老舗組織で何が…「極東会」で「絶縁状」＆「怪文書」が頻発中

極東会の松山眞一元会長（享年94）が亡くなったのは今年５月のことだった。

〝カリスマ〟と謳われた大物ヤクザの死去の一報は当時、業界内に瞬く間に駆け巡った。

「松山五代目が都内で亡くなったのは５月７日。翌日にはヤクザ界隈でも『松山さんが亡くなった』との情報が巡り、９日に新聞各社が松山五代目の死去を報じました。松山五代目のカリスマ性は業界でも広く知られていた。同じ５月末には住吉会の関功代表も亡くなり、ヤクザ界でも一つの時代が終わりを迎えたような空気が漂いました」（暴力団関係者）

極東会は東京・歌舞伎町に本部を構える的屋系組織。東京のみならず埼玉、山形など１都12県に勢力を持ち、的屋系では日本最大とも呼ばれる暴力団である。ちなみに、的屋系の団体で指定暴力団に位置付けられているのは極東会のみである。

しかし、その一方、ここ最近になって組織内で最高幹部らの絶縁状や怪文書が飛び交うなど内紛とも疑われる動きが活発化しているという。

「内部の問題が浮き彫りになったのは松山会長が亡くなる直前の４月付で関係先に回された絶縁状です。そこには極東会のある最高幹部の『絶縁』、そして極東会の２次団体として知られる中核組織の理事長の『破門』処分が明記されていました。処分の理由は、この幹部らが松山元会長の居室に飾られていた純金の扇子を無断で盗み出し、私用に換金したこと、また松山元会長の経費を横領したとのこと。もちろん真偽は不明ですが、扇子は稲川会の清田次郎五代目から松山会長に祝儀として送られたものだという説明も添えられおり、書面では幹部たちの行為を『犬畜生にも劣る極悪非道を犯した行為』とかなり強い言葉で糾弾しています。絶縁状の差出人は、極東会の現会長になっています」（暴力団ジャーナリスト）

そして５月には『極東会会員の皆さん！』と題された書面が関係先に出回る事態が起こった。差出名は「憂志会」。いわゆる〝怪文書〟である。

「怪文書は『五代目松山真一親分亡き後、間もないのに大変なことが起きています』（原文ママ）という言葉とともに金の扇子問題がうやむやになっているという内容が記されていました。さらに『今度も稲川会初代より極東会に贈られ松山五代目居室に飾ってあった「金の松」が、持ち出されようとしています』（原文ママ）と、またもや絶縁状に書かれた最高幹部らを名指しで批判。こちらも真偽は定かではありませんが、前回の破門状と繋がる内容になっています」（同前）

怪文書はさらに続く。７月に安倍晋三元首相が奈良での遊説中に銃撃される事件が起こると『安部元首相凶弾に倒れる』（原文ママ）という書面が極東会関係者の間に流れた。今度の差出名は「新宿憂志会」なる団体だ。

「こちらも同じ最高幹部の名前を出し、極東会で起きた過去の事件にまつわる行為について非難しているものでした。驚いたのはこの怪文書とは別に、極東会のある顧問による実名の糾弾文書が登場したこと。書面では扇子問題や五代目極東会にあった直参制度の廃止についても言及し、『五代目松山親分逝去の後、極東会の運営が一部の輩によって蹂躙され、私物化されていることに重大な危機感を持つこと余りある現状』と現政権を厳しく非難。極東会とは『離別せざるを得ない』とも書かれており、『このような神農道に反する行為に対しては（中略）断固反対します』と結ばれています。正直、これを見た時は『この紙は本当なのか』と首を傾げるしかありませんでした。極東会の顧問と言えば組織の重役も重役です。その人物が実名を出して現体制を批判しているわけですから、にわかには信じられないほどの衝撃的な物言いです」

突然の最高幹部の絶縁状に加え、怪文書まで飛び出すなど異例続きとなっている極東会。一体、組織で何が起こっているのか。

「極東会の内部にはいくつかのグループがあるとも囁かれている。絶縁状や怪文書の真偽はともかく、界隈で『松山元会長の死去をきっかけに内紛が起こっているのではないか』と噂になっているのは確かです」（警視庁関係者）

どこの世界も、「カリスマの死」は大きな動揺をもたらすようだ。