<h3>OA時間「10分間」の子供向けお笑いネタ番組…</h3>
<figure id="attachment_272075" aria-describedby="caption-attachment-272075" style="width: 1920px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="54936384"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/10/dbc4aa4acbffa249faefa83e88c132bd.png" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-272075" class="wp-caption-text">「子どもを笑わせようとしているのが分かりました」…子どもたちからの手厳しいダメ出しも。『わらたまドッカ〜ン』（Eテレ／毎週木曜日19:45～19:55）</figcaption></figure>
2017年からEテレで放送されている子供向けお笑いネタ番組の『わらたまドッカ〜ン』。「日本一子どもにウケるお笑い芸人」を目指して、毎週2組の芸人が対決するという内容だ。10分間という短い放送だが、四千頭身のような若手からテツ＆トモのようなベテランまで幅広い芸人が出演する。また、小島よしおVSアイデンティティのようなユニークな対戦セレクトも魅力だ。番組誕生のきっかけや人選について、番組プロデューサーにうかがった。 
<h3>きっかけは前『天才てれびくん』プロデューサーの「子どもたちに玉入れをさせたい」</h3>
<figure id="attachment_272076" aria-describedby="caption-attachment-272076" style="width: 2000px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="0b7a739f"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/10/1-2.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-272076" class="wp-caption-text">『わらたまドッカ〜ン』プロデューサーの後藤恵さん（写真左）、ディレクターの村田有里さん（右）（撮影：番正しおり）</figcaption></figure>
――「わらたまドッカ〜ン」がスタートしたきっかけは何だったんでしょうか？ 
後藤恵（以下、後藤）「番組づくりに関しては、いわゆる大人の事情がたくさん絡んでいて、特に深い理由はないんですが…（苦笑）。
6年ほど前になるんですが、『天才てれびくん』の当時のプロデューサーから『子ども玉入れ寄席ってのをやれないか？』と相談されました。正月番組で演者が楽しそうに玉入れをしているシーンを見て、これを子どもたちにやってもらえたら楽しいのではないかと思ったそうです。
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ただネタを見て楽しむのではなく、子ども達が自分でどちらが面白かったかを考えて玉入れをする、参加感のある番組というのがテーマでした。そして、最終的には寄席よりもポップな感じの今のスタイルになりました」 
――（当時の）9分という放送時間は、その時点で決まっていたんですか？ 
村田有里（以下、村田）「当時、放送していた『Let&#8217;s天才てれびくん』には、約10分間の2部枠というものがあって、それまではアニメなどを流していたんですが、新規一転で子ども向けの『お笑い』を入れようと考えたそうです」 
後藤「なので、放送時間は選ぶ余地がなくて、最初から決まっていました。ただ、一般的なネタ番組として考えると、物足りない放送時間かもしれませんが、その頃はショートネタが流行っていましたし、１つのネタが約3分というのは短すぎず長すぎず、ちょうどいいんじゃないかというのがありました。
それに食事時の忙しい時間帯には、ぱっと見られる番組の方が親御さんも安心してお子さんに見せられます」 
<figure id="attachment_272077" aria-describedby="caption-attachment-272077" style="width: 1920px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="9eafe270"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/10/2-1.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-272077" class="wp-caption-text">番組開始当初は80人の子どもたちが審査員になって、面白いと思うコンビに玉入れで取票していた</figcaption></figure>
――勝手ながら、『爆笑オンエアバトル』を意識されている部分もあるかと思っているのですが…。
後藤「よく言われるんですが、全く意識していません。『わらたま』制作陣の中で、唯一僕だけが『爆笑オンエアバトル』に携わっていたんですが、『わらたま』の発案はまったくオンバトとは関係ない前『天才てれびくん』のプロデューサーですし、番組の構成や流れも全然違います。確かに投票が「玉」ということは同じなのですが･･･（苦笑）」 
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村田「かつて芸人としてオンバトに出演されていた元チャイルドマシーンの樅野（もみの）さんが、今はこの番組の放送作家として参加してくださっていて、番組がスタートしてしばらく経ってから、子どもたちからのダメ出しコーナーを設けたことがあります。この部分は『オンバト』の要素が少しあったかもしれません」 
後藤「あと、たまにスタジオのセットが『IPPONグランプリ』（フジテレビ）に似ているといわれますが、これも全く意識していなくて…。『セットは、あまり子どもっぽくしたくない』と話し合っていたところに『映画のキル・ビルがかっこいいから、それっぽくしてはどうか？』という意見が入り、黒と黄色が基調のセットになりました」
<figure id="attachment_272167" aria-describedby="caption-attachment-272167" style="width: 1920px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="bc1ef6e6"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/10/3-1.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-272167" class="wp-caption-text">黄色を基調に黒のラインを加えて、映画『キル・ビル』っぽさを表現したスタジオセット</figcaption></figure>
<div data-friday-nextpage-lead="ほぼ100％大人の事情（笑）"></div>
<h3>ユニークな対戦カードの訳は「ほぼ100％大人の事情（笑）」</h3>
――たまに、不思議な対戦回がありますが、どうやって人選されているんですか？ 
後藤「こちらも、申し訳ないのですが本当に特に深い理由はなくて…。収録はお子さんに参加してもらうために基本的に土日なのですが、芸人さんの営業も土日が多くて、なかなか人気芸人には出演してもらえないんです。場合によっては、3ヵ月ぐらい前からお願いしないと出ていただけないなんてケースもあります。
だから、『この2組に何日の放送回でお願いしたい』というのは簡単にはできないんですね。たまに『M-1チャンピオン対決』みたいな回も生まれますが、これは本当にただの偶然です」 
