<figure id="attachment_266418" aria-describedby="caption-attachment-266418" style="width: 2934px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="acc0e092"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/09/aflo_21646994.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-266418" class="wp-caption-text">2013年9月7日、アルゼンチンで行われたIOC総会で五輪開催地が東京に決まった直後。のちにオリパラトップになる森喜朗氏の背後で高橋治之氏（左から2人目）も喜ぶ。当時の安倍晋三首相や岸田外務大臣の姿も（写真ロイター/アフロ）</figcaption></figure>
<h3>東京地検特捜部の本当の狙い</h3>
<p>東京五輪・パラリンピックをめぐる汚職事件で組織委員会の元理事の<a href="https://friday.kodansha.co.jp/article/255201">高橋治之容疑者（78）</a>が受託収賄容疑で逮捕され、深い闇に光が差し込もうとしている。贈賄側としてAOKIホールディングス、出版大手のKADOKAWA、パーク２４などが摘発されたが、東京地検特捜部の本当の狙いは政治家および政界関係者である。</p>
<p>組織委の森喜朗元会長（85）がAOKIから200万円を受領したのではと参考人聴取されたが、首相経験者を追い詰めるには、いかにもパンチ不足である。</p>
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<p>捜査のメスはどこまで入るのか、政界の牛若丸として名を馳せ、自民党で新人議員の頃から長年ライバル関係にあり、独自の情報網を持つ山口敏夫元労働大臣（82）に取材すると、いきなり核心に触れるネタが飛び出した。</p>
<p><span class="strongInContent">「本筋は神宮外苑再開発の利権でしょう」</span></p>
<p>スポンサー選定に絡む汚職とはまったく違うルートで、巨悪を眠らせない追及が進められているという。</p>
<p><span class="strongInContent">「森くんは10年以上前から、このプロジェクトに注目し、電通や大手ゼネコンなどとグループ勉強会を重ねていたようです。新国立競技場に加え、野球場、秩父宮ラグビー場、そして高層のオフィスビルやホテルなどを建設する計画を実現させるために五輪を招致し、組織委の会長になったのではないか」</span></p>
<p>神宮外苑といえば、東京都内の超一等地。その再開発となれば、国、都そして大企業が複雑に絡む一大事業になる。</p>
<p><span class="strongInContent">「どのような利権があるか、金の流れがどうなっているか、捜査当局は強い関心を持ち、情報を集めているようです。すべてはここがスタート。AOKIとかKADOKAWAなどのレベルではなく、時間がかかるかもしれないが、この利権の構図を暴くことこそがターゲットなのだと思います」</span></p>
<p>再開発の目玉の一つは新秩父宮ラグビー場の建設で、ラグビーミュージアムが併設され、森氏の胸像を置くための募金運動が始まっている。その発起人メンバーにはキヤノン会長兼社長の御手洗冨士夫氏、五輪組織委会長だった橋本聖子参院議員ら〝森人脈〟の15人が名を連ね、文科省幹部のOBもいる。</p>
<p>一連の疑惑で世間が騒がしくなり、胸像を置く場所は「未定」になり、山口氏は<span class="strongInContent">「今の流れからすれば、もう中止だろう」</span>とみる。</p>
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<p>小さな綻びが突破口となり、難攻不落の城を崩していく。特捜は、森氏がトップに就き、2009年に設立された財団法人「嘉納治五郎記念国際スポーツ研究・交流センター」が20年12月に突然、閉鎖されたことにも着目しているという。同財団には東京五輪招致委員会から約１億4500万円が振り込まれ、他にも億単位の使途不明金があるとみられている。</p>
<p>五輪といえば、平和の祭典、フェアプレー精神が謳われるが、政治家の顔が見え隠れすると、醜い現実に引き戻される。</p>
<p><span class="strongInContent">「もともと、森くんは組織委会長の任にあらずだった。私は1967年の衆院選で初当選して、69年当選の彼の一期先輩にあたり、長い付き合いだから表と裏の顔を知り尽くしている。何もしない、責任をとらない男。だいたい政治家がスポーツ界に首を突っ込み、君臨してはいけないんだ」</span></p>
<div data-friday-nextpage-lead="永田町で出回った「森喜朗辞任要求文書」"></div>
