メディアへの”逆襲”を担う旧統一教会「モニタリング担当」の実力
連続追及第3弾 『ミヤネ屋』(読売テレビ)や弁護士らを提訴! 今後のターゲットは? 旗振り役は? 現役信者の本音は?
まさに”宣戦布告”とも言える会見だった。
安倍晋三元首相の国葬からわずか2日後となる9月29日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)は会見を開き、教団の名誉を傷つけられたとして民放2社と弁護士3人に対し、総額6600万円の損害賠償を求めて提訴したことを発表した。
「今回、教団が訴えを起こしたのは3つ。1つは紀藤正樹弁護士が『ミヤネ屋』(読売テレビ)で発した『信者に売春をさせてまで資金集めをさせている』というコメント。2つ目は、同じく『ミヤネ屋』で本村健太郎弁護士が語った『布教活動自体が違法であるとすでに認定済み』という言葉。そして『ひるおび』(TBS)での八代英輝弁護士の『この教団がやっている外形的な犯罪行為等を』という発言です。会見で教団は第二、第三の訴訟の可能性についても示唆。特定のメディアや弁護士を対象にしているのは異例の訴訟です」(全国紙社会部記者)
なぜ教団は法廷闘争を強行したのか。そこには教団の禁忌が関係しているという。古参信者が訴訟に至る背景を語る。
「メディアに対しての対応は現場からも以前から強く求めていた。ただ、今回の訴訟の本丸は紀藤氏の『売春をさせてまで……』発言。事実無根という主張はもちろんですが、教団は婚前の性交渉を固く禁じるなど信者への貞操教育に重きを置いています。この教えはいわば教義の核部分。信仰自体を揺るがしかねない言葉だからこそ反発が強かった」
そんな急転直下の訴訟劇を下支えしたのが教団のメディアモニタリング担当だ。
「教団はテレビのみならず雑誌やネット記事、YouTubeに至るまで報道をくまなくチェックしています。いつ、誰が、何を言ったかまで把握するようにしている。それが今回の発言に対する訴訟に一役買いました。今後も事実誤認や名誉毀損に当たると思われる発言があれば提訴していく構えです。次に名前が挙がってくるのが、教団批判の急先鋒である山口広弁護士、ジャーナリストの有田芳生(よしふ)、鈴木エイトの両氏です」(教団関係者)
実際、8月19日に行われた教団内部のネット会議でも広報部長が「広報部も紀藤、山口、有田、鈴木エイト、この4人に対しての発言や様々な人権侵害にも当たるような言動に対しては随時法的手段に訴えていく」と、今回の逆襲劇を匂わせる場面もあった。
一方で裁判抗争と平行して進めていくのが教団改革。その大役を担うのが改革推進本部長を務める勅使河原秀行氏だ。
「元々、勅使河原(てしがわら)氏は教団バッシングが始まってから『自分が表に立って説明をしたい』と手を挙げていたそうです。長年、人事のトップとして肩叩きという″汚れ役″もやっていたせいか、温厚なタイプが多い教団内部でも彼はかなりのコワモテで通っています。千葉市にある教団施設で年に2回、修練会を主催するなど信仰心も厚い」(前出・古参信者)
実際、勅使河原氏はこれまでにも数多くの強権人事を発動させてきたという。
「都市部勤めだった公職者が上層部の期待に応えられず、突然、地方の教会へ単身赴任を命じられることもありました。当初は人事に難色を示していた信者も結局は『勅使河原さんには逆らえない』と受け入れるしかなかった。周囲も次は自分じゃないかと戦々恐々。毎年行われる人事発表前は怖くて夜も眠れない公職者も多い」(前出・教団関係者)
法廷バトルにまで発展した旧統一教会を巡る問題。解決の糸口はまだまだ見えそうにない。




『FRIDAY』2022年10月21日号
PHOTO:川崎侑弥(宮根誠司) 斉藤 浩(’95年の勅使河原氏) 共同通信社 時事通信社