19歳で4大メジャー優勝!恩師が見た”女子ゴルフの新星”の素顔
「信じられないって気持ちが一番で、実感がなくて。表彰式で、優勝したんだと少し思えました」
優勝カップを手にし、そう語るのは女子プロゴルファーの川﨑春花(19)だ。賞金総額が億を超える日本女子4大メジャー大会の一つ『日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯』。9月11日に行われた大会最終日で、昨年プロテストに合格したばかりのルーキーが大躍進した。首位の山下美夢有(21)を追いかける格好で、4打差の4位からスタートすると、8番ホールのイーグルを皮切りに、12番ホールからは4連続バーディーを奪い大逆転。19歳133日での優勝は、同大会の最年少記録となった。
アマチュア時代からトップを争う選手だった。2018年には日本ジュニアゴルフ選手権競技で全国2位に。その後、大阪学院大学高等学校へ進学し、2020年には全国高等学校ゴルフ選手権春季大会で優勝している。

「おとなしく見えますが芯の強い選手でしたね。プレースタイルがしっかりしていて、ここぞという時は攻める。スコアを出さないといけない時に結果を出せる選手でした」
川﨑のプレースタイルをこう評するのは、高校時代の恩師でゴルフ部・顧問の富宿高明氏だ。続けて富宿氏は、高校時代の忘れられない試合について1つ、挙げてくれた。
「今でも印象に残っているのは高校3年生の夏の団体戦です。4人で出場なのですが他のメンバーが思うようなスコアが出なかった中、川﨑が孤軍奮闘してくれて最終的に全国で7位入賞までいけた。そこに食い込めたのは彼女のおかげかなって思います。がつがつリーダーシップをとるタイプではないが、しっかりしている子です。いつの間にかみんなが引っ張られている感じなんです」
一方で、競技から離れれば普通の女子高生としての顔を覗かせる。
「ゴルフ以外の時は同級生とワイワイする、至って普通の女の子でした。あとはお菓子好きで、よく食べていましたね。なかでもグミが好きだったようで、友達と頬張っているのをよく見ました」
部活では技術以外に礼儀作法についても指導してきたという富宿氏。そのおかげで選手としても人間としても成長した川﨑は、昨年11月に見事、プロテストに合格。しかしプロ転向後はトントン拍子というわけではなかった。持病の腰痛に悩まされたからだ。富宿氏が続ける。
「高校時代も腰痛で苦しんでいた時期があって、スイングを試行錯誤していました。特に冬場は辛いようで、2年生の冬はスコアが出なくて苦しんだ時期でした。そんな中でもめげずにゴルフに向き合っていましたね。
大会の日、私も会場にいたんですが、スコアや優勝をあまり意識しないで、プレーに集中していた。あれだけのお客さんがいれば緊張したり動揺しても不思議ではないですが、そういう姿が全く見られず、改めてすごい選手だと思いました。彼女本来の強さが出た試合だったと思います。プロになって色んな方から体のケアの指導も受けて、腰痛も改善してきているのでしょう」
今月12日に更新されたメルセデス・ランキングでは78人抜きを果たし、36位へ一気にジャンプアップ。このまま50位以内をキープできれば、来年はシード権を獲得し、より多くの試合に出場することができる。試合後に、川﨑は今後の抱負を次のように語った。
「春ごろは腰痛にも悩まされ、逃げるようなゴルフをしていた。体を治してアマチュア時代のようにビビらず攻めるゴルフに変えた。これからも出場できる試合一つ一つ一生懸命頑張って、目標とされる、応援してもらえるプロになっていきたい」
今後もニューヒロインの快進撃から、目が離せない。
写真:共同通信社