英政権は「手遅れ」?新首相誕生でも崩壊は時間の問題のワケ | FRIDAYデジタル

英政権は「手遅れ」?新首相誕生でも崩壊は時間の問題のワケ

政権交代へのカウントダウンが始まった

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新首相に就任する見通しのリシ・スナク元財務相/アフロ
新首相に就任する見通しのリシ・スナク元財務相/アフロ

英国史上最短、在任44日で辞任を表明したリズ・トラス首相に代わり、リシ・スナク元財務相(42)がその座に就くことが24日、決定的になった。〝カムバック〟が期待されたボリス・ジョンソン元首相は不出馬を表明し、有力候補だったペニー・モーダント下院院内総務も立候補を断念した。

英国では20世紀以降で最年少、初のインド系首相が誕生することになるが、「誰がなっても手遅れ」というのが、今回の党首選における正しい見方のようだ。

「トラス氏の示した大型の減税策が、実現可能性に乏しい内容だった一方で、富裕層や大企業など一定の支持層におもねる内容だったとの批判が飛びました。その声は国内にとどまらず、国際社会も『格差が広がる』と懸念を示し、金融市場の混乱を招いた結果ポンド、株価、債券のトリプル安に見舞われることになりました。

結果、トラス政権の最終的な支持率は7%、不支持率77%という歴代最低の数字まで転落。前代未聞の状況で展開された公認候補を決める選挙も、波乱はなく予想通りの展開でした」(全国紙国際部デスク)

そもそも、ここまで政権支持率が急落したのはトラス氏個人の責のみに依るものではない。インフレ対策を見込んだ大規模な減税はジョンソン政権時代から公約に入っていたこともある。トラス氏の後釜は、前任を諌めるというより、混乱の責任を取る立場に置かれるはずだ。

英調査会社『ユーガブ』が10月21日に公開した世論調査によると、最大野党・労働党の支持率56%に対し、保守党は19%と大差をつけられている。それを踏まえたうえで、労働党党首のサー・キア・スターマー氏は、このタイミングで総選挙を行わないことを強く非難した。

現状の支持率を考えれば、保守党はこの声を黙殺するほかない。93年、カナダで与党・進歩保守党が改選前の169議席のうち167議席を失うという歴史的大敗を喫したケースがあるが、英議会も解散すればこうした〝悲劇〟に匹敵する事態になる可能性が高いからだ。

「それに加え、新首相になる予定のスナク氏が、つい数ヵ月前まで『ジョンソン降ろし』に加担していたとされることが、ジョンソン氏を依然として支持する一部の党員の不評を買っています。次回の総選挙で、保守党が完全に分裂する可能性もゼロではありません」(前出・国際部デスク)

要するに、次の首相が誰になろうとも、次の総選挙で政権交代を迎える可能性は十分あるというわけだ。

国際ジャーナリストの山田敏弘氏は言う。

「支持率7%という数字は、この数年間保守党内部の選挙だけで党首をコロコロ変えてきたことへのイギリス国民の怒りの表れであると受け取れます。政権を握ったまま、勝手に首だけすげ替えて、有権者をコケにしているのか、という鬱憤が溜まっているのでしょう。

対外的にも悪影響です。G7ごとに新しい首相が来ると、他国から『外務省とだけ話しておけばいい』とトップがないがしろにされるようになる。印象が悪くなり、国際的な影響力を失う事態にもなりかねません」

エリザベス女王が生前最後に任命した首相は早々に退陣し、イギリスの議会はなおも混迷を極めそうだ。偉大な君主亡き後、大きな課題にぶち当たっている。

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