モチベアップで売り上げ増!コロナ禍でもホストが「バブル」のワケ | FRIDAYデジタル

モチベアップで売り上げ増!コロナ禍でもホストが「バブル」のワケ

ホストクラブの業績が絶好調。その裏では「在籍ホストのモチベーションアップ」のための様々な施策が行われていた

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大手ホストグループ「シンスユーグループ」が行った「夏フェス」の様子。グループに在籍する数百人のホストが一堂に会する一大イベントである
大手ホストグループ「シンスユーグループ」が行った「夏フェス」の様子。グループに在籍する数百人のホストが一堂に会する一大イベントである

コロナ禍にありながら、近年のホスト業界は「バブル」ともいえる好業績が続いている。その裏には、一昔前とはかなり変わったホストクラブの経営戦略があるという。

「昔の歌舞伎町のホストクラブは、グループとして経営戦略を建てるということはあまりありませんでした。グループ同士の意味のない小競り合いも多かった。それが現在は、大手グループの一強という感じになっています」

そう語るのは歌舞伎町で長年働いてきたホストのサトル(仮名、30)だ。

「今では歌舞伎町の半分以上の店舗は大手グループの傘下かフランチャイズです。大手のほうがやっぱり広告力がありますし、〇〇グループってだけで箔になりますからね。給料よりも知名度を求めるホストは特に、大手に在籍してそこで売れることを意識していると思います。グループ間での交流も多く、最近は『セミナー』をグループを越えて行っているところもあります」

実はホストクラブは頻繁にセミナーや講習会を行っており、その内容は多岐にわたる。「ホストたるものどうあるべきか」という基礎的な心得を教わるものから、初回で来たお客様への接客講習、挨拶の練習、さらには内勤スタッフを含む運営サイドの動きやSNSの講習会といったものもある。

最近ではホストがホストに教えるだけでなく、SNSのインフルエンサーやマナー講師による講習会も行われている。かくいう筆者も、自身のホストクラブ通い経験をもとに、数十名のホストの前で講習会を行ったことがある。

セミナーや講習会を通じて大手グループが特に意識しているのは、「いかに在籍ホストにやる気を出させるか」ということだ。ある大手グループで運営に携わるベテランホストが語る。

「ホストクラブは基本的に『なりたい』と言ってきた人なら誰でも雇います。そこから一人でも多く売れっ子を出し、なおかつ他の店舗に移籍させないのが経営陣の仕事です。そのために、ホストクラブではひっきりなしに社員旅行などのレクリエーションを企画するんですよ。一般企業じゃあり得ないくらい、ホスト同士が仲良くなるためのイベントをやっている。そうやってグループや店舗への帰属意識を作るんです。

一昔前はあくまでホストは個人事業主で、グループは箱を提供するから頑張って売れてくださいね、という関係性でした。しかし今は『この店で売れたい』『この店をデカくしたい』という愛着を持たせて売れっ子を移籍させないようにし、安定して売り上げを伸ばしていくことが重要になっています。そういうホスト側の承認欲求を満たすカラクリを作るのが経営側の仕事ともいえます」

ホストの帰属意識と承認欲求を満たすために、近年多くのホストクラブが開催しているのが「夏フェス」である。上半期に多額の売り上げを叩き出したホストを表彰するだけでなく、ホストたちによる出し物、経営陣によるパフォーマンスなどが行われ、グループのホスト数百人が一堂に会するビッグイベントである。壇上にあがるホストの様子を見て、「こんなかっこいい男になりたい」「みんなに憧れられる存在になりたい」と奮い立たせる。また、その盛り上がりを見せて「このグループに入ってよかった」と思わせるのだ。

少し前まではホストのモチベーション維持が主たる目的だったため、クローズドに行われていた夏フェスだが、近年は新規キャスト募集や女性客へのPRとして、ネット上でフェスの様子を配信したり、有名人を来賓としてフェスに招待する動きも出てきている。売り上げに関係なくイケメンコンテストを行い、売れていないホストにもスポットライトを当て、優勝者に有名ユーチューバーとのコラボ権を付与するなど、ありとあらゆる方法でホストたちのモチベーション上げる方法を模索している。

さらに、前出のベテランホストによると、ホストクラブの運営に女性が携わることも増えてきているという。

「最近は女性を広報やデザイン部門で雇うことが増えてきました。『男から見てカッコイイ!』というプロデュースが必要なケースと、『女性からみてカッコイイ!』と思ってもらうためのPR戦略が必要なケースがそれぞれありますから。女性目線での戦略を取り入れるためにSNSのコンサルタントを雇ったり、ホストクラブに通っている女性から意見を聞く店舗は増えていますね。ただやはり、お店に通っているお客さんからすると女性とホストの絡みを嫌がる方は多い。なので、ほとんど女性社員は表に出てきません(笑)」

「内勤者(キャバクラで言う黒服)」に女性を雇用しようとしたが、応募者が常連の女性客だらけになってうまくいかなかった……という話も聞く。キャストのリクルート以上に運営・経営陣にどれだけ優秀な人材を取り込めるかが、今後のホストクラブ経営のカギになっていきそうだ。

「夏フェス」に参加した筆者。最近は、SNS活用法についての講習会に招かれることもある
「夏フェス」に参加した筆者。最近は、SNS活用法についての講習会に招かれることもある
「夏フェス」では売り上げ上位のホストなどが次々と表彰される。それを見て、他のホストは「俺もいつか」とやる気をみなぎらせる
「夏フェス」では売り上げ上位のホストなどが次々と表彰される。それを見て、他のホストは「俺もいつか」とやる気をみなぎらせる
  • 取材・文ライター・佐々木チワワ

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