事務所も移転…エヴァ作詞家が明かした「故郷・和歌山への愛」 | FRIDAYデジタル

事務所も移転…エヴァ作詞家が明かした「故郷・和歌山への愛」

エヴァンゲリオンの主題歌『残酷な天使のテーゼ』の作詞家として知られる及川眠子さんは、故郷に税金を納めるために事務所を和歌山へ移転。「和歌山を文化発信の場にしたい」と語る及川さんが、地方創生のために行っている活動を明かした

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道の駅「田辺市龍神ごまさんスカイタワー」に開設した「及川眠子文庫」など、和歌山を文化発信の場にすべく及川さん(右)は積極的に活動している。隣は道の駅店長の小川直さん
道の駅「田辺市龍神ごまさんスカイタワー」に開設した「及川眠子文庫」など、和歌山を文化発信の場にすべく及川さん(右)は積極的に活動している。隣は道の駅店長の小川直さん

「和歌山市で生まれ育ったんですけれど、24歳の終わりに上京して以降は故郷のことを顧みなかったんです。しかし、ここ数年イベントなどで和歌山に行くたびに『なんていいところに住んでいたんだろう』と思うようになりました。山の緑も深いし、紀ノ川や有田川といった美しい大河が県内に何本も流れていて、南紀白浜などの有名な温泉観光地もある。海岸線も風光明媚なところですし、とにかく野菜も果物も魚もすべて美味しい。けれども残念ながら全国での認知率はそれほどでもない。それで少しでも故郷のお役に立てるのならという気持ちから動くことにしたんです」

このように語るのは作詞家の及川眠子さん(62)だ。’89年にレコード大賞を受賞した『Wink』の『淋しい熱帯魚』をはじめ、やしきたかじんの大ヒット曲『東京』など1000曲以上を作詞。アニメファンの間では、カラオケの定番ソングとなっている『新世紀エヴァゲリオン』の主題歌『残酷な天使のテーゼ』でおなじみだろう。

及川さんは昨年10月、東京にあった個人事務所を和歌山県内田辺市龍神村にある道の駅「田辺市龍神ごまさんスカイタワー」に移転して話題を呼んだ。

「このようにすれば、税金が和歌山県や田辺市に入ることになるという理由からです」(及川さん)

今春には、同じ「田辺市龍神ごまさんスカイタワー」の2階休憩室に「及川眠子文庫」も開設された。ここには及川さんが所蔵していたノンフィクション本や漫画、写真集など約3000冊、CD1000枚が収められている。及川さんは’17年から毎年、自身が1年間に読んだノンフィクション本の中で最も面白いと思った作品を選ぶ「及川眠子賞」を行うほどの読書好きでもある。

「小説にはいろいろな賞があるのに、ノンフィクションの部門は少ない。何年もかけて取材しているのに苦労が報われないという分野に、光を当てたいという気持ちもあります。出版社の力関係で賞が忖度されるのではなく、純粋に私の好きなノンフィクション本はコレだという私本位の選考です」

道の駅を運営している地域おこしグループ「龍神はーと」の小川さだ代表が言う。

「眠子先生は自分1人で来るだけでなく、有名無名関係なくいろんな方たちを連れて来てくれます。もちろん皆さん交通費や宿泊費は自費で。中にはそれがきっかけで、その後、幾度も来てくれている方もいます。地方から文化を発信し、地域活性化を目指するためには、とにかく関係人口を増やしていくのが大事だと眠子先生はいつもおっしゃっています。眠子先生のそんな考えの一つを実行したのが『及川眠子文庫』であり、ここをまずは実験台として捉え、次にどうするかを地域の人たちも含めて試行錯誤していきたいと思われているようです」

和歌山県田辺市といえば、’18年5月に発生した「紀州のドン・ファン」こと資産家・野崎幸助氏の怪死事件の舞台としても知られている。実は及川さんには、こんな忘れられない出来事もあるという。

「’18年6月に羽田から南紀白浜への飛行機に乗ったら、杉(良太郎)さんが前方におられて、どこかでコンサートがあるんだろうと思っていたんです。杉さんの少し前の席には、髪の長いスタイルの良い若い女性もいました。そして白浜空港に到着すると、出口には大勢の記者が。杉さん凄い人気なんだなあ、と思いながら出口を通ったら、『来た!』という声が聞こえてバタバタと大騒ぎになりました。そして杉さんではなくあの髪の長い女性を追って行くんですね。それが例の『紀州のドン・ファン』の若妻だったということを知りました」

及川さんは’05年に18歳年下のトルコ人と結婚。夫からたびたびカネの無心をされるようになり、やがては多額の借金を背負ったことを告白して話題を呼んだ。そのいきさつは著書『破婚〜18歳年下のトルコ人夫と過ごした13年間』に詳しく書かれている。

「私はすでにヒット曲があったりして、トルコでもそこそこ知られる存在ではあったので、夫はそれを利用してお金を引っ張ってこようとするところが多々ありました。結果的には一緒にいた13年間で3億円を使い果たし、離婚時には7000万円の借金を背負うことになりました」

彼女は数年前に出演したテレビのバラエティ番組で、年収は毎年3000万円以上あり、いまもエヴァ関連の収入が絶えないことを明かしている。それでも借金を背負ったことは苦しく、最近やっと抜けられたと笑う。

「他人から見たらなんて酷い男に騙されたんだって感じでも、私からすればめちゃくちゃ面白い13年間でした」

波乱万丈の人生を歩んだ末に、故郷・和歌山への愛に目覚めた及川さん。今後の活動についてはこう語った。

「私は和歌山を文化の発信の場にしたいんです。将来的には音楽家のスコアや漫画家の原画も見られる知財図書館を作るとか、龍神村や南紀白浜を舞台にした映画を製作するとか、単なる観光地だけではない多角的な場として位置づけられれば嬉しいと思っているんですよ」

及川さんのような著名人が積極的に活動していくことは、地方創生が進むきっかけになるだろう。

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