上皇さまと競馬観戦…追悼エリザベス女王「皇室との交流」秘蔵写真
1枚目のモノクロ写真を見ていただきたい。
撮影されたのは、今から70年近く前の53年6月だ。競馬場で笑みを浮かべながら馬を指をさしているのは、若き日の英国エリザベス女王。横に立つのは、当時19歳の上皇さまだ。英国と日本の王室は、古くから関係が深い。知られざる親交を、秘蔵写真で紹介するーー。
9月8日、エリザベス女王が静養先のスコットランドのバルモラル城で亡くなった。享年96。在位は70年7ヵ月におよび、存命の国家元首としては世界最長寿だった。
「女王が生まれたのは、1927年4月です。父親のジョージ6世が52年6月に死去したため25歳で即位。『開かれた王室』を目指し、王室費の総額抑制を提案しバッキンガム宮殿を一般開放しました。第2次世界大戦中の宰相だったチャーチルなど、仕えた首相は15人にのぼります。
私生活では初恋の人でもあるフィリップ殿下と、47年11月に結婚。昨年4月に殿下が亡くなるまで、お2人は74年間にわたり幸せな夫婦生活を送りました。夫妻の間には4人の子どもがおり、女王の逝去でチャールズ皇太子が新しい国王になります」(全国紙国際部記者)
反日感情の強さをはねのけ競馬観戦
前述の通り、エリザベス女王は日本の皇族との親交を深めてきた。上皇さまが昭和天皇の名代として、初めて英国を訪れたのは53年6月だ。ロンドンのウェストミンスター寺院で行われた、エリザベス女王の戴冠式に出席するためである。
「当時は第2次世界大戦の影が色濃く残り、皇太子だった上皇さまの訪英に英国国民の7割が反対していました。日本に抑留された英国兵士が、大勢いましたからね。しかし女王は、戴冠式を記念して行われたダービーを上皇さまと観戦するなど交流を深めた。
75年5月には女王がフィリップ殿下とともに来日し、京都御所や伊勢神宮を訪問しています。日英関係が親密になったことにより、上皇さまは2人のお子さま(今上天皇と秋篠宮さま)を名門オックスフォード大学へ留学させています」(皇室関係者)
12年5月には、上皇さまが再び英国を訪れている。
「女王の即位60周年を祝うイベントに出席するためです。当時、上皇さまは心臓のバイパス手術受けた直後でした。体調が万全でないにもかかわらず、訪英が実現したのは上皇さまの強い意向だったようです。英国には心臓外科医も同行しました。
そんな上皇さまの意図をくみ、女王も特別にもてなします。即位60周年を祝う食事会には30ヵ国ほどの王族が招待されましたが、女王は上皇さまの席を左隣に用意したんです。女王は上皇さまへ出席への謝辞を何度も述べ、1時間近く会話を楽しまれていました」(前出・国際部記者)
20世紀から21世紀にかけての激動の時代に英国を率いた偉大なる女王の訃報に、日本からも哀悼の声が多く上がっている。
- 写真:AP/アフロ REX/アフロ