ロシアが「汚い爆弾」を原発に使用可能性の「戦慄シナリオ」 | FRIDAYデジタル

ロシアが「汚い爆弾」を原発に使用可能性の「戦慄シナリオ」

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ウクライナが「汚い爆弾」を使用しようとしていると訴えるプーチン大統領。しかし論拠は瓦解している(画像:ロイター/アフロ)
ウクライナが「汚い爆弾」を使用しようとしていると訴えるプーチン大統領。しかし論拠は瓦解している(画像:ロイター/アフロ)

ウクライナの国営原子力企業「エネルゴアトム」が、SNSに恐ろしい投稿をしたのは10月25日のことだ。

〈ロシア軍が(ウクライナ南部)ザポリージャ原発の使用済み核燃料の貯蔵施設に対し、無許可の工事を進めている。放射性物質を狙ったテロ行為だ。「汚い爆弾」を、ウクライナの自作自演にみせかける準備に入った可能性がある〉

「汚い爆弾」とは、放射性物質を拡散する爆弾または装置のことだ。核兵器の核爆発と違う手段で放射性の汚染物質を広範囲にバラまき、敵対する勢力の被害を大きくする狙いがある。

「ロシアの主張は、ウクライナの言い分と真っ向から対立しています。プーチン大統領は10月26日に開かれた旧ソ連構成国の情報機関幹部らとのオンライン会議で、こう話したんです。『ウクライナが「汚い爆弾」を使う懸念がある。原発で使用し、それをロシアのせいにしようとしている』と。

ロシアは証拠としてSNSに放射線マークの入った丸い物体の画像を投稿し、ウクライナが作った『汚い爆弾』だとしました。しかし、すぐにスロベニア政府が反発。画像は同国が10年ごろに撮影したもので、中身は『単なる煙探知機』だとし『フェイクニュース』と反論したんです」(全国紙国際部記者)

ダムに仕掛けた爆弾の恐ろしい狙い

「ウクライナの自作自演」という主張を論破された形のプーチン大統領。ロシア軍は、どのようにして「汚い爆弾」を使おうとしているのだろうか。戦慄のシナリオを明かすのは、ロシア情勢に詳しい筑波大学名誉教授の中村逸郎氏だ。

「南部ヘルソン沿いを流れるドニエプル川のダムに、爆弾を仕掛けているという情報があるんです。水力発電所や堤防を破壊し、ヘルソン一帯を水浸しにしてウクライナ軍の侵攻を遅らせようと。実際に『併合』したと主張するヘルソンの住民には、避難指示を出しています。

ダムの爆破には、もう一つの恐ろしい狙いがあります。ザポリージャ原発への水の供給をストップさせ冷却システムを不能にし、6基の原子炉から放射性物質を拡散させようとしているんです。ザポリージャは、ヨーロッパ最大級の原発。爆弾の中に放射性物質を内蔵させるより、人類への被害ははるかに大きいでしょう」

プーチン大統領は、核兵器の使用も示唆し続けている。米国のバイデン大統領は「安易に使えばアルマゲドン(世界最終戦争)は避けられない」と牽制。破滅的な結果を招く恐れがあるのだ。中村教授が続ける。

「プーチン大統領が核兵器を使用する可能性はありますが、あくまで最終手段です。使えば世界大戦に発展しかねず、ハードルは相当高い。当面の狙いは、戦争の責任をウクライナのせいにすることでしょう。劣勢をくつがえすには放射性物質など『汚い手段』に頼らざるをえない状況ですが、あくまでウクライナの仕業としてすり替えたいのです」

窮地に追い込まれたプーチン大統領の選択肢は、日に日に少なくなっている。

  • 写真ロイター/アフロ

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