統一教会の内部を撮り続けたフォトジャーナリスト「秘蔵写真」公開 | FRIDAYデジタル

統一教会の内部を撮り続けたフォトジャーナリスト「秘蔵写真」公開

教団内部を撮り続けたフォトジャーナリストが秘蔵写真を公開 ’54年に「世界基督教統一神霊協会」を設立した原点の家、日韓トンネル内部と作業員、世界中から参加していた合同結婚式ほか

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総工費10兆円、全長約235kmのプロジェクト――

日韓トンネルの内部。場所は玄界灘に面した佐賀県の鎮西町(現・唐津市)。韓国南部の釜山まで繫がる計画だ
日韓トンネルの内部。場所は玄界灘に面した佐賀県の鎮西町(現・唐津市)。韓国南部の釜山まで繫がる計画だ

3人の作業員が手を休めている。後方に広がるトンネルの暗闇。上の写真は’88年10月に撮られた、旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)が推し進める「日韓トンネル」の内部だ。撮影したフォトジャーナリストの井上和博氏が語る。

「3人は旧統一教会の信者ではなく、駆り出されたようでした。みんな東北地方の出身で、青函トンネルの工事に携わっていたとか。腕の良い作業員でした」

井上氏は、教団内部を撮り続けたカメラマンだ。同氏の秘蔵写真から、旧統一教会の軌跡をたどりたい――。

日韓トンネルは、全世界を高速道路で結ぶ「国際ハイウェイプロジェクト」の起点という位置づけだ。全長約235kmに及ぶトンネルで日本と韓国をつなぐ計画は、今も続いている。元信者でジャーナリストの多田文明氏が、その狙いを話す。

「目的は微妙に変わっています。計画は旧統一教会の創始者・文鮮明(ムンソンミョン)氏が’81年11月に提唱しました。初期の目的はカネ集めだったと思います。1mm掘るのに5万円かかるとした。『1mm運動』として信者には、一口5万円の献金がうながされたと聞いています。おそらく当初は、献金を募れば本気で実現できると考えていたのでしょう。佐賀県唐津市で起工式が行われ、500mほどが掘られました」

野党候補が当選できたワケ

だが、総工費は10兆円にのぼるといわれる。献金だけでは、とてもまかなえない。多田氏が続ける。

「トンネルは、政治に接近するための手段として使われるようになりました。とくに韓国政府は乗り気です。昨年行われた釜山市長選では、日韓トンネルの実現を公約に掲げた当時の野党候補が当選しています。国家と組んでトンネルを完成させたら、旧統一教会の国際的存在感はより大きなものになるでしょう」

北朝鮮出身の文氏が韓国に渡り、ソウルで旧統一教会の前身『世界基督教統一神霊協会』を創設したのは’54年5月だ。当時住んでいた家の内部には、韓鶴子(ハンハクチャ)夫人との2ショットなど多くの資料が展示されている(写真下)。文氏は「原点」とも言える、この家から布教活動を開始。文氏の教えが韓国だけでなく日本などへ世界的な広がりをみせた理由について、宗教社会学が専門の北海道大学大学院・櫻井義秀教授が解説する。

「文氏の弟子たちが優秀だったんです。例えば旧統一教会の経典『原理講論』を書いた劉孝元(ユヒョウオン)はソウル大学医学部を、『勝共理論』をまとめた李相軒(イサンホン)はセブランス医科大学(現・延世大学)を出た秀才です。彼らが、文氏のブレーンとなって教義をまとめあげた。それが’60年代の世界情勢を反映し、当時の若者にウケたんです」

旧統一教会は信者を増やすために、さまざまなイベントを行っている。代表的なのが、世界中から多くの信者が参加した「国際合同結婚式」だろう。

「安定してカネを集めるための手段として、機能しています。生まれた子供も旧統一教会の影響を受け、カネを出し続ける。また祝福(合同結婚式)は、信者にとって一つのゴールです。伝道(布教活動)や献金の功績が認められれば、祝福という原罪清算のステップに進めます。晴れの舞台なんです」(前出・多田氏)

旧統一教会の収益は、日本からのカネが7割を占めると言われる。背景には、独特の対日工作があるようだ。

「文氏は戦前、日本に留学していました。抗日地下活動に参加し、憲兵から拷問を受けたこともあるとか。罪深い日本から多額のカネをとる発想は、文氏の原体験が影響しているのかもしれません。究極的な目的は、旧統一教会の教えを中心に世界をまとめることです。日本でも旧統一教会の教えを学んだ議員で国会を埋め尽くし、政治と宗教を一つにしようという野望があるのだと思います」(同前)

井上氏が撮った写真からは、旧統一教会の野心や思惑がうかがえる。

教団を設立した当初住んでいた家に飾られている文鮮明氏と韓鶴子夫人の2ショット写真
教団を設立した当初住んでいた家に飾られている文鮮明氏と韓鶴子夫人の2ショット写真
設立当時、文氏の家族が住んでいた家の外観。近くには韓国における旧統一教会本部がある
設立当時、文氏の家族が住んでいた家の外観。近くには韓国における旧統一教会本部がある
文氏家族が住んでいた家の内部。お祈りのための燭台や、家族の写真などが飾られている
文氏家族が住んでいた家の内部。お祈りのための燭台や、家族の写真などが飾られている
’75年に発行された「国際合同結婚式のすべて」。合同結婚式がいかに素晴らしいイベントかを写真入りで紹介
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トンネルの入り口。信者への見学ツアーが頻繁に行われている
トンネルの入り口。信者への見学ツアーが頻繁に行われている

『FRIDAY』2022年9月16日号より

  • 撮影井上和博

    フォトジャーナリスト

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