絵空事でない米朝開戦 金正恩の狙いは横須賀、沖縄、ハワイ近海 | FRIDAYデジタル

絵空事でない米朝開戦 金正恩の狙いは横須賀、沖縄、ハワイ近海

過去最大30発ものミサイル発射で牽制 昨年1月の国防発展5ヵ年計画を着実に実行し 3年後に「超大型核弾頭生産」で完全武装

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9月25日以降、北朝鮮の弾道ミサイル発射は7回にのぼり計12発。ほぼ2日に1回という前例のない頻度だ
9月25日以降、北朝鮮の弾道ミサイル発射は7回にのぼり計12発。ほぼ2日に1回という前例のない頻度だ

10月4日に日本上空を通過し太平洋へ1発、9日には日本海へ2発……。北朝鮮が発射したミサイルは、今年に入り30発を超え過去最多となった。軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏が解説する。

「北朝鮮にとって、今が好機なんです。弾道ミサイルの発射は国連安保理決議違反。しかしウクライナ紛争や台湾海峡問題で、米ロ、米中関係が悪化しています。ミサイル発射を強行しても、常任理事国であるロシアと中国が北朝鮮への制裁に反対してくれる。北朝鮮は、ICBM(大陸間弾道ミサイル)の発射や核実験を再開するとも宣言しています」

昨年1月、北朝鮮の指導者・金正恩(キムジョンウン)氏は水爆を意味すると思われる「超大型核弾頭生産」などを骨子とする国防発展5ヵ年計画を発表した。計画は順調に進み、3年後には完全武装するとみられる。黒井氏が続ける。

「5ヵ年計画では『多弾頭ICBM』も掲げています。そこで必要なのが核爆弾の小型化です。北朝鮮にとって有利な状況にある現在なら、計画達成のために核実験を行わない理由はありません」

だが北朝鮮が重視する水爆による核実験は、大きな賭けだ。『コリア・レポート』編集長の辺真一(ピョンジンイル)氏が語る。

「北朝鮮は、これまで米国が引くレッドライン(越えてはならない一線)を越えてきました。ブッシュ政権が禁じた核実験、オバマ政権の核兵器運搬手段の開発、トランプ政権のICBMへの核弾頭搭載……。米国が本当に譲れない一線は、太平洋上での水爆実験でしょう。米国の国土が危機に晒(さら)されるわけですから」

9月30日、駐韓米軍特殊部隊は金正恩氏をターゲットにした「斬首作戦」の訓練を公開した。正恩氏が核のボタンを押す前に暗殺する計画だ。辺氏が続ける。

「正恩氏も斬首作戦を恐れています。9月の最高人民会議で、国家指導部が攻撃されたら『核打撃が即時断行される』という法令が可決された。斬首作戦を察知次第、核で報復するぞという宣言です」

核攻撃の標的となるのは、米国だけではない。日本も他人事ではないのだ。

「北朝鮮は、’16年に攻撃目標を発表しています。第一が韓国の大統領府と在韓米軍基地。第二が、横須賀や沖縄にある在日米軍基地やグアム、ハワイ、そして米国本土です。北朝鮮が保有するミサイルの射程距離なら、いずれも攻撃可能でしょう(下の地図参照)」(辺氏)

核兵器による米朝開戦は、けっして絵空事ではない。辺氏は、こう解説する。

「正恩氏の妹の与正(ヨジョン)氏が、4月に『戦闘初期に相手の戦意を喪失させ長期戦を防ぐ』と述べています。これはウクライナの戦意を喪失させることができず、長期戦を強いられるロシアを教訓にしているのでしょう。中途半端な攻撃では、ロシアの二の舞になりかねない。強力な先制攻撃、核の使用に踏み切ると思います」

北朝鮮によるミサイル乱発は、開戦前夜の日米韓への強烈な牽制なのだ。

ミサイル発射を現地視察する正恩氏。「敵に強力な軍事的対応の警告を送るのが目的」としている
ミサイル発射を現地視察する正恩氏。「敵に強力な軍事的対応の警告を送るのが目的」としている
10月上旬、米韓合同演習のため朝鮮半島近海に展開する原子力空母『ロナルド・レーガン』などの米軍部隊
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『FRIDAY』2022年10月28日・11月4日号より

  • PHOTO共同通信社

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