<h3>睡眠に満足している人は、たったの17.8％！</h3>
新型コロナウイルス感染以降の在宅ワークの拡大により、顕著になっているのが睡眠障害の増加だ。厚生労働省がコロナ禍におこなった「令和３年度 健康実態調査結果の報告」では、自身の睡眠に満足している人は、たったの17.8％しかおらず、80％以上が寝入るのに時間がかかったり、途中で何度も目が覚めるといった不満を持っていることがわかった。さらに、病院に通うほどではないが、睡眠に不満を持つ「睡眠障害予備軍」なるものも生まれた。 
しかし、睡眠障害予備軍かどうかのボーダーラインとは一体何なのか？ 自宅でできる簡単な睡眠改善方法はないのか？ 

「休養×疲労回復」の専門家として、一般人やプロアスリートなどの幅広い層に睡眠改善・休養アドバイスをおこなっている睡眠改善インストラクター・福田英宏氏に、話をうかがった。
<figure id="attachment_270784" aria-describedby="caption-attachment-270784" style="width: 6000px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="56889583"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/10/4f64695c1450b7c748248f3d14540eaf.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-270784" class="wp-caption-text">厚生労働省がコロナ禍におこなった調査では、自身の睡眠に満足している人は、たったの17.8％だった（写真：アフロ）</figcaption></figure>
<h3>まずは「睡眠障害予備軍」チェック </h3>
――早速ですが、「睡眠障害予備軍」と「睡眠障害」との違いはあるのでしょうか？
福田英宏（以下、福田）：明確な違いとなると、少し難しいですね。睡眠障害とは、夜寝れないことで日常生活に支障が出ている状態の総称です。種類は、不眠症、概日リズム睡眠覚醒障害、睡眠呼吸障害、睡眠関連運動障害など多数あります。症状や感じ方には個人差があるので、一概に「この症状が出たら睡眠障害予備軍です」とは言いにくいのです。しかし、以下のような症状が“頻繁に起こる”のなら、睡眠障害予備軍を疑った方がいいかもしれません。 
<ul>
<li>・布団に入って30分以上たっても眠れない</li>
<li>・眠りが浅く、夜中に何度も目が覚める</li>
<li>・早朝に目が覚める</li>
<li>・寝て起きても疲れがとれない</li>
<li>・日中に強い眠気が来る</li>
<li>・足がムズムズして眠れない</li>
</ul>
 福田：ポイントは、「いくつ当てはまるか」ではなく「回数」です。月に１度や２度ならば、たまたまかもしれません。「途中で目覚める日が続いている」という風に、何度も体感しているかどうかです。
――もし、上記に当てはまる場合はどうしたらいいのでしょうか？
福田： まずは睡眠アプリなどを使って、データをとってみるのもいいでしょう。最近のアプリは性能も高く、入眠や起床時間、睡眠時間だけでなく、睡眠の深さまでわかるものもありますし、睡眠状態からスコアを割り出すものもあります。60より下のスコアが続くようであれば、専門家に相談してみてもいいと思います。 
<figure id="attachment_270785" aria-describedby="caption-attachment-270785" style="width: 2109px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="0a3f70cb"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/10/f1570b643c9bff7d501eba48cd68618f.png" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-270785" class="wp-caption-text">コロナ禍の平均睡眠時間は6.5時間、「眠りが浅くなった」と回答した人は約３割（ニチバン株式会社・2021年８月、20代から60代までの男女500名を対象におこなった調査より）</figcaption></figure>
<h3>コロナ以降増えた、在宅ワーカーの「睡眠障害」</h3>
――実際に、睡眠障害で悩む人は増えているのでしょうか？
福田：コロナ禍以降、増えてきていると思います。相談件数もそうですが、不眠や睡眠障害についての取材が増えました。個人的には、この点が社会的にも深刻化しているバロメーターなのかなと思います。 
――増加した相談者の共通点には、どんなことがありましたか？
福田：ひとつ挙げるとすれば、デスクワークの方でしょうか。布団に入ってもなかなか寝付けない入眠障害と、途中で目が覚めてしまう中途覚醒で悩んでいる方が多い気がします。 
通勤がなくなり、朝からずーっと仕事をしていると、いつの間にかプライベートとの区切りがなくなり、寝る時間が遅くなる。それが日常化して、ある日、早めに寝ようと思っても寝れなくなっている。それに、朝、目覚めてもどこかスッキリしない。そのため、仕事が思うようにはかどらず、夜遅くまで仕事をしてしまい、翌朝起きるのがツライ…。そんな生活サイクルに陥ってしまっているようです。 
<figure id="attachment_270786" aria-describedby="caption-attachment-270786" style="width: 5836px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="42cbada3"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/10/971778d743a8232ea09c3190ed739c08.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-270786" class="wp-caption-text">夜遅くまで自宅で仕事をする人が、睡眠に悩みやすい傾向にある</figcaption></figure>
――眠れないことで生活サイクルが崩れて、仕事に支障がある人もいるんですね…。 
福田：ただ、在宅ワーカーの方々が寝にくくなるのは、人間の体の仕組み上、仕方のないことなんです。１日は24時間ですが、私たちの体内時計は24時間18分と少し長め。それをリセットしてくれるのが、太陽と食事と運動といったものです。 
