巨人が1位指名宣言! 高松商業・浅野にイチローが授けた「金言」 | FRIDAYデジタル

巨人が1位指名宣言! 高松商業・浅野にイチローが授けた「金言」

  • Facebook シェアボタン
  • X(旧Twitter) シェアボタン
  • LINE シェアボタン
  • はてなブックマーク シェアボタン
ベンチプレスはMAXで115㎏を持ち上げ、スクワットで担ぐバーベルは200㎏。パワーは超高校生級だ
ベンチプレスはMAXで115㎏を持ち上げ、スクワットで担ぐバーベルは200㎏。パワーは超高校生級だ

今年のドラフトの最注目候補である高松商業(香川)の外野手・浅野翔吾のグラブには、「獅子奮迅」の四文字が刺繍されている。

「グラウンドではライオンのように奮い立ち、走り回る。そんな気持ちを込めています。その姿勢は、プロでも貫きたい」

10月20日のドラフトの22日も前に、浅野の1位指名を公表したのは巨人だ。世代ナンバーワンの野手である長距離砲は、複数球団の競合となる可能性が高く、近年、くじ運に恵まれていない巨人が先手を打った形だった。

高松商業の長尾健司監督は、

「公表されながら、指名されない可能性はあるのでしょうか?」

と心配を口にした。1位指名を公言しながら当日回避するようなことがあれば、それこそ37年前のKKドラフトの時のような大騒動となるだろう。

浅野は言う。

「選ばれるのか、選ばれないのか、あやふやなまま心配する気持ちがあったので、公言していただけたことで、指名していただけるんだという安心感があります。高校に入ってからもずっと、プロ一本で考え、大学や社会人はまったく考えずに、毎日を悔いがないように過ごしてきた。(各球団との面談の中で)走攻守が揃っているところを高く評価していただきました」

上背は171㎝と小柄だが、浅野のプレースタイルを表すならば、「重戦車のパワーを持つスーパーカー」だ。高校通算本塁打は68本で、木製バットを使用したU-18野球W杯のメキシコ戦でも一発を放った。

中でも甲子園で放った2本のホームランが浅野の自信につながった。

「自分は中学時代、全国大会などの大舞台で弱かったんです。2年夏の甲子園で、智弁和歌山の中西さん(聖輝、青山学院大)からホームランを打つことできた。試合には負けましたが、優勝投手となった中西さんから打てたことで、プロ野球選手が夢から目標に変わった」

もう一本は、今夏に近江(滋賀)の二刀流・山田陽翔から放ったバックスクリーンへの一発。

「世代を代表するピッチャーと甲子園で対戦して打つことができた。最高に気分の良い一発でした」

大舞台で結果を残せるようになった背景には、ある人物からもらった一言が大きく影響したと浅野は振り返る。

「(昨年11月に高松商業を訪れ、指導した)イチローさんから、『全力の中で形を作る』という言葉をもらいました。それまでは、練習で疲れてくると、手を抜いてスイングしている自分がいました。イチローさんに出会ってからは、疲れていても声を出しながら思いっきりバットを振り続けた。それが打席に入った時の自信につながって、どんな投手が相手でも負ける気がしないというか、絶対に打てると思えるようになった」

高松商業のグラウンドには、レフトに行政が定める限度いっぱいの高さのネットが張られている。だが、右打席に立った浅野の打球はそのネットを幾度も超え、隣接する中学校の校舎に飛び込んでいく。練習中にやむなく周辺施設を毀損してしまった時のために野球部が加入している保険は、あまりの頻度のために今年度はもう適用されないという(同校野球部の三好明彦部長談)。ある時は建物の屋上に設置された貯水タンクにまで届いたことがあった。

「グーグルマップで計測したところ、飛距離は150m以上でした。手応え、打ちだしの角度、ボールの勢い……明らかに他の打球とは違いました。打ち方が悪ければ、質の悪いボールしか飛ばないですね」

ベンチプレスはMAXで115㎏を持ち上げ、スクワットで担ぐバーベルは200㎏。上腕二頭筋や大腿四頭筋といった大きな筋肉はいずれも分厚く、飛距離の源となっている。高校日本代表で一緒に戦った大阪桐蔭の松尾汐恩は、「体がぶれず、振り出す時にも体がツッコまない」ことを浅野から学んだと話していた。浅野本人にも飛ばす秘訣を聞いた。

「右足に体重を乗せたまま、詰まっても良いから自分の体の範囲内でボールを捉えることを意識しています。ボールを呼び込む、引きつけるようなイメージ。逆方向への打球もありますが、その時はたいてい、外角のボールをライト方向に〝引っ張る〟イメージを大事にしています。右打者の自分がライトに引っ張るというのは、矛盾した表現になるんですけど、こういうバッティングができれば木製バットも苦にならないと思います」

浅野は普段の練習から木製バットを使用してきた。

「(費用がかさむ木製バットを使用することで)折れたらどうしようとか、怖がってしまうと、スイングが弱くなって余計に折ってしまったり、詰まったり、先のほうに当たってしまう。とにかく木製をしっかり振ることに取り組んで来ました」

通常、浅野が入るのは右打席だが、公式戦で左打席に入ったこともある。

「最初は身体のバランスを整えるために左でバットを振ってみただけなんですけど、試合でも左打席に入ると打てたので、それなら(スイッチヒッターに)チャレンジしてみようと。まず右でしっかり打てるようになってからですが、プロでもいずれスイッチになってプレースタイルの幅を広げたい」

バッティングの飛距離だけでなく、50mを5秒台で走る健脚の持ち主で、盗塁だけでなく、幅広い守備範囲も武器となる。さらに強肩で、遠投は115mだ。

プロ入り後の自身の姿はすでにイメージしている。

「1年目はまずはケガをしない体作りと、プロの球の速さに慣れることを優先して、3年目ぐらいからしっかり出場できるようになりたい。正直、プロのレベルというのはよくわかっていない。プロのボールの質を理解した上で、明確な目標を立てたいと思います」

高校生年代の目玉選手と縁を結ぶのは巨人か、それとも――。ドラフト会議は10月20日の17時から行われる。

練習ではネット越えを連発。野球部は浅野のために保険に入っていたという
練習ではネット越えを連発。野球部は浅野のために保険に入っていたという
身長171㎝と野球選手としては小柄だが、がっしりとした下半身から繰り出されるパワーは抜群だ
身長171㎝と野球選手としては小柄だが、がっしりとした下半身から繰り出されるパワーは抜群だ
スイッチヒッターとしての期待も高い
スイッチヒッターとしての期待も高い
  • 取材・文柳川悠二
  • 写真加藤慶

Photo Gallery4

FRIDAYの最新情報をGET!

Photo Selection

あなたへのおすすめ記事を写真から

関連記事