事前質問通告も…立憲・泉健太が語った「議長に異例の質問」舞台裏 | FRIDAYデジタル

事前質問通告も…立憲・泉健太が語った「議長に異例の質問」舞台裏

【インタビュー】「失礼なのは議長のほうだ」1ケタ支持率の野党を率いる「覚悟」

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闘う政治家に「キャラ変」した立憲代表の泉健太。衆院本会議で、細田博之議長に向けて統一教会疑惑を追及する姿が大きな波紋を呼んだ 写真:アフロ
闘う政治家に「キャラ変」した立憲代表の泉健太。衆院本会議で、細田博之議長に向けて統一教会疑惑を追及する姿が大きな波紋を呼んだ 写真:アフロ

「村上誠一郎さんには、ぜひ立憲民主党に来ていただいて、旧統一教会の問題で共闘していきたいと思っています」

FRIDAYデジタルのインタビューに答えた立憲民主党代表・泉健太は開口一番こう言った。笑顔である。これまでの「一分の隙もない堅物」から「キャラ変」したというのは、どうやら本当のようだ。泉は笑顔のまま、こう続けた。

「村上さんの発した言葉は自民党にとっては不適切だったかもしれませんが、政治家が政策評価を発言するのは当然のこと。それができないというのはいかがなものでしょうね。村上さんのご意見には共感する部分も多い。我が党の幹事長、岡田克也は村上さんの義弟でもありますし、いっそ立憲民主党でタッグを組んで真相を明らかにしていただきたいと思いますよ」

村上誠一郎元行革担当大臣は、旧統一教会問題の取材に答えるなかで「不適切表現があった」として自民党党規委員会から1年間の党役職停止処分を受けた。それは「安倍晋三元首相に対する批判などもってほか、自民党として許すわけにいかない」という自民執行部の「安倍崇拝」を強く印象づける結果となった。

「村上氏をスカウトしたい」と、笑いながら言う泉代表だが、その目は笑っていない。岸田文雄政権の不誠実な旧統一協会対応に怒り、この臨時国会で徹底的に追求する腹づもりなのだという。

「安倍元首相が自民党と旧統一協会をつなぐキーパーソンだった。村上さんはそう認識して、あのような発言をしたのではないでしょうか。私たち立憲民主党も、同様に見ています。

安倍元首相は、自民党候補者に対して教団票の差配をしていたとされ、それによって得られた議席で安倍長期政権が成り立っていたわけです。そうだとすれば、政権運営や国会審議に旧統一教会はなんらかの影響を及ぼしていた可能性がある、誰だってそう思うはず。政治との太いパイプのなかで、教団は信者を獲得し、献金という形でお金が吸い上げられた。そのお金は韓国の教団本部の運営資金となっていた。そして、信者の家庭は悲惨な形で崩壊していった。教団と結びついた政治家の責任は大きいです。この問題を曖昧にしておくわけにはいかないでしょう」

ダメな国、ニッポン

アベノミクスが失敗した今も、岸田政権は金融政策を変更しようとしない。市場に溢れた通貨供給量を引き締めることができないからだ。

「世界各国が金利引き上げに転換しているなか、日本だけ協調できない。このままでは国債償還費用が膨らみ日本の財政はさらに危機に瀕します。金利差円安は、アベノミクスの負の遺産なのですから、この円安基調に歯止めはかからず、岸田政権が続く限り、物価高は年金生活者や賃金が上がらないサラリーマン世帯を直撃するのです。これは、安倍、菅、岸田と続いた自民党政権の失政です」

先の参院選で立憲民主党・泉執行部は「何がしたいのかわからない」と言われ敗北した。存在感は薄く、党が立ち直るために「代表選をやり直せ!」(立憲地方支部幹部)という罵声も浴びている。支持母体であるはずの連合は、麻生太郎副総裁と良好な人間関係を築くなど、立憲民主党の土台は激しく揺さぶられた。

「反省すべきことはたくさんあります」

泉はそう認める。そして、

「闘う立憲民主党へ変わらなければならない。まず執行部人事から始めました」

議場に尻を向けて、議長に詰め寄った

新執行部には、ベテラン、若手、中堅が顔を揃えた。そしてこの臨時国会でその「戦う姿」を現わしたのだ。

「旧統一教会にパーティー券を購入してもらったことはないですか? それ以外の金銭の関係はなかったでしょうか? 議長、お答え頂けますか?」

泉代表は代表質問に立ち、議場に尻を向けて、細田博之衆院議長を振り返り、強い口調で質問をぶつけた。133年の憲政史上類を見ない行動に議長は固まった。

「議長答えろ!」という激しいヤジも飛び交うなか、目を固く閉じ、硬直した細田議長の姿はテレビで全国に生中継された。「泉、よく言った!」という声とともに「国会ルールに反する」「慣例破り」「礼に失する行為」といった囂々(ごうごう)たる批判にも晒された。

旧統一教会と核心的な関係が取り沙汰された細田議長がその場で返答することなどありえない。しかし、それを承知で事前質問通告に、細田議長への質問を加えていた。禁じ手批判に泉代表が反論する。

「代表質問は国会ルールに従い、礼を尽くして事前質問通告を提出しています。国会の議長とは、最高権力者です。その方に、政治的な疑念があるのなら、それを糺すのが野党の責任です。議員運営委員会の席でも、説明する時間は十分にあったはずです。

政治家は国民に対し、どのような問いにも誠実に答えなければいけない。それなのに、紙一枚で事を済ませようとしていた。細田議長のほうがよほど、国民に対して無礼な態度だと思います」

この「掟破り」ともいえる作戦によって、結果、細田議長と旧統一教会の新たな問題があぶり出されることになった。続けて岡田克也幹事長は、予算委員会で原子力規制委員会と経産省の齟齬を鋭く突いた。対する西村康稔経産相はただただ逃げるしかなかった。執行部を中心に「戦う姿勢」が始動している。

「内閣支持率が30%を切っていますが、立憲民主党の支持率は1桁です。まだまだ届かない。国民のみなさんに、そう簡単に支持をいただけるとは思っていません。自民党政権のごまかし、不誠実を糺し、これなら政権を任せても大丈夫だろうと、そう言っていただけるまでひたすら走り続けます」

国民が国会に求めるのは、与野党の力が拮抗し、政府与党の独善を許さない十分な議論の場であることだろう。「キャラ変」した泉代表が率いる立憲がその「力」に届くか。正念場である。

「支持率は1桁」の野党第一党を率いる代表として、あえて「やんちゃ」な戦術も辞さない姿勢に泉の覚悟がにじむ
「支持率は1桁」の野党第一党を率いる代表として、あえて「やんちゃ」な戦術も辞さない姿勢に泉の覚悟がにじむ
  • 取材・文橋本隆写真アフロ

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