<figure id="attachment_267136" aria-describedby="caption-attachment-267136" style="width: 4032px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="b4b0bd65"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/09/6e1e255b6f7f8182d8a914b279ba4cdb.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-267136" class="wp-caption-text">老舗から新店までさまざまな形態の飲食店が入居する野毛都橋商店街ビル</figcaption></figure>
<div data-friday-ad-slot="AD_inArticle"></div>
横浜市中区、桜木町駅からほど近い野毛エリアは、「ハマの下町」として全国区になった。飲食店がひしめく繁華街のはずれに、ディープな貫禄を漂わせる建物がある。「野毛都橋商店街ビル」だ。
1964年に竣工した軽量鉄骨２階建てのビルには、スナックや立ち飲み屋など約60軒が並ぶ。永瀬正敏主演のドラマ『私立探偵 濱マイク』のロケ地としても有名で、しばしばメディアにも登場している。
店子の「大家」にあたるのが、「公益社団法人横浜歴史調査会（横浜ヘリテイジ、以下歴史調査会）」だ。公式サイトには、〈2013（平成25）年４月には内閣府認定の公益社団法人となりました。これまでの蓄積を生かし、歴史的資産の保全活用に関する調査研究、セミナーや見学会等の普及啓発を中心に活動することとともに、公益社団法人（免税団体）として歴史的資産の保存、取得、管理等に向けて活動して参ります〉とある。社員や役員は、土木・建築分野の大学教授が大半を占めている。
件のビルは、以前は「公益財団法人横浜市建築助成公社」が管理していたが、同公社の解体に伴って17年から歴史調査会に譲渡され、管理も移管された。ところが、大家とテナントで「賃貸契約のトラブル」が発生し、裁判沙汰にまで発展している。
横浜野毛商業協同組合の関係者は言う。
「事の発端は19年６月のことでした。歴史調査会から、弁護士と連名で『次の月から家賃を２倍以上にする』といった趣旨の通知が内容証明で送られてきたんです。『異論があれば14日以内に返信するよう』との旨があったので、すぐに文章で返信しましたが、その後やりとりを重ねても、歴史調査会は建設的な話し合いに応じようとしません。
他にも問題はいくつかあります。17年に歴史調査会がビルの管理を引き継いだ時、『普通賃貸借契約』から 10年間の『定期賃貸借契約』に切り替えられたんです。
店子側からすると、やがてこのビルから追い出されるかもしれないという不安を抱えながら商売を続けなければならない。60軒のオーナーと従業員がいきなり路頭に迷う可能性もあるわけです。こうした状況を改善する意味も込めて、裁判を起こすに至りました」
<div data-friday-nextpage-lead="チェーン店が増えた歓楽街"></div>
商店街ビルの店子には、高齢のママが一人で切り盛りするスナックなどもある。中には、こうした込み入った事情があることを深くまで理解していない人もいるという。実際、定借への切り替えに前理事長が判を押した時も、やがて立ち退きに遭うリスクまで十分には考慮できなかったそうだ。
家賃の値上げについては、都市部の全体的な地価上昇を考えれば仕方ない部分もあるかもしれない。かつては知る人ぞ知る歓楽街だった野毛も、今や観光スポット化し、チェーン店の進出も増えた。
1964年の東京五輪に合わせて建てられた商店街ビルは、下町文化の象徴として歴史的な意義を持つ建物のはずだ。「歴史的資産の保全活用」を活動の主とする歴史調査会が管理を担っているのも頷けるが、実際のところ、「雨どいの補修や共同トイレの壊れた鍵の交換など、大家であればやるべき修理が数年前から放置されている」（前出・関係者）という。
「私たちも、家賃の値上げ自体に反対しているわけではありません。これまでも数千円単位の家賃の値上がりはありましたし、ビルの管理が良くなるのであればいいんです。ただ、いきなり内容証明を送ってきたり、話し合いの場を設けようとしなかったりする歴史調査会のやり方は、『私たちの言うことに従え』と言っているようで、納得がいかない部分も多いです」
<div data-friday-ad-slot="AD_inArticle"></div>
店子の陳情について、大家はどのような考えを持っているのか。フライデーデジタル編集部は歴史調査会に取材を申し込んだが、電話は不通、質問書を送付するも期限までに回答はなかった。
裁判は２回の口頭弁論を終え、10月に第３回が予定されているという。金額や契約の内容よりも、大家としての信頼関係が問われる今回のトラブル。古き良き酒場文化を継承していくには、何よりもコミュニケーションが大切なはずなのだが……。

老舗から新店までさまざまな形態の飲食店が入居する野毛都橋商店街ビル 横浜市中区、桜木町駅からほど近い野毛エリアは、「ハマの下町」として全国区になった。飲食店がひしめく繁華街のはずれに、ディープな貫禄を

”酒好きの聖地”で勃発した店子と大家の「賃貸トラブル」の顛末

あなたへのオススメ

関連記事