佐藤 隼秀

<figure id="attachment_264982" aria-describedby="caption-attachment-264982" style="width: 1500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="dbf12089"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/09/6faf2372b774f96d399e8938ada70836.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-264982" class="wp-caption-text">TOTOのオートストップ 水栓（ TMF49E4R）/amazonより</figcaption></figure>
「ととのう」「サ活」などの造語も生まれ、すっかり定着したサウナブーム。温泉施設では、サウナや浴槽に入る前に、身体を洗うのがマナーだ。浴室に入り、カランの前に腰掛ける。ここで「あること」が気になった人は多いだろう。
「いちいちシャワーのお湯が止まってめんどくさい……」
温泉施設だけでなく、地方にある旅館の浴場でも、同じ経験をした人は多いだろう。泡を洗い流している途中にお湯が止まり、何度かボタンを押す必要があるあの煩わしさ……。器用にも、足でレバーを押さえて水が止まらないようにしている人も見かける。
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この一定時間お湯が止まるタイプの蛇口は、現在、導入されている多くがTOTO製のものだ。銀色の筒状のような形をしていて、左側に温度調整ができるつまみ、中央にお湯が出るプッシュ式のボタン、右側にシャワーが出るレバーが取り付けられているタイプだ。
TOTOによれば、「すぐ止まるシャワー」の正式名称は「オートストップシャワー水栓」で、販路は業務用が大半。公衆浴場では水を出しっぱなしにする客も多く、節水を目的として導入する店舗が多いそうだ。
<div data-friday-nextpage-lead="水が止まる仕組み"></div>
では、どうして水が一定時間で止まるのか。TOTO広報部の阿部園子氏が仕組みを解説する。
「まずボタンを押すと、水栓の中にある止水弁が、押し出される形で開いて、水が出るようになります。ただボタンを離すと、一度押し出された止水弁は、水圧の力で徐々に元の位置に戻ろうとします。そして完全に元の位置に戻ると、自然と止水弁が閉じた状態になるため、水が止まります」
つまり水が出続けるのは、ボタンで動かした止水弁が、水栓内部の水圧で元の位置まで戻るまでの時間となる。たとえボタンを2回押したところで、吐水時間が2倍になるわけではない。最後にボタンを押してから、決められた一定時間だけ、水が流れる仕組みになっているのだ。
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ちなみにオートストップシャワー水栓では、シャワーと蛇口部分ともに吐水量を変更できる。TOTOによれば、蛇口部分は～7リットル、シャワー部分は～45秒まで調節可能だ。工場出荷時は、蛇口部分だと桶1杯ぶんを想定した約3リットル、シャワー部分だと全身の泡が流れ落ちる時間を目安とした約25秒、お湯が出るように設計されている。
ただ、実際の施設だと、吐水時間はもう少し短いようだ。
東京・中野区にある老舗の銭湯「松本湯」で、店主を務める松本元伸氏は、「シャワー部分のお湯が流れる時間は約12～3秒に設定している」と話す。
「いろんな銭湯を訪れて数えると、大体そのぐらいの秒数が多かった。12～3秒ぐらいでも、何回もボタンを押す必要がないし、節水にも貢献できている感じもあるし、ちょうど良い。施設によって、給水タンクの大きさや、収容人数も異なるので、その辺りも鑑みて安定して供給できるよう、秒数を設定しているのだと思います」（松本氏）
銭湯施設によって給水タンクの大きさが違い、一度に大量の水が使われると、一時的に不足する可能性もある。そういった意味でも、節水に貢献する「すぐ止まるシャワー」は重要な役割を果たしているのだ。
<div data-friday-nextpage-lead="今後は「すぐ止まるシャワー」が増える？"></div>
なお、松本湯は昨夏のリニューアルで、館内の蛇口をオートストップシャワー水栓に全面刷新。それまでは手洗い場で目にするような、お湯と冷水が分かれていて、ひねれば水が出続ける手動タイプの蛇口を導入していたが、ある理由でTOTO製のものに切り替えた。
「現在、銭湯用に蛇口を展開しているメーカーは、ほぼTOTOしかない状態です。それまでは『タカラ』というメーカーのものを使用していましたが、現在は製造していないようです。仮に他のメーカーで蛇口が売っていたとしても、型が古いタイプだと、故障した際にパッキンなど部品自体が売っていないケースも多い。継続した運用を考えるとTOTO製を使うのが無難だと思っています」（松本氏）
近年、ブームに伴ってリニューアルを図る銭湯が増えている。節水のほかにも水の一時的枯渇を防ぐのに役立つ「すぐ止まるシャワー」への置換は加速度的に進みそうだ。

1995年生まれ。大学卒業後、競馬関係の編集部に勤め、2021年頃からフリーランスに。趣味は飲み歩き・競馬・読書

佐藤隼秀

TOTOのオートストップ 水栓（ TMF49E4R）/amazonより 「ととのう」「サ活」などの造語も生まれ、すっかり定着したサウナブーム。温泉施設では、サウナや浴槽に入る前に、身体を洗うのがマナー

銭湯の「すぐ止まるシャワー」に隠された〝スゴい技術と工夫〟

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