芸人・ゼンモンキーが語る「目指すは『KOC』優勝ただひとつ」
アンゴラ村長の元相方に、『バンディ』元日本代表、5つの名字を持つ男…… 異色トリオが描く未来
「早くから賞レースで結果が出せたのは良かったです。ただ、まだまだ実力不足。日本一になるまで歩みは止めません」
そう語るのはお笑いトリオ『ゼンモンキー』のツッコミ担当・荻野将太朗(26)だ。養成所の同期生でボケを担当するヤザキ(25)とむらまつ(25)と共に’20年にデビュー。過去最多の339組が参加した昨年の『ワタナベNo.1決定戦』を1年目にして優勝。さらに『キングオブコント』では3年連続で準々決勝進出を果たした。賞レースを席捲する新鋭トリオだが、結成までの道のりはバラバラだったという。

荻野「僕は早稲田大学のお笑いサークルに所属していました。1年生の時、全くウケなかった僕が勇気を出してコンビに誘ったのが、当時3年生でサークルの中心だった『にゃんこスター』のアンゴラ村長さん。それからはライブのたびに爆笑の連続で『楽しい!』って目覚めて。一気にお笑いの世界にのめり込みました」
ヤザキ「養成所に入った’18年ごろまで約2年間、『バンディ』日本代表としてプレーしていました。『バンディ』はサッカーコート大のフィールドでやるアイスホッケーみたいな競技で、もともと日本にはチームが3つしかなかった。僕はゴールキーパーでしたが、『事務所の定期ライブがあるんで、世界選手権は行けません』って断ったこともありましたね」
むらまつ「僕……親が何度か再婚した関係で名字が5つあるんですよ。昔っから何をやっても熱中することがなかった僕が、唯一熱くなれたのがお笑いだった。大学中退後、21歳くらいまで親戚の工場で働いていたんですが、一念発起して脱サラ。芸人の世界に飛び込みました」
ヤザキとむらまつが繰り広げるすれ違いシチュエーションを、荻野の緩いツッコミが引き立てる。独特な世界観に中毒者が続出中だが、ネタ作りはどのように行っているのか。
むらまつ「デビューしてから、荻野くんの発案で3人とも毎日、ネタを1本あげようってなったんです。ただ僕もヤザキくんも10日ほどで脱落しちゃって……」
荻野「3人とも前のコンビではネタを書いていたんです。だから『全員ネタ書けるトリオってかっこいい!』って思っていたんですが、結局こうなるっていう」
ヤザキ「申し訳ない! でも内容的にも荻野くんがズバ抜けていた。今は荻野くんが作った台本を元に、3人でネタ合わせする中で作り上げています」
荻野「運よく1年目から『ワタナベNo.1決定戦』で優勝できましたが、実力はまだ足りないと思ってました。『ワタナベNo.1決定戦』以降、1年以上タイトルを獲れていない。焦りはあります」
むらまつ「だからライブも8月は40本くらい出ます。さらに新ネタも毎月3〜5本はやっています。今はしっかりと腕を磨く期間だと思っていますね」
ヤザキ「あれ? むらまつくんがネタ作ってるんだっけ?」
むらまつ「いいだろ! たまにはいいこと言わせてよ(笑)」
自分たちの性格を「真面目なんです」と語るように、インタビュー中は常に謙虚な姿勢を崩さなかった。そんな3人だが、今後の野望についてだけは、大きな夢を堂々と明かしてくれた。
荻野「やっぱり『キングオブコント』で優勝したい。……というよりします! あ、断言しちゃった」
むらまつ「やっぱりコント師の一番の目標だと思うので。今年は準々決勝で負けてしまいましたが、来年は達成したい」
ヤザキ「僕はずっと冠ラジオをやりたいって夢があるんです。そのためにもまずは『キングオブコント』で優勝して、それを名刺代わりにラジオに挑みます!」
3人の挑戦はまだまだ続く。


『FRIDAY』2022年9月9日号より
PHOTO:足立百合