朝起きて、太陽の光（2500ルクス以上）に当たることで、セロトニンという安定と癒しのホルモンが分泌されます。それが14～16時間後にメラトニンという眠気を誘うホルモンに変わることで、自然と眠くなるんです。在宅ワーカーの場合は、朝から自宅にこもってずっと仕事をしている方が多いので、体内時計がズレてしまい、これらの機能が正常に働いていない可能性は拭えません。 
――仕事の後、お酒を飲んだり、スマホでゲームをしていて、いつの間にか寝ているというのは？
福田：寝るというか、“落ちる”ってやつですね。その場合は、質のいい睡眠とは言えないかもしれません。 
<div data-friday-nextpage-lead="スマホをアラーム代わりに使わない"></div>
<h3>質の高い睡眠をとる方法は？ </h3>
――睡眠の質がよくないから、翌日スッキリしないんですね…。 
福田：睡眠の質については、交感神経と副交感神経が深く関わっています。このバランスがいいと睡眠の質もよくなり、翌日もスッキリ起きれて元気に過ごせます。 
ただ、現代人の多くは交感神経優位の状態が長く、バランスの悪い方が多いんです。というのも、ほとんどの人が、仕事などのいろいろなことをやった上で、余った時間を睡眠時間にしています。年齢を重ねると、交感神経から副交感神経に切り替わりにくくなるというのもあるので、意識的に副交感神経が優位になる状況を作る必要があるんです。 
――質の高い睡眠をとるには、どうしたらいいのでしょうか？
福田：睡眠環境を整えること、意識して睡眠時間を確保すること、必ず湯船につかることでしょうか。 
睡眠環境については、寝室は落ち着ける暖色系の照明にして、枕元にはスマホやパソコンなどを置かないことが鉄則です。ずーっと明るい照明をつけていると、脳が昼間だと勘違いしてしまうんです。また、スマホやパソコンなどから出る電磁波も睡眠を妨害する原因となる可能性があります。 
二つ目の意識して睡眠時間を確保するというのも、そんなに難しくはありません。たとえば、僕の場合は40代なので、７時間くらいが必要な睡眠時間とされています。それを踏まえて、翌朝６時に起きようと思った場合、前日の23時には寝たいですよね。すると、お風呂は寝る１時間半前、夕飯は寝る３時間前にすませるっていう風に逆算していくと、睡眠時間を確保したスケジュールが組めます。 
<figure id="attachment_270788" aria-describedby="caption-attachment-270788" style="width: 6000px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="5567540e"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/10/b55cca81d5e9f28b70138e4cac84cae9.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-270788" class="wp-caption-text">スマホを目覚まし時計代わりにしてはいけない！？</figcaption></figure>
三つ目の湯船につかるというのは、深い眠りに入りやすくする準備です。入浴後90分くらいから深部体温が下がり、寝つきやすくなるといわれています。 
ほかにも、質のいい睡眠をとるポイントには、以下の８点があります。 
<ul>
<li style="text-align: left;">１＿スマホを目覚まし時計代わりにしない</li>
<li style="text-align: left;">２＿起きたら太陽を５分以上見る。朝食はできれば和食で。20分ほどの軽い運動をする</li>
<li style="text-align: left;">３＿昼寝をするなら、15時までに20～30分</li>
<li style="text-align: left;">４＿夕方以降は、照明の光色を電球色に変えたり、明るさを調整する</li>
<li style="text-align: left;">５＿お風呂は38～41度の湯船に10～15分つかる</li>
<li style="text-align: left;">６＿寝る時はパジャマ（麻・綿・シルク）に着替える</li>
<li style="text-align: left;">７＿寝る前はスマホを見ない</li>
<li style="text-align: left;">８＿スマホを充電しっぱなしで枕元に置いて寝ない</li>
</ul>
福田：特に、スマホを目覚まし時計として使っている人は、すぐにやめた方がいいでしょう。睡眠を妨害する可能性がある電磁波を出しているというのもありますが、音よりも光で目を覚ます方がいいので、最近少しずつ増えてきている光目覚まし時計の方がおすすめです。 
快適な睡眠は、小さなことの積み重ねの上にあります。これらはすぐに試せるものですが、一度に全てをやる必要はありません。やりやすいものから、ひとつずつはじめてみるといいでしょう。 
そのほかにも最近は、いろいろな快眠グッズが発売されています。バスソルトやアロマ系グッズなどの手の出しやすいものがたくさんあるので、安眠ポイントを押さえつつ、快眠グッズを上手に活用して、副交感神経を優位にすることからはじめてみてください。 
そして、上記のような工夫をしたけど、なかなか改善しないという場合は、快眠セラピストや睡眠インストラクターなどの睡眠専門の資格を持っている人に相談してみるといいでしょう。 
福田英宏　「休養」「疲労回復」「睡眠」の専門家として、アドバイザーやコンサルタントをおこなう 
<a href="#" data-ident_hash="9003391b"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/10/5.png" alt=""></a>

WEBを中心にフリーライターとして活動。また、書籍や企業PR誌の制作にも携わっている。専門分野は持たずに、歴史・お笑い・健康・美容・旅行・グルメ・介護など、興味のそそられるものを幅広く手掛ける。

安倍川モチ子

アフロ

厚生労働省がコロナ禍におこなった調査では、自身の睡眠に満足している人は、たったの17.8％。睡眠障害予備軍かどうかのボーダーラインとは一体何なのか？ 自宅でできる簡単な睡眠改善方法はないのか？

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