フリーライター。社内報などの企画制作会社を経て2005年からフリーランスに。企業の広報・販促コンテンツの制作を支援するほか、各種メディアでビジネス、IT、マネー分野の記事を執筆している。ブックライティングも多数。

平 行男

<figure id="attachment_266346" aria-describedby="caption-attachment-266346" style="width: 1292px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="bb5de1c6"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/09/5cf8418e96b31cc96021fa373cb113b1.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-266346" class="wp-caption-text">出会いを求める男女が注目する、1対1の相席居酒屋「THE SINGLE」の店内の様子（写真提供：株式会社セクションエイト）</figcaption></figure>
<p>コロナ禍で対面での出会いの機会が減った分、マッチングアプリの利用者はますます増えている。一方で、“マッチングアプリ疲れ”の声も聞く。そんな状況の中、出会いを求める男女の間で、”ある居酒屋”が注目を集めている。コロナ禍でもお客が引きも切らない、その店に通って30代の独身女性と交際をはじめたという50代未婚男性Kさんに体験談を聞いた。</p>
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<p><span class="strongInContent">「女性と出会うためにマッチングアプリを使ってみましたが、女性とマッチングするには他の男性と競わなければならず、私の年齢は不利でしかありません。女性と会うところまでたどり着かず、お金と時間のムダだと思って3カ月でやめてしまいました。</span></p>
<p><span class="strongInContent">そこである居酒屋さんに出会いました。都内に複数店舗あるので、混雑状況をアプリで見ながら、女性が多くいる店舗を選んで訪れます。店舗によって客層が異なるので面白いです。私のようなオジさんがマッチングアプリで出会うのはほぼ無理ですが、1対1相席なら確実に出会えて話せるからチャンスはあります。今の彼女は30代ですが、新宿のお店で知り合いました」</span></p>
<p>そう語るのは50代の未婚男性のKさんだ。コロナ禍で対面が制限されるが、交際や結婚を目指す人たちの多くは、直接対面しなくても出会えるチャンスを求めてマッチングアプリに加入した。一方で、Kさんが語るように、出会うまでのハードルが高く、Kさんを含めた男性に“マッチングアプリ疲れ”の傾向も出はじめた。</p>
<p>メディア工房の調査によれば、女性にもその傾向が表れており、マッチングアプリ利用経験のある女性のうち約9割が「利用に疲れた」と感じたことがあるという。自分たちが望んで入会したにもかかわらず、なぜ、疲れを感じてしまうのか。恋愛・結婚・出会いのリサーチを行う「相席LABO」所長の坂本志於里氏はこう分析する。</p>
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<p><span class="strongInContent">「女性のお話を伺うと、『メッセージがたくさん来て返事するのが大変』『遊び目的の男性が多い』『メッセージのやり取りが面倒くさい』などの理由があります。『デートにたどり着くまでのステップが多く、いざ会ったとしても、相性が良くなかった』などの声も聞かれます。そういったことを繰り返すうちにストレスを感じて、マッチングアプリの利用をやめてしまう女性は多いといえます」</span></p>
<p>一方、男性にとってもマッチングアプリは出会うまでの難易度が高いツールのようだ。たとえば、女性が“盛れた”写真付きで新規登録した途端、無数の男性からの「いいね！」が殺到する。男性間の競争は熾烈を極め、メッセージを交わすだけでも至難の業。「何カ月も有料会員を続けたのに、まったく出会えなかった」ということも起きているのだという。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="平日も賑わう「シングル相席屋」とは…"></div>
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<figure id="attachment_266348" aria-describedby="caption-attachment-266348" style="width: 1041px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="4f193215"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/09/7597531515fbcea1f83d7f0b17997a2d.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-266348" class="wp-caption-text">30代女性をゲットした50代未婚男性</figcaption></figure>
<h3>お店を訪れる女性たちの職種は……</h3>
<p>パートナーと出会いたい、しかしマッチングアプリには限界を感じているという男女に注目されている店が1対1の相席居酒屋「THE SINGLE」だ。運営するのは「相席屋」を展開するセクションエイト。</p>
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<p>現在THE SINGLEは恵比寿・銀座・新宿・池袋・上野・横浜などに店舗を拡大。コロナ禍にもかかわらず平日から賑わい、週末は早めに予約しないと入れないほどの人気を見せている。セクションエイトの近藤和祥氏はこう語る。</p>
<p><span class="strongInContent">「2020年にスタートしたTHE SINGLEは好調で会員数も順調に増えています。特に2022年3月のまん延防止措置の解除以降、一気に新規入会されるお客様が増えました」</span></p>
<p>2022年8月現在では、男女合計7万3,590人の会員がおり、毎月4000名ほど増え続けている。そのうち8月に来店した会員は、男性6,068名、女性5,133名と男女ほぼ半々。多くの男女が相席し、恋人探しに勤しんでいることになる。客層は20代、30代がメイン。職業はさまざまだが、女性では美容関係や医療関係、保育士が多く、学校の先生もいるとか。職場・学校に出会いの機会がない人が来店していると見られる。</p>
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<p>そのシステムを説明しよう。利用するにはまず、専用スマホアプリでの会員登録が必須だ。その際、身分証明書の提出を求められる（年齢や本人詐称を防止する目的）。既婚者や恋人のいる人は登録しないよう注意が書かれている。</p>
