<figure id="attachment_273983" aria-describedby="caption-attachment-273983" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="f0bb4e6a"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/11/00fbed414b0c72ad54036a23db043a53.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-273983" class="wp-caption-text">右：批判の中、金利を引き上げず現在の政策を維持する黒田総裁 左上：セブン-イレブンがインドに初出店。海外のコンビニ展開が加速している 左中：インバウンドや国内旅行が再開すれば、航空関連の株も再浮上する可能性 左下：京セラは電子部品メーカーの代表格として成長</figcaption></figure>
梃子(てこ)でも動かない――いや、動けないのか。真意は図りかねるが、日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁（78）が抜本的な対策を打ち出さないうちに、為替相場は１ドル＝150円台の歴史的な円安に突入してしまった。先行きの見えない状況が続く中、食料品や家電製品などの値上げが止まらず、家計への負担は苦しくなるばかりだ。
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不安定な相場の時には、チャレンジングな株式投資は避けたいところ。ちょっとしたことでは業績が崩れない「底力のある」円安メリット銘柄を、投資のプロに聞いた。
まず挙げられるのが、インバウンド需要の復活で売り上げ回復が期待される銘柄だ。日本への入国制限が緩和された今、「安いニッポン」を買い求める外国人観光客の姿が徐々に戻ってきている。経済ジャーナリストの和島英樹氏は次のように語る。
「インバウンド関連では、コロナ禍で大きなダメージを受けており、需要が復活しても資金や人手が枯渇して攻勢に転じられない企業もあります。そのため、資本に厚みがある企業のほうが『買い』だと言えます。爆買いの復活という点では、高級化粧品で世界的なブランド力を持つ資生堂や、『グランドセイコー』など高価格帯腕時計の人気で業績好調のセイコーグループといった銘柄が比較的手堅いと言えるでしょう。また、インバウンド銘柄の定番ですが、ＡＮＡホールディングスの株価復調も望まれるところです」
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かつて訪日外国人で賑わった百貨店や量販店も、売り上げ回復の機運が高まっている。コロナの影響で大きく業績を落とした高島屋や、中国人観光客に根強い人気があるビックカメラといった銘柄は、まさに今が仕込み時だ。
円安に乗じて、物品だけでなく「企業」も外国人に買われている。こうした時に需要が出てくるのが、人材派遣に関連するビジネスだ。株式アナリストの佐藤勝己氏が言う。
「円安で日本企業を買収しやすくなると、外資系にマッチする管理職級の人材が重要視されるようになります。ハイクラスの転職エージェントであるＪＡＣリクルートメントは、こうした需要に応えられる数少ない企業と言えるでしょう。また、反対に海外で外貨を稼ぎたいという日本人も増えてきています。企業もグローバル人材の育成に躍起です。オンライン英会話サービスで最大手のレアジョブは、個人と法人両方の需要に対応できるのが強みです」
爆買い需要を享受する企業の他に円安メリットがあるのは、外貨を現地で稼げる企業だ。そうした銘柄をピックアップする上では、「海外売上比率」に着目するのがセオリーだ。内需のみで売り上げを伸ばすのが難しい今、海外売上比率が高い、または高めようとしている企業に投資家からの買いが入る傾向がある。
「セブン＆アイ・ホールディングスは国内流通トップですが、上期の海外コンビニエンスストア事業の営業利益が前期比約２倍と好調を維持しています。先細りの傾向にある国内ではプライベートブランド商品（セブンプレミアム）を強化して売り上げを確保し、海外進出を加速させるという戦略が奏功するかに注目です。 

また、グローバルニッチな需要を押さえている企業としては、’22年３月期で海外売上比率が71％に達しているｓａｎｔｅｃの成長に期待です。光測定装置などの製造を手掛ける同社ですが、米国で白内障の手術件数が増加しており、手術に必要な測定装置の販売が伸びているのがプラス要素です。今期の業績は好調で、円安によってさらに上振れする可能性も出てきます」（フィスコのアナリスト・白幡玲美氏）
「ブランドは国内で有名だが、海外で稼いでいる企業」のひとつが、ヤマハ発動機だ。’21年度の売上高構成比を見ると、国内での売り上げはわずか8.7％しかない。ボートや水上バイクなど、利益率の高い富裕層向けの商品が北米でヒットしていることが業績を支えている。
<div data-friday-nextpage-lead="日本のエンタメはここでも有力"></div>
<h2>エンタメ業界も有望</h2>
円安に苦しんでいる業界といえば、原材料の高騰が続く外食産業が真っ先に挙がる。それでも、海外進出に積極的な企業はまだまだ成長の伸びしろを持っていると言えるだろう。ＤＺＨフィナンシャルリサーチの小松弘和氏は次の銘柄を挙げた。
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「『丸亀製麺』などを運営するトリドールホールディングスに注目です。丸亀製麺ブランドを始め海外の店舗展開に積極的で、現段階の利益貢献度は低いものの今後に期待できます。海外で丸亀製麺ブランドが浸透すれば、訪日観光客の来店が増えるかもしれません」
円安でも原材料費が高騰することなく、海外の需要もしっかりと確保している。そうした究極の「内製・外需型」といえる業界が、アニメやマンガなどのエンタメ産業だ。その中から有力な銘柄を、証券ジャーナリストの今野浩明氏が推す。
「アニメ制作大手の東映アニメーションは『スラムダンク』や『ドラゴンボール』などのビッグタイトルの版権を持っています。足元では海外での版権事業が好調で、今後の展開に期待できます。また、今年上場して話題になったのが、『にじさんじ』など有名ＶＴｕｂｅｒを運営・マネージメントするＡＮＹＣＯＬＯＲです。『にじさんじ』は英語での動画配信にいち早く力を入れたＶＴｕｂｅｒグループのひとつで、海外投資家にも注目されています」
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海外シェアが大きく、経営も盤石な「安定株」を見ていこう。今野氏が続ける。
「消化器内視鏡の世界シェア７割を誇るオリンパスは、世界的なインフレや景気後退の影響を受けないディフェンシブ銘柄として候補に挙がります。海外からの根強い需要に支えられているのが、カメラ製造のニコンです。旅行需要の回復が追い風になるほか、半導体や電子部品の製造に必要な露光装置、関連機器も手掛けており、地力のある企業といえます」
配当で稼ぐ「ほったらかし投資」に最適なのが、広島銀行が中核になっているひろぎんホールディングスだ。現在の株価は600円台で推移しているため手が届きやすく、配当利回りは4.41％と高い。’23年には広島でサミットが開催され、インバウンド需要で地域経済が潤うというプラス材料もある。
最後に、前出・白幡氏は次のような「安定株」を挙げた。
「電子部品大手の京セラは海外拠点が多く、海外売上比率も60％超と高い水準です。同社は連結売上高で過去最高を更新し、配当の増配も予想されています。また、塩化ビニル樹脂や半導体シリコンで世界シェアトップの信越化学工業も業績好調で、安定したハイテク材のサプライヤーとしてシェアを維持していくでしょう」
外貨を稼ぐ力を持っている、底堅い企業に投資するのが、超円安時代にすり減る資産を守る手段のひとつだ。
<figure id="attachment_273980" aria-describedby="caption-attachment-273980" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="87b535a2"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/11/286eb115a3e6300bcd9da98072d6b6e1.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-273980" class="wp-caption-text">ANYCOLORが運営・マネージメントするVTuberグループ『にじさんじ』は、英語コンテンツの制作にも注力して世界のファンを獲得（公式サイトより）</figcaption></figure>
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『FRIDAY』2022年11月18日号より

共同通信社　アフロ

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