超人気店の予約権利をオークションで…「食オク」に客が殺到のワケ | FRIDAYデジタル

超人気店の予約権利をオークションで…「食オク」に客が殺到のワケ

10月11日にスタートした新サービス「食オク」。早くも落札価格は高騰し、40万円の値がついたケースも

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「食オク」のホームページには、超がつく予約困難店として知られる9店舗が掲載されている
「食オク」のホームページには、超がつく予約困難店として知られる9店舗が掲載されている

令和の時代を象徴するような注目の新サービスが、10月11日からスタートした。

常連客以外ではほぼ予約不可能な人気店の予約権利をオークション販売する、「食オク」。店から提供してもらった座席をオークションにかけ、落札者がその席の予約権を獲得するというサービスだ。

現在、「食オク」に登録されている店舗は9店。ミシュラン三つ星を“返上”したことで知られる会員制の『鮨さいとう』(東京)や、半年先まで予約でいっぱいの中華料理『齋華』(京都)など、超がつく人気店ばかりが並ぶ。

「食オク」を運営する株式会社食オクの代表取締役社長・山澤孝司氏(50)は、サービスを始めた理由をこう語る。

「私はもともと広告代理店に務めていたんですが、安月給の若手社員時代から背伸びをして人気店を食べ歩くのが好きだったんです。そのなかで、いわゆる『予約困難店』の店主の方と話をする機会もいただきまして、飲食業界が抱える”事情”というものが見えてくるようになってきました。

飲食店の売り上げは、『席数×客単価』がすべてと言って過言ではありません。それは予約困難店であっても変わりはなく、どんなに人気があっても売り上げは頭打ちになってしまっているのが現状です。世界と比べて日本の飲食店は安く、業界の平均年収は120万円も低いのです。その限られた売り上げのなかで職人さんを育てていかなければならず、皆さん、本当に苦労している。さらに、食材の仕入れ原価の高騰も起きています。円安に伴う海外からの買い付けの増加などさまざまな理由があると思いますが、寿司屋でいえば『良い魚』が手に入りづらいというようなことがどんどん増えているのです」

そこで山澤氏が始めたのが、「食オク」というわけだ。オークションで得た利益を飲食店に還元することで、売り上げの頭打ち解消に貢献。また、新たに一般社団法人を立ち上げ、農業や漁業といった一次産業への寄付も行っていくという。

「9月に『食オク』のリリースを出した際に少し炎上してしまったので、もう少し説明させてください(笑)。当初、社長である私が個人的に持っている予約枠をオークションにかけ、その利益を独占すると思われてしまったんですが、まったくそういうことではありません。オークションで販売するのは、あくまで店から『新たに提供してもらった席』の権利です。常連客の方々がすでに持っている予約枠を削るということもありません。休みにするはずだった日や、ランチとディナーの間など、本来であれば営業していなかった時間をお店の好意で解放してもらい、その席をオークションにかける。ただでさえ多忙なのに、休みを減らしてまで協力してくれたのは、9店舗が『食オク』の理念に賛同してくれたからこそ。お店の協力なくして『食オク』は成り立ちません」

オークションで販売するのは、あくまで席の予約権だ。店で注文した飲食代は別途かかることになる。当然、支払い総額はかなりの金額になるため、山澤氏は「少しずつ会員数を増やしていければ」と考えていたようだが、9月のリリース以降「食オク」には会員登録が殺到。予定を前倒し、10月11日からサービスがスタートした。

「ありがたいことに、すでに3200名を超える方に『食オク』の会員になっていただいています。特別な会食で利用したいビジネスマンや、予約困難店に行ったことをアピールしたいSNSインフルエンサーなど、用途はさまざまかと思いますが、それだけニーズがあったということだと考えています」

需要と供給がマッチした良いことだらけの新サービスにも思える「食オク」だが、課題もある。一つは、落札価格の高騰だ。実際、早くも落札価格が2席で40万円に及ぶケースも出てきており、今後、海外からの「予約希望者」が増えれば庶民では絶対に手が出ない値段まで高騰してしまう可能性もある。

また、店舗側にとっても、懸念は残されているという。

「いままで出入り禁止にしていたようなお客様も店に来てしまうのではないかと、心配している店舗は多いですね。一人でも変な客がいれば、店の雰囲気というのは変わってしまうものですから……。落札者をお店に照合し、過去に出入り禁止にした人かどうか確認していきますが、それで完全に防げるわけではない。そのあたりは運営しながら、対策を考えていくつもりです」

ゆくゆくはキャンセル席のオークションや、パリやNYなどにある予約困難店の海外展開も構想しているという「食オク」。さまざまな課題を乗り越え、令和の新サービスとして定着できるか。

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