ミサイル連発の一方…金正恩「死者続出タワマンで無茶振り」の中身 | FRIDAYデジタル

ミサイル連発の一方…金正恩「死者続出タワマンで無茶振り」の中身

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建設現場で厳しい注文をつけることも多い正恩氏(画像:時事通信社)
建設現場で厳しい注文をつけることも多い正恩氏(画像:時事通信社)

10月18日に250発、翌19日に100発……。

北朝鮮が韓国軍の軍事演習に対抗し、連日黄海へ向け砲撃を続けている。発射した弾道ミサイルは、今年に入り30発を超え過去最多に。10月23日には指導者・金正恩氏が3期目を迎えた中国の習近平・共産党総書記へ祝電を打ち、「いかなる情勢の変化と挑戦の中でも揺らぐことなく社会主義を核とする両国の発展を力強く牽引する」と関係強化を訴えた。

軍事、外交面で、派手なパフォーマンスを繰り返す正恩氏。その一方で、国内では市民が悲鳴をあげている。ムリにムリを強いられているというのだ。朝鮮半島情勢に詳しい『デイリーNKジャパン』編集長・高英起氏が語る。

「典型的なのが、正恩氏が肝いりで進めているプロジェクト『平壌市5万世帯住宅建設構想』です。正恩氏は21年1月の朝鮮労働党大会で、25年までの経済5ヵ年計画で毎年1万戸を建設すると宣言。計5万戸を、平壌に創出するとしています。その一環として、平壌中心部の和盛(ファソン)地区ではタワーマンションの建設が進められているんです。

しかし、ムリなスケジュールで進められる工事現場では死亡事故が多発。今年6月までに、5人の作業員が亡くなっています。いずれも徹夜での仕事を強いられ、安全装置をきちんと装着しないまま高い場所から落ちて死亡したようです」

500人が死亡した大事故の呆れた原因

北朝鮮では、タワマンの工事現場での事故が日常茶飯事だ。14年4月には、23階建ての高層マンションが倒壊。事故当時は内装工事が行われていたが、運び込まれた砂や砂利の重さに耐えられず、壁に大きな亀裂やヒビが入り崩れ落ちたとされる。犠牲者は500人にのぼるという。

過酷な現場に、正恩氏はさらに無茶な要求をしているようだ。高氏が続ける。

「正恩氏は今年3月と5月に和盛地区の建設現場を視察した際、こう話したそうです。『(平壌の一等地)万寿台(マンスデ)通りのマンションでも、2日に1回、朝1~2時間しか水道が使えない。和盛地区のタワマンに給水タンクを設置すれば、水を思う存分使えるようになるだろう』と。

北朝鮮の水道事情は劣悪です。地方では一度も水道が敷設されたことがない地域もあり、遠くまで水を汲みにいかなければなりません。タワマンでさえ水道の稼働力が不十分で、高層階では蛇口から水が出ないことが普通にあります。中層階の部屋のほうが人気が高い理由です。北朝鮮で水が自由に使えるのは、とても贅沢なことなんですよ」

北朝鮮当局は「元帥様(正恩氏)の愛とご配慮を忠実に実践する」とし、40階建てのタワマンの11階以上のトイレ用に、3~5トンの給水タンクの設置を追加指示した。しかし……。

「竣工検査のスケジュールは、今年12月から来年2月で決定しています。工事は遅延できません。さらなるシワ寄せで、現場から犠牲者が増えないか心配です」(高氏)

自身の独断で、ミサイルを連発しタワマン建築計画を変更する正恩氏。指導者の意向に、北朝鮮人民は振り回され続けている。

  • 写真時事通信社

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