危ない。気鋭の医師が語るこの夏を生き延びる方法とは。我々は「健康」の意味を考え直すときがきたのかもしれない

新型コロナに「治療」はない

「先月、新型コロナにかかりました。軽症でした。ワクチン3回接種していましたし持病もありませんから、生死に関わる心配はしていませんでした。が…正直、きつかったです」

こう言うのは、医師で「健康」に関する著書も多い大脇幸志郎先生だ。7月中旬に感染、発症したのだという。

「0歳の子どもも罹患して、2~3日高熱でした。38度の熱で寝られませんし、ずっとぐずっていてかわいそうでした。しかも私と妻がほとんど同時に感染、発症したので、高熱のピークも同時で。その晩はほんとうに辛かったです。熱でふらふらしたまま、子どもを抱っこしてました」

専門的な医療知識をもち、新型コロナに関する国内外の論文を多数読み込み、発言している医師でも「軽症といっても辛かった」のだという。

「でも、その経験をもったうえではっきり言えるのは、『若くて元気な人は、発症しても慌てず自宅療養を』ということ。

病院に行っても、今のところ新型コロナの『治療』って、とくにないんです。高熱ならば解熱剤、これは効きますが、そのほかの例えば咳止めとか去痰剤などは、はっきり言って効かない。咳止めとハチミツの効果が同じくらいとも言われます。だから薬の代わりにハチミツを食べてもいいし、大事なのは水分とできれば食事もしっかりとって、体を休めることです。

今、『コロナかな』と思っても、若くて持病がない人なら、無症状のときはもちろん、軽い症状があっても、病院に行かないほうが自分のためです。薬を出されても治療上の利益があまりなく、かえって隔離がたいへんな負担になります。それより、家で休んだほうが絶対いいです」

高熱の場合、熱を下げると楽になるし、解熱剤は「唯一、薬らしく効く」が、それ以外は効果効用が期待できない。体調不良で病院に行き長時間待って体に負担をかけるより、家で体を休める。そうして病院に行く人が減れば、必要な人が医療を受ける余裕ができる。個人にとっても社会にとっても有益だという。

「1900年に、ハワイ・ホノルルのチャイナタウンで大火事がありました。火元は伝染病・ペスト対策として建物を焼いたことです。感染源とされた、社会的弱者である日本人、中国人が多く住む地域を、街ごと焼いてしまった。

今、COVID-19のパンデミックで、有効性の不確かな私権制限が行われ、弱者が迫害され、社会格差が拡大している状況は、当時のペスト対策とそっくり同じ。感染症医療の歴史は、人類の愚行の歴史なんです」

大脇先生が翻訳をした『ホノルル ペストの火』には、当時の「感染症対策」の詳細が記録されている。今読むと信じられないような「対策」だが、たしかに今日に繋がっている。

健康より大切なこと

「コロナ禍は、もう2年半続いています。現状、水際対策、陰性証明やマスク着用など、ここまでの『対策』をしている国は、もう日本だけです。我々にとって今必要なのは『コロナを気にして生活を壊さない』ことではないでしょうか」

大脇先生はかねてより「健康」より大切なのは「幸せに生きること」だと説いている。

「今年の猛暑、本当に身体に堪えます。高齢の方はもちろん、若くても中年でも、命の危険があります。だから例えば暑くてアイスでも食べたいとき、ダイエットはお休みしていいです。肥満による生活習慣病って、何年、何十年先の心配ですよね。でも、熱中症は、今日明日の命にかかわるんです。そんなときに食事制限や痩身目的のジョギングなんか、している場合ではありません。

そもそも、なんでそんなに『健康』にこだわるのか。『健康のためなら死んでもいい』なんて冗談がありますが、よく考えてほしい。人生の目的は幸せに生きることです。だから、とくにこんな異常な気象の時期は甘いものでも冷たいものでも好きなものを食べて、機嫌良く元気に過ごすことがいちばんです」

夏の猛暑対策は、①クーラーを使って温度調整をする、②水分を十分にとること、と言われています。

「医師としては、まずその2つですね。水分補給は大切ですが、特別な飲料ではなく、ふつうの水やお茶でOK。運動などでものすごく汗をかく人でなければ、塩分は食べ物からとれる量で十分です。そして好きなものを食べ、幸せに過ごすことです」

そして「生活」を守る

一家全滅の感染、発症を乗り越え「新型コロナはもう、第○波と数えることに意味がない」と笑う大脇先生。

「COVID-19については、まだまだわからないことが多くて、世界中の研究者たちがどんどん論文をあげています。懸命に読んでいますが、僕もその全てを追えていません。ただ、そういったまっとうな『医学的研究』に基づかない『言説』が溢れていることは、とても危険だと思います。よく話題になるマスクについては厚生労働省がまとめていますが、ここに載っていないことはどっちでもいいんです。不確かな情報は聞かなかったことにしてください。

コロナを流行させない方法は、今のところありません。生活を壊すことなく、付き合っていく。世界中の国で、厳しい対策をやってもやらなくても、コロナは数か月ごとに増えたり減ったりしています。猛暑が落ち着くころ、コロナも下火になるといいですね」

大脇幸志郎先生は、パフェなどの甘いものが大好き。「好きなことを我慢して生きるのは、幸せじゃないですよね」と笑う
大脇幸志郎先生は、パフェなどの甘いものが大好き。「好きなことを我慢して生きるのは、幸せじゃないですよね」と笑う

大脇幸志郎:東京大学医学部卒業後、出版社勤務、医療サイトのニュース編集長を経て医師に。高齢者の訪問診療業務に携わるとともに、著作や放送を通して医療情報を発信している。著書に『「健康」から生活をまもる 最新医学と12の迷信』『医者にまかせてはいけない』など。新刊の翻訳書『ホノルル ペストの火 一九〇〇年チャイナタウン炎上事件』(生活の医療社)には、人類愚行の歴史から学ぶべきことが示唆されている。動画配信『大脇幸志郎のもっと不健康でいこう』は、最新の医学情報が紹介され好評。

大脇先生が翻訳した『ホノルル ペストの火』(生活の医療社)には、現代の日本と重なる問題が多く記されている
大脇先生が翻訳した『ホノルル ペストの火』(生活の医療社)には、現代の日本と重なる問題が多く記されている

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