フィクションじゃない…「殺人異常気象」で日本沈没の可能性
スペインでは直径10㎝の「雹」が直撃し女児が死亡、100年ぶりの豪雨で大洪水に襲われた韓国、パキスタンでは国土の3分の1が水没した
8月30日にスペイン・カタルーニャ地方を襲った「巨大雹(ひょう)」は世界に衝撃を与えた。
暴風雨のさなか、突如として直径10㎝を超える氷の塊が10分間にわたり降り注ぎ、民家の屋根や車のフロントガラスを破壊。約50人が骨折等のケガをしただけでなく、1歳8ヵ月の女児が死亡するという悲劇も起きた。
「雹は積乱雲の中でできます。入り乱れている上昇・下降気流の中で小さな氷の粒が上下動しているうちに、たくさんの水蒸気がくっついて氷の塊になり、地上に落ちてくるのです。積乱雲が強力になればなるほど雹も大きくなる。10㎝を超える雹を降らせる積乱雲など、滅多に発生するものではありません」(気象予報士の森朗(あきら)氏)
それだけではない。パキスタンでは例年の約3倍、一部の州では5倍を超える降水量の影響で、6月から洪水が発生している。現地のシェリー・レーマン気候変動相は「パキスタンの3分の1が水没した。乾いた土地がないのに、どこに水を排出したらよいのか」とお手上げ状態だ。被災者は3300万人を超え、1300人に及ぶ死者も出ているという。
アメリカ・ミシシッピ州では8月下旬、「500年に一度」とされる大雨が降り、甚大な被害をもたらした。洪水により浄水場の機能が破壊され、水道水で顔も洗えない状態が続いている。
世界の気候は壊れてしまったのか――。地球規模で起きている異常気象のメカニズムを前出の森氏が解説する。
「大きな原因は例年にはないような偏西風の蛇行です。これによって降雨に影響を与える上空の寒気、暖気が流れを変えたり、急激な温度変化を起こし、世界各地に大雨を降らせています。スペインの積乱雲もこの影響で発生しました」
偏西風が蛇行する原因は明らかになっていないが、海面水温の異常が影響しているとも言われている。実際、日本付近に関してはフィリピン、インドネシア周辺の海面水温が上昇しており、それによって例年ならばできないはずの場所に前線が発生。8月上旬、東北地方や韓国に記録的な大雨を降らせた。ソウルでは1時間140㎜という100年ぶりの豪雨により、各地で停電や浸水が発生、都市機能は麻痺状態に陥った。
こんな殺人豪雨に、この秋日本も警戒が必要だ。前出の森氏が語る。
「海面水温が高いということは、それだけ雨を降らせるエネルギーが溜まっているということです。巨大台風が複数発生する可能性が大いにあります。加えて、9月・10月には秋雨前線が発生します。これに台風が南から近づけばさらに危険です。台風が上陸しなくとも、台風が大量の湿気を前線に送り込んでくるため、それだけで記録的な大雨になってしまいます。秋雨前線にせよ台風にせよ、雨雲の元になる水蒸気が今年は多いので、豪雨に見舞われる可能性は高いでしょう」
巨大台風と強力秋雨前線は東京を襲うかもしれない。ソウルと同様に首都機能が麻痺することになれば、日本という国そのものが沈没してしまう危険性もある。





『FRIDAY』2022年9月23日号より
PHOTO:アフロ