旧統一教会問題で注目の紀藤弁護士『ほん怖』警告ツイートの深刻度
テレビの制作現場が頭を抱えている――。
安倍晋三元首相の銃殺事件に端を発した旧統一教会問題。追及の急先鋒である弁護士の紀藤正樹氏が8月20日放送のフジテレビ系『ほんとうにあった怖い話 夏の特別編2022』にクギを刺したのだ。
紀藤氏はツイッターで
《この種の番組を放送するのは辞めてほしい。いまだに続けているのがわからない。霊感商法に利用されるだけです。テレビは事実に基づき報道すべき》
と投稿。同番組には宗教家・霊能力者がスタジオ出演。再現ドラマに出てきた幽霊について解説し、心霊現象が起きたら盛り塩を玄関に置くと除霊できるとアピールし、除霊を正当化するような発言があった。
そうしたことから紀藤氏は別日のツイートで
《本当に困りもの。フィクション/非科学的な話とするなら徹底すべきで宗教法人の教祖を“心霊研究家”“宗教家”として演出する手法自体ミスリーディングで放送倫理にも触れる可能性があります》
と厳しく指弾した。
一連の旧統一教会問題では、信者の勧誘の仕方に
「先祖の霊が怒っている」
「よくない霊がついている」
などと相手の不安を煽る手法が取り入れられている。安倍元首相を襲撃した山上徹也容疑者の母親も、旧統一教会入信のきっかけは、家族に関する不安を巧妙に刺激されたからだと言われている。
そうした背景もあり、紀藤氏はツイッターで異例の警鐘を鳴らしたのであろうが、これに顔面蒼白なのがテレビの制作現場だ。
「心霊番組では霊能力者による解説が一般的。これまでは全く問題になってこなかったが、旧統一教会の一件が騒がれたことで完全に潮目が変わってしまった。今後は細心の注意を払わねばならない」(テレビ局関係者)
ネット上でも旧統一教会問題が連日報道される中でのこの扱いに、
《なぜこのタイミングで出演を許可したのだろう》
《フジはことの重大さを理解しているのか》
など、辛らつな意見が並ぶ。
紀藤氏は心霊番組を全否定しているわけではなく、霊能力者の“特別な力”にスポットライトを当てた演出は控えるべきだという考え。前出のテレビ局関係者は
「自称霊能力者の半生を紹介したり、除霊シーンの放送は厳しくなるでしょうね。除霊シーンは視聴者ウケも良かったのですが…番組の最後に『話の中にはフィクションも含まれます』などの注釈をつける必要も出てくるかもしれない」
と語る。
Googleなどのプラットフォームでも、不安をかきたてる現象や陰謀論、詐欺の片棒を担ぎかねない情報は厳しく制限されている。怪談は夏の風物詩だが、同時に霊感商法に利用されてしまう危険もはらむ。
旧統一教会問題によってテレビ各局は新たな難問を突き付けられることになったようだ――。
写真:REX/アフロ