桜田淳子ら“芸能人と宗教”が「切っても切れない」関係のワケ | FRIDAYデジタル

桜田淳子ら“芸能人と宗教”が「切っても切れない」関係のワケ

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今話題の統一教会の信者で「合同結婚式」を挙げた桜田淳子。芸能人と宗教の深い関係を浮き彫りにした出来事だった…
今話題の統一教会の信者で「合同結婚式」を挙げた桜田淳子。芸能人と宗教の深い関係を浮き彫りにした出来事だった…

安倍晋三元首相の銃撃をきっかけに『世界平和統一家庭連合(旧統一教会)』が30年の時を超えて再びクローズアップされることになった。連日、自民党との関わりについての報道が途切れることなく続いている。

統一教会についてはおそらく40代以下の人たちには初耳と言っていいほど馴染みのない宗教団体だろう。70年代から80年代にかけて、すでに『霊感商法』が問題となって一部週刊誌がキャンペーンを張って警戒を促していた。

だが、その実態どころか名前さえ知らない人がまだまだ多かった。この団体の名が日本中に知れ渡るきっかけになったのが今から30年前、’92年8月に韓国・ソウルで開催された『合同結婚式』だ。

何千人という男女の信者が創設者の文鮮明が選んだ組み合わせで結ばれるという儀式。その殆どが会場で初めて会うのだという。

この年の合同結婚式はソウルのオリンピックスタジアムで開催され、参加したカップルはゆうに2万組を超えていた。同行事が大々的なニュースになったのにはワケがある。あの桜田淳子が参加していたからである。

当時はすでにアイドルではなかったが女優としても活躍中で、翌’93年に公開された映画『お引越し』で複数の映画賞も受賞していた(これが彼女の最後の出演作となった)。

しかも、この年の合同結婚式には当時新体操の女王と言われて人気のあった山崎浩子(のちに脱会)、バドミントン選手の徳田敦子、有名作家の娘でワイドショーのキャスターを務めていた飯干景子(のちに脱会)も参加していた。話題にならないわけがない。

当時、桜田は“広告塔”として合同結婚式に参加するにあたって会見を開き、

「価値観が一緒で人生の目的が同じ人が集まるのだから、不安はありません」

と宣言してみせた。むろん、テレビや週刊誌は総力を挙げて統一教会について報じ始めたのだった。

この合同結婚式によって世の中の多くの人がこの教団について興味を持つようになったのだが、それには芸能人、有名人の存在が大きかったと言えよう。当時、雑誌で“面白かった記事”のアンケートを取ると、“芸能人と宗教”に関する記事は必ず上位に位置していた。それだけ読者の興味があるのだろう。

特に伝統宗教と異なる新宗教、あるいは新興宗教と呼ばれる、それも歴史が新しく一般には知られていない宗教団体が、何かのきっかけで耳目を集めるようになったとき、必ずと言っていいほど編集長から記者に

「誰か芸能人が入信していないか調べろ」

と命令が下されるのも、そんな理由からだ。

’94年の『松本サリン事件』、翌年の『地下鉄サリン事件』と日本中を恐怖のどん底に陥れた『オウム真理教』。そのオウムにも芸能人の信者がいた。鹿島とも子だ。鹿島は『日劇ダンシングチーム』出身の歌手でありダンサーだった。

’82年にスノーモービルの事故で脊椎を損傷し、芸能活動ができなくなってしまった彼女はリハビリ生活中に知った麻原彰晃の著書に感銘を受け、オウム真理教に入信した。教団の広告塔として活動した。

’94年に教団幹部と共謀して信者ではない長女(当時19歳)も出家させようと拉致し、のちに監禁で逮捕された。拘置中にオウムを脱会したが、懲役2年執行猶予4年の判決を受けた。

さすがにオウム真理教の信者となる芸能人はそうそういるわけではなく、鹿島が出家した時には世間は驚愕したものだ。週刊誌は公判での肉声も取材。また、彼女の祖父が「なぜオウムに傾いたのか」そのプロセスを語った記事を掲載する媒体もあった。

統一教会の『合同結婚式』騒動から6年後の’98年に起きたのが『二穣会』騒動だ。

正式名称は『霊示気学二穣会(れいじきがくにじょうかい)』といい、気学および運命鑑定の会である。厳密にいえば宗教団体とは違うかもしれないが、会員を集め宗教的な儀式を行なっていたことから鑑みて、広い意味で宗教団体と言えるだろう。

なかでも話題になったのが『念金浄化(念金)』と称する行為で、会員から預かった紙幣を“燻して浄化する”ことで運気を伸ばす効果があるとされていた。その紙幣を主宰者が保管していたのだが、主催者の元夫が金を持ち逃げしたため、会員に返還することができなくなった。

そのため、事情を隠して新たな念金を集めるようになり、“預けた念金が返ってこない”といったトラブルが表沙汰に。返金を求める民事訴訟が続発し、ワイドショーや週刊誌がこぞって取り上げた。お札を燃やす映像がテレビで放送されたのを覚えている人は多いだろう。

この『二穣会』の広告塔になっていたのが、女優の佐久間良子。彼女にも責任があるとして民事訴訟を起こされたのだが、責任はないという判決が下された。

また、この時期には佐久間と当時首相だった小渕恵三氏が親しく電話する間柄で、同会の“総師”がこの関係性を会員に吹聴していたという疑惑も追求された。つまり、時の首相を“広告塔”として利用したと。

’03年に女優の若村麻由美が宗教団体『釈尊会』の代表・小野兼弘と結婚したのも衝撃だった。’07年に夫が肝不全のために死去したあとは、ぱったり止まっていた芸能活動を再開している。

近年でいえば、’17年に『幸福の科学』の信者の清水富美加が出家して法名が“千眼美子”になったことも記憶に新しく、大いに話題になった。

“芸能”という先行きの見えない不安定な仕事に従事するタレントが宗教に救いを求めることも少なくないという背景、そして社会的影響力を持つ彼(彼女)らが広告塔として盛り立てられる現象が人々の興味を引く。

そこに「いったいどんな宗教なのか」という教義や慣習に対しての好奇心が重なる。ある写真週刊誌カメラマンの話。

「“山岳信仰”のジャンルに入ると思いますが、ある新興宗教の取材で現在も活躍中の美人女優から『山を登って朝日を拝むところを撮れ』という指示が下ったことがありましたね。全身に光を浴びてご来光に向かって手を合わせる姿は、まるで観音様でしたね」

宗教と芸能人。これからも終わることのない“切っても切れない関係”と言えるだろう。

  • 取材・文佐々木博之(芸能ジャーナリスト)

    宮城県仙台市出身。31歳の時にFRIDAYの取材記者になる。FRIDAY時代には数々のスクープを報じ、その後も週刊誌を中心に活躍。現在はコメンテーターとしてもテレビやラジオに出演中

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