巨大災害「予測マップ」2019 地球規模の異常気象が発生する
史上最大規模の地震がくる!
「2011年の東日本大震災以来、地震が起きやすくなっていることは確かです。’17〜’18年くらいから地震や噴火が徐々に増えてきています。’19年以降も警戒が必要であるのは間違いありません」(武蔵野学院大学特任教授・島村英紀氏)
日本列島の地下に異変が起きつつある。’18年は北海道胆振(いぶり)地方でM6.7、最大震度7の大地震が発生し、大きな被害を記録したが、’19年はより巨大な地震が日本列島を直撃する可能性がある。
下の図を見ていただきたい。これは2018年12月21日以前の100日間に起きた主な地震の震央を、マッピングしたものだ。○の大きさは地震の規模(M)、色の濃淡は震源の深さを表している。東北沖で地震が頻発しているが、これは「3.11」の影響がいまだに続いていることを示す。注目すべきは、その南側の部分だ。東北大学災害科学国際研究所の遠田晋次教授がこう語る。
「3.11の震源域周辺は、地震時に解放された歪みが逆に伝播・分配されたことで地震が起きやすい状況が続いています。房総沖などの海域を含んだ関東地方もそれに当たります。3.11の際は東京直下でも地震が頻発しましたが、その時に活発化した地震活動はやや衰えたとはいえ、まだ3.11前よりも高い状態を保っています」
北海道胆振地震は3.11大震災の北側部分で起きた。今度はその南側、関東近郊や東京直下でも、大地震がいつ起きてもおかしくない状況なのだ。
西日本も油断はできない。M8〜9クラスが確実と言われる南海トラフの巨大地震の危機は、目前に迫っている。
「’18年4月頃から、和歌山県南部や紀伊水道、三重県南部、徳島県東部などで地震が増えています。また12月くらいから、房総半島南東沖、東海道南方沖などでもM4〜5クラスの地震が起き始めた。プレートの先端部境界で起きるこうした地震は、『スーパー南海地震』に直結する可能性があります」(立命館大学環太平洋文明研究センター・高橋学教授)
下の図に示した南海トラフ巨大地震の予想震源域は国が指定したもので、この部分のプレートが動いただけでも3.11に匹敵する地震となるのは確実。しかし、震源域が予想以上に広がり、この南海トラフ地震が前述の関東の巨大地震(相模トラフ、房総沖)と連動するという、最悪のシナリオもあり得るのだ。
巨大地震の前兆として、今後は大阪や京都など近畿地域でM7クラスの地震が発生する可能性がある。また、大規模な地殻変動は、周辺の火山の噴火にも繋がっていく。前出の島村氏がこう語る。
「北海道の雌阿寒岳(めあかんだけ)や樽前山(たるまえさん)は山頂の温度が400度を超えていて、いつ噴火してもおかしくない。九州の火山にもあちこち危険な兆候があり、熊本地震で活発化した中央構造線の上にある阿蘇山、雲仙普賢岳にも注意が必要です」
もはや、日本に安全な場所などない。
「破滅的災害」が近い
「地球温暖化と気候変動により、この先、最大15%の雨量増加とハリケーンや台風が30%近く増加することがわかっています。将来さらなるカタストロフィー(破滅的な大災害)が起きるのは間違いありません」(米国エネルギー省ローレンス・バークレー国立研究所のクリスティーナ・パトリコーラ氏)
’18年、日本が台風や豪雨に襲われる中、世界もまた、ハリケーンや熱波、寒波、火山噴火などの異常気象・天変地異に見舞われた(詳細は2枚目の図)。
こうした世界規模の災害は、間違いなく日本にも悪影響を及ぼす。立命館大学環太平洋文明研究センター・高橋学教授が指摘する。
「12月22日にインドネシアで発生した火山噴火と津波ですが、問題は火山灰です。今回の噴火で火山灰が高度1万3000mまで噴き上がった。雨が降るのは1万m以下ですので、この火山灰は地上に落ちてこず、太陽光を遮り異常気象をもたらします。例えば’91年にフィリピンの火山が噴火した時は、その後2年間にわたって、地球全体の平均気温が約0.4度下がりコメが不作になりました」
日本にとって恐ろしいのはこれまでの常識で測れないゲリラ的集中豪雨である。
「豪雨は太平洋の海面水温が高いのが原因です。これにより、水蒸気が多くなり大雨をもたらした。今年は昨年以上にゲリラ豪雨が多くなると思います」(気象予報士の森朗氏)
局地的に常識外れの大雨が降れば、想像を絶する大水害を引き起こすことを、’18年7月の西日本豪雨で我々は目の当たりにした。壊れかけた地球の大災害の連鎖から、日本も逃れることはできない。

写真:アフロ(1枚目除く全点)図版作成:アトリエプラン