いまだからこそ知っておくべき「台湾有事であがる株20」 | FRIDAYデジタル

いまだからこそ知っておくべき「台湾有事であがる株20」

東アジアに走った突然の緊張 防衛関連は三菱重工業、半導体のソニーやドローン関連にも注目が集まる

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右上:台湾経済の生命線、TSMC。米中両国にとって、半導体のメガ企業に近付くことが重要 右下:海上自衛隊の護衛艦『のしろ』。三菱重工業は広分野で国防に関与 左:ACSLはさまざまな企業と連携してドローンを開発。インフラ維持や防災への活用も期待
右上:台湾経済の生命線、TSMC。米中両国にとって、半導体のメガ企業に近付くことが重要 右下:海上自衛隊の護衛艦『のしろ』。三菱重工業は広分野で国防に関与 左:ACSLはさまざまな企業と連携してドローンを開発。インフラ維持や防災への活用も期待

日経平均3万円を目掛け、上がり調子だった日本株市場が、にわかに反転している。その一因は「台湾有事」。沖縄・与那国島からわずか80㎞の距離に中国の演習中のミサイルが着弾するなど、もはや対岸の火事でないことは明らかだ。こうした地政学リスクから、一部の機関投資家の間では日本株を手仕舞いする動きも見られる。

一方で、外交上の緊張が高まると注目が集まる企業があるのも事実だ。今回は投資のプロに、有事の時に知っておきたい銘柄を挙げてもらった。

まずは、防衛関連の銘柄だ。第2次岸田改造内閣発足後の8月10日の会見で、首相は防衛力の抜本強化を強調した。台湾有事をにらんでの発言で、これに反応して価格が上昇した関連銘柄もあった。株式アナリストの鈴木一之氏が言う。

「防衛費増額で確実に潤う三菱重工業、川崎重工業、IHIの3社は外せません。特に三菱重工業は、かつて需要減で倒産した中小の防衛関連企業の技術や人材を引き取って拡大し、請負先の筆頭格になっています。また、武力衝突の緊張が広がれば、哨戒機や補給機のニーズも高まります。その点で、電線の巻線加工に強みがあり、航空機用電源システムなどを手掛けるシンフォニアテクノロジーの値動きに注目です」

「サイバー防衛」がトレンドに

市場に「国策に売りなし」という格言があるように、防衛銘柄は確実に押さえておきたいジャンルだが、近年はサイバー分野も重要だ。今年のウクライナ侵攻においても、ロシアが軍事攻撃よりも前にサイバー攻撃を始めていたことが明るみに出た。そのことに鑑(かんが)みると、日本も官民一体でサイバー防衛に力を入れていくことになるだろう。

証券アナリストの宇野沢茂樹氏は次のように言う。

「FFRIセキュリティは国内のサイバーセキュリティ研究開発でほぼオンリーワンの実績を持つ企業です。政府機関や大手企業への採用にも実績があり、激化が予想されるサイバー攻撃対策で重要な役割を担っていくはずです。同様に、サイバーセキュリティクラウドのAI技術を活用したセキュリティサービスも需要増が期待されています」

防衛関連では、ドローンの存在感も増してきている。もっとも、今回の場合は軍事用途ではなく、インフラ維持の活用への期待だ。宇野沢氏が続ける。

「日本郵便と業務提携を結ぶACSLは、インフラの点検や流通、防災に重点を置いたドローンのサービスを提供しています。有事となると物流がストップするリスクが生まれますし、ドローンの活用に期待がかかるようになるでしょう」

台湾は、世界最大のシェアを持つ半導体企業TSMCを擁する、半導体開発のフロンティアになっている。仮に半導体のサプライチェーンが寸断されるほどにまで台湾有事が深刻化した場合、高い技術を持つ日本企業の株にシフトする投資家が増えていくだろう。

「TSMCと合弁の半導体工場の建設を熊本に計画しているソニーグループの需要が高まるかもしれません。他の半導体関連では、パソコンをはじめありとあらゆる電子機器に組み込まれるプリント配線板のトップメーカーであるイビデンも押さえておくべき銘柄でしょう。8月発表の決算でも会社計画を上振れるなど、好業績を維持しています」(マーケットバンク代表の岡山憲史氏)

最後に、台湾有事に関連して株価が上がるかもしれない〝意外な銘柄〟はないだろうか。経済ジャーナリストで雨宮総研代表の雨宮京子氏は言う。

「台湾に限らず有事が発生した際は、資金の避難先として安定した業績のディフェンシブ銘柄が買われる傾向にあります。その中で割安なのが、中古ゴルフクラブ専門店を経営するゴルフ・ドゥです。ECサイトに成長性がありますがゴルフ関連銘柄では目立たない存在のようで、お宝ディフェンシブ銘柄と言えます」

意外な銘柄として、マーケットアドバイザーの天野秀夫氏は次の銘柄を推す。

「私が注目しているのは湖池屋です。湖池屋は台湾に連結対象子会社を持っており、実は『カラムーチョ』ブランドを中心にスナック市場で台湾2位のシェアを持っています。『応援買い』が入る可能性はゼロではありません」

売却益や配当を得るだけでなく、国際情勢を知る第一歩としても、株式投資は有効な手段だ。

『FRIDAY』2022年9月9日号より

  • PHOTOアフロ 共同通信社

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