空港で女性検査員を暴行…村田兆治「本誌記者を熱血指導」写真
「ほら、胸を張って! バネのイメージで、もっと腕を後ろに引く!」
「イテテテ……。もうムリです!」
「人間に限界はないの! オレが証明しているだろ」
本誌記者を手取り足取り熱血指導したのは、元ロッテのエース村田兆治氏(72)だ。トレーニングが行われたのは10年9月。村田氏は当時60歳だったにもかかわらず、「マサカリ投法」から投げ出される直球は140kmを記録。還暦でも衰えを知らない理由を聞こうと村田氏を取材すると、「ちょっと投げるマネして」といきなり猛烈な指導が始まったのだ――。
そんな村田氏が逮捕された。9月23日午後2時前、羽田空港(東京都大田区)第1ターミナル北ウイングの保安検査場で女性検査員を暴行した疑い。警視庁東京空港署によると、女性の左肩を右手で押すなどしたという。
「村田さんは携帯電話を手にしていたため、何度も金属探知機に引っかかったことに腹を立てたようです。別の女性検査員が『男性が暴れている』と110番通報。駆けつけた警察官に現行犯逮捕されました。
調べに対し、こう話して容疑を否認しています。『前に立ちはだかられたので、どかしただけ』『殴ったり蹴ったりはしていない』と。村田さんは、北海道の芦別市民球場で行われる『ドリーム・ベースボール』に参加する予定だったそうです」(全国紙社会部記者)
村田氏は9月25日に保釈され、集まった報道陣に対し「女性に誠心誠意謝りたい」と謝罪した。
素人相手に剛速球
村田氏は、通算215勝(177敗)をあげた名球会投手だ。83年に右ヒジの靭帯再建手術(トミー・ジョン手術)を受けながらも、翌シーズン終盤に復活。日曜日の登板が多かったことから「サンデー兆治」と呼ばれた。
「良く言えば実直、悪く言えば頑固な人です。人の話をジックリ聞くタイプではなく、自分の流儀を相手に理解させようとする。素人と対戦する草野球でも手を抜くことなく剛速球を投げるので、周囲が引いてしまうこともあるそうです。食事にもこだわりがあり、高級な松阪牛を好んで食べています」(スポーツ紙担当記者)
実直で自分の流儀を相手に理解させようとするのは、よくわかる。冒頭のトレーニングに戻ろう。村田氏は記者にタオルを持たせ、繰り返しシャドーピッチングをするよう指示した。
「腕を最後まで振り切って!」
「もっと、タオルがしなるように! フォームが安定すれば、速い球が投げられるようになるから」
猛特訓は10分以上続いた。日頃、運動不足で不摂生な記者はヘトヘト。後日、手紙を添えて取材内容を記事にした掲載誌を送ると、村田氏から携帯に電話がかかってきた。
「雑誌どうもありがとう。その後どう? 練習を続けて、速い球を投げられるようになった?」
いやいや、あんなキツいトレーニングを毎日やっていたら身体がもちません。素人相手に、本気で指導してくれた村田氏。今回の事件を反省していただき、また衰え知らずの剛速球を見せてほしい。
- 撮影:小松寛之 蓮尾真司