「日本一小さい村」で起きた”パワハラ事件”村長の言い分 | FRIDAYデジタル

「日本一小さい村」で起きた”パワハラ事件”村長の言い分

人口3000人の富山県舟橋村に中傷ビラが飛び交うカオス

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富山市から車で20分ほどの「日本一小さな村」で起きた「村長不信任」。理由は10年以上続く役場のパワハラだけではなかった…。昭和の体質が残るこの村の事件は、他人事ではないかもしれない
富山市から車で20分ほどの「日本一小さな村」で起きた「村長不信任」。理由は10年以上続く役場のパワハラだけではなかった…。昭和の体質が残るこの村の事件は、他人事ではないかもしれない

「日本一小さい村」が大騒ぎだ。9月16日、村議会が全会一致で村長の不信任決議を可決。これに対抗して、村長は村議会の解散を決めた。富山県舟橋村、人口3000人の小さな村で、なにが起きているのか。

「舟橋村は、地方創生により人口増加を続ける『奇跡の村』と言われていますが、内情は『ウソと隠蔽の村』ですよ。その筆頭が古越邦男村長です」

舟橋村役場の関係者は重い口調でそう語る。

村は、数年前から混乱を極めている。職員30人ほどの村役場では、10年以上続いていたパワハラで退職者が続出。加害者である職員が処分された。また、談合による村職員の逮捕もあった。背景には、この村の特殊な「発展」があるという。

1990年ごろは人口1400人程度だった舟橋村ですが、富山市中心部から車で20分のベッドタウンとして新住民が多数流入しました。現在、人口は3000人。つまり、村の半数以上が『新住民』なんですがもともとの住民との溝があるんです」

新旧住民のあいだで温度差があり、村役場でも、村出身職員と村外職員とのあいだに「差別」があるのだと語る。2015年の人口増加率は全国2位、子育てにも力を入れている。しかし村を牽引する村役場の内実は「ドロドロ」なのだという。

30人の村役場職員中、10人がパワハラ被害に

問題になった「村役場のパワハラ」について、第三者委員会による報告書が公表された。それによると、職員30人中10人がパワハラやセクハラの被害に遭っていたという。

「報告書やメディアに上がっている加害者は『40代職員』だけですが、ほかにもパワハラやセクハラを常習的に行う職員が数名います。親族が村議という職員は、それをカサにきてやり放題。今回加害者とされた『40代職員』も、元々はパワハラの被害者だったんです。もう、めちゃくちゃ。職場内で暴力沙汰も何度か起きています」(元役場職員)

なぜ役場がこれほど「めちゃくちゃ」になっているのだろうか。退職した職員数名に話を聞こうとしたが、「報復が怖いから話したくない」と言う。

「職場で怒鳴りつける、イヤミを言うなんて当たり前、事実無根の噂を流したり、中傷ビラを地元マスコミに配ったり、警察にウソの証言をしたりと、一部職員がやりたい放題なんです」(元役場職員)

「ひどいことが起きても、役場内の人間は波風を立てたくないでしょうし、退職した人が関わりたくない気持ちはよくわかります。モラルが通用しないんです。なにをされるかわかりませんから」(関係者)

「なにをされるかわからない」とは、にわかには信じがたい話だが、こんな状況がまかり通る背景がある。パワハラ加害者がターゲットにするのは「村外」の職員なのだ。

「村出身の職員を優先し、村外出身者や在住者をぞんざいに扱うんです。正しいとか間違っているとかではなく、村出身者の意見が無条件で優先される。パワハラを行っている管理職3名は、全員村出身。去年3月から今年5月までに辞めた職員4名全員が村外出身です」(元役場職員)

村の人は一様に、その「実態」を知っている。

「ここでは、昭和の時代から時が止まっているんです。去年発覚した談合も、ずっと行われてきたと聞いているので、古越村長も実態を知っていた可能性がある」

村長は「びっくりした」とにこやかに応対

古越村長に話を聞いた。

「これはね、村のごくごく一部のかたが、面白がって騒いでいるだけなんです」

穏やかな口調で、そう話す。では、議会による村長不信任決議については?

「突然のことで、びっくりしました。理由、私もよくわからない。役場のパワハラ問題は一所懸命、私の手で立て直すんだ、と。この村を私の手で立て直したい気持ちですから。不意打ちのようでした」

舟橋村の村議は6人。そのなかにはパワハラ加害者とされた職員の親族もいる。

「パワハラだとか、退職者がたくさん出たとか、話はね、いろいろありましたよ。でも、職員30人ほどのアットホームな職場ですから。パワハラもね、職員間のコミュニケーション不足かな、と」

が、第三者委員会による指摘を受け、改革を目指している、と言う。

「私はね、リーダーシップをとって束ねていく、というのは、自分の思いと違うんです。再発防止には、全体的に、相談窓口を設けたりヒアリングですか、そういったことも役場全体で進めていきます」

不信任案を提出した議員のひとり、竹島貴行氏は、議決後「村民の皆様へ」という長文の文書を関係者へ送った。それによると、

村長が副村長時代から10年以上も放置したパワハラ問題は、多くの職員の信頼を裏切り、心を傷つけてきました。パワハラ調査報告書からも明らかだと思います。しかし残念ながら、本人には自覚はありません」

この村の騒動は、果たして村長が言うように「一部の人間だけが面白がって騒いでいる」だけ、なのだろうか。有志の住民からマスコミに向けて提出された声明文は、パワハラ加害者に対する責任・処分を強く求めている。

日本一小さな村が、大きく二分され、「なにを言われるか、されるかわからない」と、戦々恐々としている。

「昔はね、ありましたよー。今でいうパワハラ。今思うとね」

新米職員だった40年前の「昭和」を振り返って、村長はそう言った。舟橋村のような問題は、日本のあちこちで今も、起きているのかもしれない。

駅前に掲げられた村の看板。のどかな風情が悲しい
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村長は「応援団コスプレ」で村の魅力をアピールするが…
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