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村田「あと、真剣勝負とはいえ、漫才vs漫才など同系列のガチ対決にならないように、あえて系統やジャンルを若干ズラすようにしています。それと、3週に1回ぐらい若手対決回を設けていて、その回は対決内容を多少考える時もあります。でも、結局はスケジュールが第一ですね」
<figure id="attachment_272080" aria-describedby="caption-attachment-272080" style="width: 1920px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="340c4333"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/10/4.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-272080" class="wp-caption-text">最近、テレビ番組での出演も増えている「怪奇!YesどんぐりRPG」</figcaption></figure>
――大人向けのお笑い番組との違いで意識されていることは？
後藤「個人的には、NHKの中でNGが一番厳しい番組だと思っています。食事時の放送ですし、親子で安心して見てもらえる番組というのが根底にあるので、下ネタはもちろんダメですし、強く叩いたり、汚いことばや、いじめにつながりそうなイジりもダメです」
村田「裸になるのも、食べ物を粗末にするようなものもNGです。なので、芸人さんたちには、本当にご迷惑をかけていると思います…。でも、新キャラや『わらたま』用のネタを作ってくださったり、いろいろと工夫していただいているので、本当に助かっています。ただ、それが子どもたちにウケるかどうかは別問題ですが…」
――…それは、ちょっと切ないですね…。
後藤「ありネタを子ども向けに作り直してくださる方もいるんですが、これがけっこう難しいところで…。子どもに寄せすぎると見透かされちゃったりするんですよ（苦笑）」
村田「先ほどお話したダメ出しコーナーでは、小学校低学年の子に『子どもを笑わせようとしているのが分かりました』と言われたこともありましたし、『この設定はリアルじゃない』と言う子もいました。
反対に、『子どもたちにわかるのだろうか？』と心配になるような、全く子どもに寄せてないネタが大爆笑をとることもあります。私たちも何がウケるのかわからないです」 
<figure id="attachment_272168" aria-describedby="caption-attachment-272168" style="width: 2000px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="8f6b565e"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/10/5-1.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-272168" class="wp-caption-text">「中には学校のお笑いクラブに入っている子もいて、お笑い好きな子どもがすごく増えていますし、見る目もしっかりしているなと思います」</figcaption></figure>
<h3>辛辣な意見が飛び交う「ダメ出し」コーナーからは特番も誕生！</h3>
後藤「この子どもたちのダメ出しコーナーがすごくウケて、『診療中！こどもネタクリニック』という特番が生まれました。
芸人のネタを子どもにウケるためにはどうしたらいいのか、子どもが医者にふんしてアドバイスという名の治療をするという番組なんですが、忖度のない素直だけど辛辣な意見が単純に面白いし、見ている方もいろいろと考えさせられるんです。
勇気のある芸人さんには、ぜひこちらにも出演していただきたいです（笑）」
――今後、子どもたちにとってどんな番組になるのが目標ですか？
後藤「まじめな話になるんですが…子どもたちの笑ってる顔って本当にいいんですよね。コロナ以降、地方での収録ができなかったんですが、今年は山形県や福島県などで番組収録ができました。
ネタの中で芸人さんが客席に向かって『みんなで一緒にやりましょう！』と声をかけたら、子どもも大人も関係なく500人以上の人が一緒に同じ動きやギャグをやってくれて。それが、本当に楽しそうで。コロナで規制が多かったなかで、子どもたちはこういうのを待っていたんだなと思いました。NHKとして、全国の子どもたちに笑いを届ける番組を作っていかないといけないと、この時に改めて思いましたね」 
<figure id="attachment_272082" aria-describedby="caption-attachment-272082" style="width: 1920px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="9598e2d6"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/10/6.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-272082" class="wp-caption-text">福島県相馬市でおこなった公開収録「小島よしお vs あばれる君」</figcaption></figure>
村田「昨年、NHKのSDGｓイベント内で『わらたま』の収録もおこなって、久しぶりに玉入れで投票しました。席から動かずにバケツに入った玉を投げてもらったんですが、その時の子どもたちの目がキラキラ輝いていて、本当に楽しそうで。収録後、『玉入れが楽しかった！』という感想もたくさんもらいました。早く、スタジオ収録できる日が来てほしいですね」
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後藤「わらたまに出てもらっている（以前「オンバト」で活躍されていた）ベテラン芸人さんから『最近、子どもたちに名前を覚えてもらえなくて、「わらたまの人」っていわれる』と言われたことがあります。
子どもの成長は予想以上に速くて、2～3年経てば世代が変わるような感覚です。かつて一大ブームを作ったようなベテラン芸人さんでも、今の子どもたちにとっては新しい芸人さんなのでしょう。そして、親にとっては懐かしみながら見てもらえる番組だと思います。今後、活躍する若手の応援ももちろんですが、復活も含めたスターがたくさん生まれたらいいなと思っています」
<figure id="attachment_272083" aria-describedby="caption-attachment-272083" style="width: 2000px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="950b8eb9"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/10/7.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-272083" class="wp-caption-text">村田「出演してくださるパパ・ママ芸人さんが、自分の子どもに「出たよ」と自慢できる番組になれたらいいなとも思います」</figcaption></figure>

WEBを中心にフリーライターとして活動。また、書籍や企業PR誌の制作にも携わっている。専門分野は持たずに、歴史・お笑い・健康・美容・旅行・グルメ・介護など、興味のそそられるものを幅広く手掛ける。

安倍川モチ子

番正しおり

「日本一子どもにウケるお笑い芸人」を目指し、芸人が対決する子供向けお笑いネタ番組・Eテレ『わらたまドッカ〜ン』。かつて一大ブームを作ったベテラン芸人さんでも、今の子どもたちにとっては新しい芸人だ。

お笑いの英才教育！？話題のバトル番組『わらたま』の舞台裏

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