「女帝」死去で始まる”日大のドン”田中前理事長のさらなる苦境 | FRIDAYデジタル

「女帝」死去で始まる”日大のドン”田中前理事長のさらなる苦境

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妻の通夜に向かうため、自宅を出た田中前理事長。消沈した様子が窺える
妻の通夜に向かうため、自宅を出た田中前理事長。消沈した様子が窺える

「妻に(脱税の)責任が及ぶのは堪えられない」「それなら自分が全責任を負う」

これは、「日大のドン」田中英寿前理事長(76)が特捜部の取り調べに「完落ち」したときの言葉だ。

昨年11月、日大板橋病院をめぐる脱税・背任事件で逮捕された日大の田中前理事長。当時、脱税の共犯として特捜部の捜査対象になっていたのが一つ年上の妻・征子さんだった。征子さんに捜査の手が及ぶ可能性が高まり、田中前理事長は一転、否定していた金銭の授受を認める供述を始めたのだ。

今年10月5日、田中前理事長が罪を被ってまで守ろうとした、その最愛の妻が亡くなった。

「田中前理事長の自宅に特捜部の家宅捜索が入った昨年9月頃、夫人は階段から転倒。持病が悪化したこともあり、日大病院の特別病室に入院しました。田中氏が逮捕された11月下旬も入院中でしたが、最近は『ちゃんこ料理たなか』(東京・阿佐ヶ谷)が入る自宅ビルで療養していると聞いていました。突然の訃報で驚きましたが、日大はもちろん葬儀にはノータッチです」(日大元理事)

本誌は10月11日の夕方4時頃、征子さんの通夜へと向かうため、都内の自宅を出た田中前理事長の姿をキャッチ。理事長時代は「日大のドン」として権勢を振るってきた田中氏だが、うつむきながら車に乗り込む姿からは、愛妻との別れに消沈している様子が伝わってきた。

「田中氏はすでに有罪が確定しています(懲役1年・執行猶予3年・罰金1300万円)。背任で起訴された元理事の井ノ口忠男被告、取引業者の藪本雅巳被告らから受け取った1億1800万円の所得を隠し、約5200万円を脱税した罪です。井ノ口被告は、取引業者からのリベートなどの大半を妻の征子氏にわたしたと供述しています」(全国紙司法クラブ記者)

‘08年に日大理事長に就任して以来、5期13年にわたって「日大のドン」として君臨してきた田中前理事長。その権力は絶大だったが、日大に食い込みたい取引業者の多くは、田中氏本人ではなく、妻である征子氏に接近した。夫人が田中前理事長にとって「唯一頭の上がらない存在」であることが、周知の事実だったからである。実際、田中前理事長も自叙伝『土俵は円 人生は縁』の中で、「夫人にだけは今も頭が上がらない」と語っている。

「田中氏が理事長に上り詰めた頃には、『ちゃんこ屋詣で』という習わしができていました。大学の幹部や取引したい業者が頻繁に『ちゃんこ料理たなか』に出入りし、大学の人事や方針は店に呼ばれた側近だけで決められていたといっても過言ではありません。それも、夫人の座る席に近いほど『食い込み度』が高い。大学幹部も業者も必死で夫人に取り入っていました。その席を仕切っていたのは井ノ口元理事。夫人に気に入られなければ、日大では出世も仕事も望めなかったのです。まさに『日大の女帝』でした」(日大元理事)

そんな愛妻を失い、失意のなかにいる田中前理事長は今後、さらなる窮地に立たされるかもしれない。

日大は、田中前理事長らの逮捕を受け、昨年12月に「永久決別宣言」をし、同月の臨時理事会では田中氏、井ノ口氏に損害賠償請求を行う方針を決定している。それに向けて日大は着々と準備を進めていると見られ、井ノ口元理事の芦屋の豪邸が今年8月15日に「仮差押」されていたことを本誌は報じている。

田中氏の自宅ビルに入る『ちゃんこ料理たなか』は、征子夫人の名義になっていたためか、いまだ差押えはされていない。しかし、夫人の死去に伴い、名義が田中氏に変更されれば、『ちゃんこ料理たなか』も差し押さえられる可能性が出てくるのだ。

「田中氏は個人で複数の物件を所有していると言われており、日大はそれらについても調査を進めているはずです」(別の日大元理事)

“女帝”が亡くなったことにより、日大事件が再び注目を集めることになるかもしれない。

  • 写真田中俊勝

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