ホストブーム再加熱で「初回荒らし」横行…その意外すぎる理由 | FRIDAYデジタル

ホストブーム再加熱で「初回荒らし」横行…その意外すぎる理由

  • Facebook シェアボタン
  • X(旧Twitter) シェアボタン
  • LINE シェアボタン
  • はてなブックマーク シェアボタン

「絶対にやめておいたほうが良い。そんなに甘い世界じゃないから」

いま西新宿から新宿靖国通り、明治通り、職安通りといった新宿駅周辺や、渋谷駅付近を歩いていると、ホストクラブのLEDトラックや宣伝カーが爆音で音楽を流しながら、ひっきりなしに通過する。

その車体には和製アイドルグループか、K-POPアイドルかと見紛うような若い男性たちの顔写真が大きく掲げられ、なかには「総支配人」「支配人」「店長」「売上ナンバー1」「顔面偏差値」などの肩書や謳い文句が添えられたものも多数。

コロナ禍の影響で客が減り、営業時間の短縮を余儀なくされたことから、コロナ禍以前には約300店舗あった歌舞伎町のホストクラブは激減。閉店に追い込まれる店が相次いでいるというニュースは2020~2021年には盛んに報じられていた。

コロナ禍に激減した歌舞伎町のホストクラブだったが…(写真:アフロ)
コロナ禍に激減した歌舞伎町のホストクラブだったが…(写真:アフロ)

『明日カノ』人気から広がるホストクラブブーム

しかし、その実、今はホストブームが訪れているという。その理由は、人気漫画&ドラマにあると、漫画編集者は言う。

「昨今のホストブームのきっかけは、をのひなおさんの原作で、4月期にはMBSドラマイズムで実写ドラマ化もされた『明日、私は誰かのカノジョ』人気によるものだといわれています。 

マンガアプリ『サイコミ』でランキング1位をキープし続け、単行本が累計300万部を突破した人気作です。1週間に1度誰かのカノジョになる“レンタル彼女”から、埋められない孤独を抱えて“パパ活”する子、ホストにハマる子、整形を繰り返す子など、5人の女性がそれぞれ主人公となり、悩み、もがくリアルな姿に共感する女性が続出しているんです」 

SNSには「明日カノの漫画面白すぎる」「読み始めたら止まらない」「明日カノを無限ループして泣いてる」「明日カノ完結したら人生の楽しみ1つ失う」「明日カノのためだけにディズニープラスに登録した」「明日カノ原作読むと、実写の再現度の高さがよくわかる」などなど、漫画・ドラマ共にハマる人々のつぶやきが大量に見られるほか、作品の舞台を訪ねる「聖地巡礼」を行うファンもいる。

最初は軽い気持ちで…借金もして「地獄を見た」

中でも特に共感を集めていたのが、「=LOVE」齊藤なぎさが演じる「ゆあ」がホストクラブ狂いになる章だ。齊藤は9月25日のグループ5周年記念コンサートでグループ卒業を発表しているが、その決意には本作での生々しくリアルな演技が高く評価され、女優業への目覚めとなったことが影響しているのではないかといわれている。

漫画・ドラマの『明日カノ』ファンの中には、「そっくりな友達がいる」「リアルすぎて、私の体験記かと思った」と、そのリアルさにハマる人や、「ホストクラブにハマらない人生で良かった」「ホスト行ったら自分は絶対に沼る」「見ていて痛すぎて、辛すぎる」など、「教訓」として作品に触れている人も多数いるが、その一方で本作をきっかけにホストクラブに初めて行ってみた女性も多数いるようだ。

「Instagramのストーリーにホスクラ(ホストクラブ)をあげている人はたくさんいるけど、『明日カノ』の影響でホスクラ通い始めたとしたら、絶対にやめておいたほうが良い。そんなに甘い世界じゃないから」

そう話すのは、現在新宿歌舞伎町のキャバクラで働きつつ、ホストクラブに通う21歳の女性・Kさんだ。

Kさんは友人と軽い気持ちでホストクラブに行ったところからホストにハマり、「会いたい」と言われ、夜の仕事を始め、借金もして「地獄を見た」という女性。そんなKさんは『明日カノ』ブームについて、こんな本音を漏らす。

「これまでジャニーズの追っかけとかやってたような子たちが、『明日カノ』にハマって、急に『いま、ホス狂いしてる』とか自慢するんですよね。 

しかも、そういう子たちはたいていただの『初回荒らし』だから、ガチのホス狂いだった自分なんかからすると、迷惑でしかない」

ホストクラブは通常、HPなどを見ても料金システムがわかりにくいのだが、初心者向けに「初回」のみ2000~3000円、キャンペーンによっては1000円などの破格の値段で楽しめるサービスがある。店にとっては「初回料金」で気軽に楽しみ、そこからリピーターになり、たっぷり金を落としてくれる客を得るための手段で、昔からあるシステムなのだが、『明日カノ』ブームにより、「初回料金」システムの利用者が増加。

そして、そうしたブームでホストクラブに訪れる客の中には初回料金システムのみを利用して様々なホストクラブで遊びまわる客が多いのだとKさんはこぼす。実際、様々な地域のホストクラブに「遠征」してまで初回荒らしをする人もいるそうだ。

「全然指名ができなくなって…怒ってます!」

ガールズバーで働きながら、ホストクラブ通いをする22歳の女性・Aさんも言う。

「『明日カノ』を少し読んだくらいで、『ホストクラブ面白そう』とか言って『初回荒らし』をする人たちがすごく増えているんですよ。そのせいで、担当(指名するお気に入りのホスト)が初回荒らしに時間を削られて、もともとホスクラ通いしてた人たちが全然指名ができなくなっていて、怒ってます。 

それに、初回荒らしの人たちは、最初からリピートする気がないから、ホストに暴言を吐いたり、酔っぱらって騒いだり、マナーも最悪。そういうブームだけで遊びに来る初回荒らしの人たちには、むしろ『明日カノ』をしっかり読んで、ホスクラでの常識をもっと学んでほしいですね」

とはいえ、SNSなどでも「#明日カノ」「#ホスト」「#初回」などのタグをつけ、明日カノファンに向けて「初回」利用を呼び掛けるホストのツイートが多数見られる。

漫画やドラマきっかけに、知らない世界をちょっとのぞいてみたいと思う「初回」利用者が、そこから深みにハマるケースもあれば、「初回荒らし」目的で様々なホストクラブで遊びまくる人も、両者がいることを理解しつつ「初回」利用を積極的に呼びかけるホストもいる現状。『明日カノ』人気から広がるホストクラブブームは、まだ当分続きそうだ。

  • 取材・文山田花

Photo Gallery2

FRIDAYの最新情報をGET!

Photo Selection

あなたへのおすすめ記事を写真から

関連記事