「10年280億円」契約も…村上宗隆”大台到達祝賀会”の夜
イチロー&松井秀喜超え 東京ヤクルトスワローズ 最多本塁打記録更新&三冠王へ驀進中の 史上最強打者にメジャーも熱視線 3年後、ポスティングでの移籍は確実
松井秀喜(48)に並ぶ、記念すべき50本目のホームランをゴーカイに打ち上げたその夜、ヤクルトスワローズの主砲・村上宗隆(22)の姿は南青山(港区)にあった。
愛車のベンツから降りてきた村上は、短パンにオーバーサイズのTシャツというラフな出で立ちで、バーなどが入る商業ビルに入っていった。大台突破の祝賀会でもしているのか、村上が次に姿を現したのは深夜2時を回ったころ。店内で合流したと思われる男性3人と連れ立って店を後にした。特に酔った様子はなく、仲間と別れると、しっかりとした足取りで再び愛車へと乗り込んでいった。
その後も村上の快進撃は続いている。9月14日時点で55本塁打を記録。打率.337、打点132はともにリーグトップで、最多本塁打記録更新&三冠王のダブル達成という前人未到の大記録もいよいよ現実味を帯びてきた。
歴史的大活躍を受け、村上自身が憧れを隠さないメジャーリーグからも、熱い視線が向けられている。MLB極東担当スカウトが明かす。
「プロ入り翌年の’19年から見ていて、非常に高く評価しています。技術はもちろん、順応力が素晴らしい。入団当初は弱点だったインコースへの対応も磨きがかかり、守備力も格段に向上。筒香(嘉智・30)や鈴木(誠也・28)など多くの日本人野手が環境の違いに戸惑いインパクトを残せていないこともあり、メジャーでは順応力を非常に重視している。その点も、村上には期待しています」
相思相愛の両者だが、今オフにも大型移籍成立……というわけにはいかない。MLBの労使協定では、25歳未満の選手の海外移籍には、移籍金の制限やマイナー契約からのスタートなどが義務付けられている。通称「25歳ルール」と呼ばれるこの制約が壁となるため、村上のメジャー挑戦は早くても’25年になる見込みだ。それでも3年後の争奪戦を前に、現地での村上の評価は急騰している。メジャーリーグ評論家の福島良一氏が解説する。
「村上がメジャー挑戦となれば争奪戦は必至です。イチローが’07年に結んだ5年総額9000万㌦(約130億円)や松井秀喜が’05年に結んだ4年総額5200万㌦(約75億円)をはるかに凌(しの)ぐ巨弾契約になるのは確実。村上はまだ若く、超長期契約も可能と考えると、最低でも10年総額2億㌦(約280億円)規模になるのではないでしょうか。これからの3年も超人的な活躍が続けば、その額はメジャー最高クラスである10年総額3億㌦(約430億円)まで上がる可能性もあります」
8月2日にはヤンキースのアレックス・サンダーランド環太平洋地域プロスカウトとマリナーズのマニー・ノト日本担当スカウトが神宮球場を訪れた。福島氏によると、すでに水面下ではスカウトによる情報戦が繰り広げられているというが、獲得の本命となる球団はどこなのか。
「あくまでも現時点のチーム状況を見ての意見ですが、左の大砲を欲しているヤンキースは獲得に動く可能性がある。今夏には同年代のフアン・ソト(23・現パドレス)の獲得に乗り出し、失敗していますからね。他にも左の強打者を探すブルージェイズもあり得ます。これほどの注目銘柄ですから、どの球団もチャンスがあれば獲得を狙うでしょう」
日本球史に残る2億㌦契約の実現へ、カウントダウンが始まった。

『FRIDAY』2022年9月30日・10月7日号より
PHOTO:高塚一郎 アフロ