レッドソックス戦力外 沢村拓一「日本復帰が困難な」特殊事情
登板直後の非情通告だった。
8月29日(日本時間)のレイズ戦に2番手としてマウンドに上がったレッドソックスの沢村拓一(34)は、1回を投げ4安打を浴びメジャー移籍後ワーストタイの3失点。期待を裏切る投球だったが、試合後はさらにショッキングな宣告が待っていた。
「コーラ監督に呼ばれ、メジャー40人枠から外れると伝えられたんです。事実上の戦力外通告ですよ。スグにウエーバーにかけられましたが、獲得に名乗りを上げる球団はなかった。沢村は、3Aへの降格を受け入れました」(スポーツ紙担当記者)
沢村はメジャーに移籍した21年以降、2年間で104試合に登板。連投もいとわず、1度も負傷者入りしていないタフネスだ。なぜ、このタイミングで戦力外となったのだろう。
「今季の沢村の登板数は49試合。50試合登板すると、球団は出来高として5万ドル(約690万円)を払わなければならない契約だったんです。このタイミングの戦力外通告なら、出来高が浮きます。また8月中の放出なら、プレーオフ進出を争うチームがウエーバーで沢村を獲得する可能性がありましたからね。
確かに沢村は身体が強くタフさがありますが、リスキーな投手でもあります。奪三振率が高い一方、制球が悪く四球を出す恐れもある。WHIP(1回に出すランナーの数)は1.4を超え、今季の防御率は3点台後半です。リリーフ投手としては安定感を欠き、投げてみないと調子がわからないギャンブル投手というイメージなんです」(同前)
メジャー2年目で成績急降下のワケ

今後、メジャー再昇格の可能性はあるのだろうか。
「難しいでしょう。沢村は力で押すパワーピッチャーです。球種はストレートと落ちる球という、とてもシンプルな投球スタイル。メジャーの打者が沢村の投球に慣れた今季は、ボールを見極められ昨季より厳しいピッチングが続いています。年齢的な衰えもあり、新しい投球スタイルを身につけない限り高い評価を得られる可能性は低いと思います」(米国在住ライター)
メジャー昇格が難しいとなれば、考えられるのが日本球界復帰だろう。だが、復帰にも大きな障害があるという。
「沢村は、日本で“トラブルメーカー”でしたからね。巨人時代の12年10月には人身事故で、親子3人にケガを負わせました。14年10月には六本木で、16年4月には新宿・歌舞伎町で一般男性と暴行トラブルを起こしている。味方がエラーすると、あからさまに不貞腐れたような態度をとるようなこともありました。
コンプライアンスに厳しい現状では、沢村の獲得に積極的な日本の球団は少ないでしょう。メジャー昇格も日本球界復帰も難しいとなれば、韓国や台湾への移籍ぐらいしか選択肢はありません」(同前)
沢村は11年に新人王を獲得し、16年には最多セーブ王となっている。このままマイナーに埋もれるには惜しい存在だ。再び往年の輝きを取り戻せるか、瀬戸際に立たされている。

写真:AP/アフロ