<figure id="attachment_269023" aria-describedby="caption-attachment-269023" style="width: 490px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="2fbae19f"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/10/jihanki78788888.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-269023" class="wp-caption-text">森氏が開発した“最愛のマシン”と。「ジュースを買いながら会話が自然と生まれる」と社内の評判も上々だとか</figcaption></figure>
パスタ、餃子、寿司にダシ、ドレッシング、マスクまで、令和のニッポンにはアイディアを駆使した様々な自動販売機が登場している。
テレビの情報番組でも、自販機ネタは高視聴率をとるので、鉄板ネタになりつつある。そんな注目業界で革命を起こし続けている男がいるのをご存知だろうか。
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社員証をかざすと飲み物がタダになる「社長のおごり自販機」、自販機で食べ物まで買える置き型社食「ボスマート」など、次々にヒット自販機を生み出してきた森新（もり・あらた）氏だ。「子供のころから自販機が好きすぎて、自分で作りたくなってサントリーに入社した」というゴリゴリの自販機マニアである。
「自販機ってすごいんですよ、冷蔵庫にもなるし、セルフレジにもなるし、コミュニケーションの場にもなる。飲み物を買うだけじゃないんです。もっといろんな可能性を秘めているんです」
話題の自販機が出ると、森氏は必ず現地に足を運ぶ。彼のスマホのカメラのフォルダは自販機だらけ。鉄道ファンに「撮り鉄」がいるように、自販機マニアにも撮影して萌える人がいるのだろうか。「このパーツ」「このディスプレイ」がたまらない……というポイントは森氏にありやナシや？
「自分の場合は『配列』ですね。ボタンの配列に萌えます。自販機のボタンはだいたい3列なんですが、自分は4列のほうがソソられます」
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そんな森氏はメモ帳に1日1個、「こんな自販機があったら面白い」と思うアイディアを書き込んでいる。文字がギッシリ書き込まれて真っ黒になったメモ帳を見せてもらうと「あっちむいてホイをする自販機」、「たたいてかぶってジャンケンポン！する自販機」などの文字が……。
<figure id="attachment_269029" aria-describedby="caption-attachment-269029" style="width: 390px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="6776c636"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/10/jihannki555.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-269029" class="wp-caption-text">工学部卒の森氏は自ら基盤を作る</figcaption></figure>
「あっちむいてホイをして勝つまで買えない自販機は、ちょっとシュールで面白いですよね(笑)。自分は自販機を“ヒト”に近づけたいと思っているんです。温かみを感じるような存在であってほしい。自販機の前に立つ人は笑顔になってほしい。1ミリでも口角が上がる自販機づくりを目指しています」
サントリーの社内には、森氏が自由にイジっていい試作用自販機があるという。思いついたアイディアをすぐ、その試作用自販機で試す。このインタビュー中も、森氏のカバンから基盤が出てきた。これからこの基盤を試作用自販機に入れて、いろいろ試すのだという。作りたい自販機ができたら、企画書を作って上司の了承を得る――というプロセスは経ず、試作して実際に使った社員の反応を見て採用するかどうか決めるという。リアクションが良ければ実現化。イマイチなら即、ボツになる。
それにしても、なぜ森氏はここまで自販機に取り憑かれてしまったのか？　話は森少年が生まれた四半世紀前にさかのぼる。
「水道も通っていないような高知県の田舎町で育ちました。家の近くにお店なんてないので、おじいちゃんにお小遣いをもらって買い物に行く先はいつも自販機だったんです。冬はホットの飲み物を買って……帰り道は心まで温かくなった気がしました」
森氏の故郷では、自販機は多くの人々にとって「はじめての買い物」の場所であり、「最後の買い物の場所にもなる」と森氏は言う。そう、自販機には様々な人間ドラマが詰まっているのだ。
森氏は取材の終わりに「明日誰かに自慢できる自販機トリビア」を機関銃のようにダダダダと教えてくれた。
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「自販機の身長は183㎝。これが日本の家屋に搬入できる限界の高さです」
「自販機のボタンは社内のパソコンとつながっています。ドリンクの数をパソコンで管理していて、足りなくなると補充しにいきます。1日で何がどのくらい売れたかというデータは夜11時に自販機からパソコンへ送信されます」
「自販機の色を見れば、どこのメーカーのものかわかります。ちなみにサントリーは青系です」
「子供が好きな『なっちゃん』などの飲み物は下の段に、大人サイズのものは上の段に並んでいます」
「自販機のボタンは全部で36個ありますが、その中の6個はどこにもつながっていません。余りボタンです。なぜ6個も余っているのか？　調べてみましたが誰も答えを持ち合わせておらず……もはやミステリーです」
明日から自販機を見る目が少し変わるのではないだろうか。

15年以上、テレビとラジオの世界を漂流している放送作家

愛田プリン

自販機に魅入られ、自販機に人生を捧げるためにサントリーに入社した「アイディア自販機の革命児」森新氏。常に自販機と向き合い、ともに歩んできた数奇な男が見る夢とは？

ヒット連発！アイディア自販機の革命児「もっとヒトに近づけたい」

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