俳優・窪塚愛流が語る「どんな役にも溶け込める俳優になりたい」
個性派の役者を父に持つZ世代のアイコン
「自分と似た役より、かけ離れた役の方が演じやすい。自分にとってまったく未知な役のほうが、どんどんアイデアが出てきて楽しいんです」
一つ一つ言葉を探すように語るのは、俳優の窪塚愛流(あいる)(18)。’20年に芸能活動を本格化して以来、ドラマ『ネメシス』(日本テレビ系)など話題作に出演。モデルとしても各雑誌で特集が組まれるなど、いま大注目の若手俳優だ。
「自分の演技を見ていると、まばたきが多すぎるなとか、細かいところまで気になります。でも重要なのは自分の演技が作品にどう貢献できるかだと思います」
まだあどけなさの残る顔つきだが、演技の話をするときは真剣な表情になる。現在放送中の「Z世代に向けたエール」をコンセプトにしたドラマプロジェクト『ばかやろうのキス』(日本テレビ系)では、高校3年生の男子生徒を演じている。今年の3月に高校を卒業したばかりだが、実際の学生生活では反対の性格だったという。
「ドラマでは仲間のおふざけを冷静に止めるような役ですが、実際の僕はふざけ過ぎて友達に止められるタイプ。友人と過ごす時間がなによりも楽しいです」
大阪で高校生活を送り、高校卒業後は東京に拠点を移した。カラオケではよく『back number』の曲を歌うという素朴な18歳だ。
「中学では陸上部に所属していたこともあり、その頃は陸上選手を目指していました。ゴールテープを切った時にアナウンスで『1位、窪塚愛流』と呼ばれる感覚が何よりも気持ちよかったんです」
そう語る彼が俳優を志したのは、父・窪塚洋介(43)の存在が大きい。
「幼い頃から父を見てきて、高校卒業後に自分の進路を考えたとき、自然と俳優になりたいと思いました。14歳で豊田利晃(としあき)監督に声をかけて頂き、映画『泣き虫しょったんの奇跡』に出演しました。高校時代、クラスメイトにアスリートやアイドルとして活躍する人がたくさんいたんです。そんな中でとても強く刺激を受けて本格的に俳優になりたいと父に相談しました。」
父に信頼を寄せつつ、俳優としての存在の大きさを感じることもあるという。
「父のことは大好きですし、尊敬しています。でも自分が出演した作品の取材で、関係ないはずの父のことを聞かれるのは他のキャストやスタッフさんたちに申し訳ないと感じることもあります。いつかは実力で父と共演したいです。僕の演技力がまだまだなので今はしたくないですが……」
窪塚は、本誌の取材の直前まで金髪だったという。真っ白に近い金髪にした背景にはある俳優への憧れがあった。
「独特の雰囲気を持った俳優さんに憧れます。映画『溺れるナイフ』の菅田将暉さん(29)の雰囲気が好きで同じ髪型にしました」
窪塚が抱く理想の俳優像とはどのようなものなのか。
「菅田さんのように、どのような役にも染まることのできるカメレオン俳優になりたいです。幼い頃から『ごくせん』や『クローズ』を見てきたのでそういう役もやってみたいし、ヤンキーとは真逆のお医者さんなどの役にも挑戦したい。いい意味で自分の色を無くしたいです。たくさん映画に出演するのが今の目標です!」
窪塚はこれから加速度的に、もっと高みに向かっていくはずだ。



『FRIDAY』2022年9月2日号より
撮影:足立百合