<p>アプリ上で各店舗の混雑状況を確認したら、予約のうえ来店。店舗に着くとスタッフの案内で異性とマッチングし、個室での20分間の相席がスタートする。相席が始まったら相手のプロフィールをアプリで閲覧できるので、会話のネタには困らない。</p>
<p>相席終了後、休憩を挟んだら、続けて別の人と相席するもよし、退店するもよし。平均すると1回の来店で男女ともに4、5人と相席するという。料金は飲み放題で、1回の相席につき男性2,200円、女性は無料。食事の提供はないため、従来の相席居酒屋のように「タダ飯」狙いの女性は来店しない。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="30代女性をゲットしたKさんが心がけたこと"></div>
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<figure id="attachment_266350" aria-describedby="caption-attachment-266350" style="width: 473px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="04e94ae5"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/09/3e77238d197ff04c2edd1bb57b170829.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-266350" class="wp-caption-text">恋愛・結婚・出会いのリサーチを行う「相席LABO」所長の坂本志於里氏</figcaption></figure>
<h3>ユーザーにヒアリングしたところ……</h3>
<p>ポイントは、相席終了後にアプリ上でお互いのマナーを評価する仕組みだ。評価がたまると「ゴールド」「プラチナ」「ダイヤモンド」で格付けされる。評価の高い会員にはVIP個室を使えるなどの特典が与えられる。言葉遣いが悪いなどマナーの悪い会員は評価が低くなり、入店禁止になることもある。仮にあやしい勧誘、パパ活目的などの会員がいれば、その場で退店させられる。</p>
<p>また、一度相席した相手とは、その後1週間、アプリ上でメッセージを交換できる。「恥ずかしくて連絡先交換を言い出せなかった」という事態を防ぐ仕組みだ。専用アプリ上でやり取りし、意気投合したら、さらにLINE交換などをして、デートにつなげるのが王道の流れだ。</p>
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<p>とはいえ、単に相席するだけで相手と意気投合できるわけではない。楽しい会話で盛り上げることも大切だ。</p>
<p><span class="strongInContent">「アプリのプロフィールを見ながら、職業とか趣味の話を聞くだけでは面白くないし、その他大勢の1人になってしまいます。会った瞬間に、“あなたのお仕事、保健の先生でしょ？”とカマすとか、強い印象を残すことが大事ですね（笑）」（Kさん）</span></p>
<p>THE SINGLEの成功を受けて、同業他社も1対1相席の業態を出店しはじめた。「オリエンタルラウンジ」「ag」などの相席居酒屋を展開するクラウドエヌは、9月1日、お一人さま限定相席バー「pinx」をオープンした。こちらは「既婚者や恋人のいる人は不可」などの条件がないことからも、より幅広い客層をターゲットとした相席店といえそうだ。</p>
<p>1対1相席店のメリットを、前述の相席LABO坂本所長はこう語る。</p>
<p><span class="strongInContent">「マッチングアプリでは異性と会うまでが大変で、ようやく会っても、イメージと違ったということはよくあります。1対1の相席店なら確実に何人かと相席し、お話はできます。そのなかから相性が良い人を探して、次のステップに進めばいいので、効率が良いといえます。</span></p>
<p><span class="strongInContent">実際のユーザーにヒアリングしたところ、1対1相席店に来るのは、本気で出会いたいと考える積極的で活発な女性が多い印象でした。そのため、会話があまり得意でないという男性でも、楽しく盛り上がってお話しできると思います。積極的な男性はもちろん、恋愛初心者の男性にもおすすめです」</span></p>
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<p>人々は効率的な出会いを求めてマッチングアプリを利用するが、実はリアルな出会いの場である1対1相席屋の方が効率は良く、最初の一歩として踏み出しやすいということか。人肌恋しくなる秋に向けて、チャレンジしてみるのはいかがだろうか。</p>
<figure id="attachment_266354" aria-describedby="caption-attachment-266354" style="width: 709px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="c4db207d"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/09/7b54a002618ec8616b623341496afba0.png" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-266354" class="wp-caption-text">THE SINGLEのアプリ。相席した相手のマナーをレビューする</figcaption></figure>
<figure id="attachment_266351" aria-describedby="caption-attachment-266351" style="width: 1202px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="448835ac"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/09/af16b2ad9538629cb8ff412103e34211.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-266351" class="wp-caption-text">広々とした完全個室のVIPルームもある</figcaption></figure>


平行男

新型コロナウイルスは男女の出会いの形も大きく変えた。マッチングアプリを使って出会いを求める人が急増したが、最近ではアプリ疲れの男女も急増。そこに、平日から客が引かない居酒屋が現れた。

マッチングアプリ疲れ男女が殺到する「一対一の出会い居酒屋」

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