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<figure id="attachment_266449" aria-describedby="caption-attachment-266449" style="width: 3990px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="5bc708c9"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/09/b070fbf3135b408b99a82619f8b20bc8.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-266449" class="wp-caption-text">東京五輪招致が決まった２年後の2015年12月、永田町で出回った文書の一部</figcaption></figure>
<h3>元電通専務・高橋治之の本性</h3>
<p>山口氏は渦中の高橋容疑者とも付き合いがあり、１兆円の企業グループを作り上げてバブルの帝王といわれた弟の治則氏（故人）と親密だった。</p>
<p><span class="strongInContent">「治之をハチ、治則をノリと呼んでいた。治之はスポーツが好きでもなんでもなく、自分さえ儲かればいいという興業師だった。いわば、半グレみたいなものさ。一方、弟は人見知りで宴席が苦手だから、代わりに治之が相手をして人脈を広げていった。身銭を切らず請求書を回したり、弟のプライベートジェットに乗って海外に飛び、スポーツ関係者を接待漬けにしたりしていた」</span></p>
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<p>高橋容疑者は1972年東京・国立競技場で行われた、サッカーの王様、ペレの引退試合を成功させ、1984年ロサンゼルス五輪で商業化を推し進め、その後も国際的人脈を広げ、電通の専務まで上り詰め、スポーツ界のドンともてはやされた。</p>
<p>だが、ペレ引退試合のときは一社員に過ぎず、ロス五輪の際はスポーツビジネスの道を開拓した電通マンとして語り継がれる服部庸一氏（故人）の使い走りに過ぎなかった。</p>
<p>2002年のサッカー・ワールドカップ招致成功の立役者と評価する向きもあるが、サッカー関係者は真っ向から否定する。</p>
<p><span class="strongInContent">「冗談じゃない。彼は危険人物なので相手にしていなかった。招致活動が実を結ぶと『俺の根回しでうまくいった』と吹聴していたから、われわれは怒り心頭でした」</span></p>
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<p>弟の財力にすがり、他人の手柄を自分のものにするタイプなのに、メディアが「やり手」「剛腕」「異能」の虚像を作り上げた。自らを大きくみせ、傲慢な振る舞いをすることで周囲がひれ伏し、必要以上に重用してしまったのではないだろうか。</p>
<p>最後に、山口氏がバッサリ切り捨てた。</p>
<p><span class="strongInContent">「治之は弟におんぶにだっこに哺乳瓶だったよ。逮捕されてマスコミも単なる興業師だったのが、ようやくわかったんじゃないの」</span></p>
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<figure id="attachment_266491" aria-describedby="caption-attachment-266491" style="width: 2730px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="e134965d"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/09/b49c953f97a6c2ae1bc75524fda98988-1.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-266491" class="wp-caption-text">東京五輪招致が決まった２年後の2015年12月、永田町で出回った文書の一部</figcaption></figure>
<figure id="attachment_266454" aria-describedby="caption-attachment-266454" style="width: 2804px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="5a2a44dc"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/09/403c0b83f6f49eeb9872e73cdf27f2ee.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-266454" class="wp-caption-text">東京五輪招致が決まった２年後の2015年12月、永田町で出回った文書の一部</figcaption></figure>
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1975年産経新聞社入社、プロ野球、五輪担当記者などを経て、運動部長、論説委員を歴任。退職後、執筆活動を続けながら、現在、国士舘大政経学部非常勤講師（メディア論、マスコミュニケーション論）。

津田俊樹

2013年9月7日、アルゼンチンで行われたIOC総会で五輪開催地が東京に決まった直後。のちにオリパラトップになる森喜朗氏の背後で高橋治之氏（左から2人目）も喜ぶ。当時の安倍晋三首相や岸田外務大臣の姿も

森元首相因縁議員が語る「五輪招致は神宮外苑再開発の利権」

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