吉村知事の”引退”が視野に…日本維新の会代表選の「裏事情」 | FRIDAYデジタル

吉村知事の”引退”が視野に…日本維新の会代表選の「裏事情」

  • Facebook シェアボタン
  • X(旧Twitter) シェアボタン
  • LINE シェアボタン
  • はてなブックマーク シェアボタン
7月の参院選の際の吉村氏と松井氏(撮影:共同通信社)
7月の参院選の際の吉村氏と松井氏(撮影:共同通信社)

いよいよ日本維新の会にとって初の代表選が行われるが、どうも盛り上がりに欠けている。

足立康史衆院議員、梅村みずほ参院議員、馬場伸幸共同代表の3者が立候補するも、告示前の早い段階から松井一郎代表が馬場共同代表の支持を表明。結果的に立候補予定だった古株の東徹参議院、吉田豊史衆議院議員らは辞退することになり、一気にトーンダウンした感は否めない。

「現状では99%ともいえる確率で馬場さんに決まるとみています。松井代表が早々と馬場さんの支持を口にしたことで、ほぼ全ての国会議員が馬場派に回っています。圧倒的な投票数で馬場新代表が誕生するでしょう。最古参の一人で、有力な対抗馬だった東徹議員の出馬断念を松井さんが説得したようで、情勢が決定づけられた形です。ある国会議員は『本音では他の選択肢も考えたいけど、もし別の候補者に入れたら党での立場がなくなりますから』とボヤいていました」(全国紙在阪の市政担当記者)

そもそも党幹部の中ではかねてから馬場共同代表支持の方向性で固まっていたという。それでも他の候補者が手を挙げたのは、吉村洋文副代表の動向も大きいという声がある。大阪維新の会所属の議員がこう話す。

「吉村さんが代表選に出ないということは随分前からの既定路線でした。むしろ以前から党内で噂があった、”吉村知事辞職説”は未だに根強く残っています。一度決めたらテコでも動かない人ですから。23年の知事選には出馬せずに役職変更をして、後任が落ち着いたタイミングで引退する可能性が高いという話しが出ています。もし吉村さんが代表選に出るならほぼ勝ち目がない。ただし、他の議員だとまだ可能性はある。それだけに今回の代表選では、ポスト松井さんを担う上でどれだけ存在感を示せるか、という意味合いも大きかった」

吉村知事については、大阪だけでなく、日本維新の会の中でも同じような見通しを耳にする。日本維新の会に所属する議員が明かす。

「吉村さんは大阪万博に対し、自ら先陣を切り並々ならぬ思いで実行に向けて動いてきた。25年の万博を集大成としてその後は政界から離れる、という見方をする党の人間も多いですね。選挙の度に全国に駆り出され、さすがに疲労の色も隠せなくなってきている。本人も『大阪のことに集中したい』と周囲に漏らしているので。

仮に政界を離れたとしても、橋下徹元代表のように弁護士と並行でタレント活動をしても、メデイアからは引っ張りだこでしょう。大阪では藤田文武幹事長に横山英幸府議、東京では音喜多駿、柳ヶ瀬裕文ら”ポスト吉村”の人選を見極めるために若手登用も進めている。ただし、長年維新の顔だった松井代表が辞めてスムーズな世代交代が出来るかは疑問が残ります」

今回の代表選では、馬場共同代表の後を足立康史政務調査会長が追う形だ。足立議員といえば、党内きっての政策通としても知られている。元経産官僚というキャリア組の足立氏だが、地方も含め泥臭い選挙戦を展開しているという。

「日本維新の会の票が馬場さんに集まるため、足立さんは全国行脚して地方議員に協力を求め、挨拶の連絡をしてまわっています。もともとはとっつきにくい方でしたが、すごくフランクな口調で真摯に『頼むよ』と懇願されていた。正直、だいぶ印象が変わりましたね。足立さんも東徹さんも、松井代表に要職を外され、馬場さんとの折り合いも決して良くない。新体制になればこれ以上の上がり目も少ないと考えているのでしょう。足立さんは特に今回の代表選にかける本気度を感じますよ」

気になるのは、党内でカリスマ的な存在の松井現代表が退き、党の広告塔として全国区の人気を誇る吉村知事が代表選に出馬しないとなると、果たしてトップが党をどうまとめといくのか、ということだ。維新の会の声を拾っていくと、現状では馬場氏以上の適任者はいない、という意見が大半を占める。

「党代表という他党との調整や役所との折衝など泥臭い仕事も求められる立場で考えると、馬場さんのほかに出来る議員は思い浮かばない。実際にこれまでも内部のことをよく把握し、外部との調整役もやってきたので。今の段階で経験が足りない若手にバトンタッチとなると、バランスが崩壊することが目に見えている。その一方で、一定数の”反馬場勢力”が存在することも事実です。代表選に伴い、松井さんが早々と馬場さん支持を表明し、裏で動いたのも、党内での派閥や権力争いを牽制する意味もあった。そして、四の五の言わずに『馬場さんの下でまとまっていくぞ』というメッセージが込められていた。だから、今回に関しては馬場さん以外の選択肢はないわけです」(前出・日本維新の会議員)

松井代表の置き土産的な意味合いもあり、十分な下準備のうえ、新体制への基盤づくりが行われてきたということだろう。ただし、日本の維新の会の若手議員の中にはこんな声もある。

「現体制は明らかなトップダウンで、若手にとっては風通しが良いとは言えません。それが新代表になってどれだけ変わるか、という点は若手議員達が一番気にしているポイントです。ただ、代表選に伴う自民党以上ともいえるガチガチの派閥管理の様子をみると、大きな変化はないのかもしれませんが……」

7月の参院選では立憲民主党を比例票で上回るなど、野党第一党に迫る勢いの日本維新の会。新たなる党の顔はその追い風を加速させるのか。今日27日の投開票の結果は、新制維新の会を占う第一歩となる。

  • 取材・文栗岡史明撮影共同通信社

FRIDAYの最新情報をGET!

Photo Selection

あなたへのおすすめ記事を写真から

関連記事