金田久美子スペシャルインタビュー「挫折と苦悩の11年189日」 | FRIDAYデジタル

金田久美子スペシャルインタビュー「挫折と苦悩の11年189日」

超スパルタの父、初優勝後に受けたSNSでの誹謗中傷、ドライバーチーピン連発の大スランプ…… 「金髪ミニスカ」スタイルを貫くヒロインは、何を乗り越え2勝目にたどり着いたのか

  • Facebook シェアボタン
  • X(旧Twitter) シェアボタン
  • LINE シェアボタン
  • はてなブックマーク シェアボタン
取材には父の弘吉さんも参加。競技を始めて以来、30年にわたり共に歩み続ける二人。この日も取材が終わると一緒にカートに乗り、コースへ向かっていった
取材には父の弘吉さんも参加。競技を始めて以来、30年にわたり共に歩み続ける二人。この日も取材が終わると一緒にカートに乗り、コースへ向かっていった

「驚いたのが、たくさんのギャラリーが私の一打一打に大きな声援をくれたことです。私はいつもヒール役なので(苦笑)。それが何より嬉しかったです」

“キンクミ”でおなじみの女子プロゴルフ・金田久美子(33)は、優勝した『三菱電機レディス』をそう振り返った。

’11年に21歳で初優勝して以来、現行制度では最長ブランクとなる11年189日ぶりの2勝目を挙げた。ウイニングパットを決めた後は、人目もはばからずに号泣。それだけ、今回の1勝の裏には多くの挫折や苦悩があった。

父の弘吉さんの影響で3歳からゴルフを始め、小学3年生のときに世界ジュニアで優勝。タイガー・ウッズ(46)と同じ8歳での快挙により、キンクミは天才少女と呼ばれるようになった。一方、私生活では小学5年生のときに両親が離婚。以来、男手一つで育てられた。

「毎日ゴルフ漬けの日々で、学校の友達と遊んだことはほとんどありません。学校行事も参加させてもらえず、帰ったらすぐに練習場に連れていかれて、土日は必ずラウンド。それが嫌で、中学生のときには家出したこともありました」

父とは何度もぶつかり合った。だが、そんな父の存在が、ゴルフを続ける原動力でもあったという。

「中学3年生のとき、お父さんが倒れて入院したんです。病院に行ったら『ちゃんと練習しているか?』って聞かれてビックリ。でも、心配ばかりかけていたら本当にお父さんが死んじゃうと思って、真剣に打ち込むようになりました」

プロ3年目で初優勝を遂げた、『フジサンケイレディスクラシック』の裏でも、盛大な親子喧嘩が繰り広げられていた。

「最終日前日、50ヤードを寄せる練習で、うまくいかずにイジけて泣いていたら、『ふて腐れるなら練習やるな。泣くならやめろ!』って怒られて。こっちも意地になって、雨が降る中で必死に練習しました。翌日はその距離がビタっと決まって、お父さんにドヤ顔しましたね(笑)」

初優勝の後、誰もがすぐに2勝目を挙げると予想した。だがプロの世界は甘くはなかった。なかなか勝てない金髪ミニスカの”元天才少女”には、心ない声を浴びせるファンもいたという。

「結果が出ないと、SNSで酷(ひど)いことを言われましたよ。見た目もあってか、『全然練習してないんじゃないか』なんて批判は日常茶飯事でした」

’11~’13年、’15~’16年は賞金ランキング50位以内に食い込み、シード権も獲得した。だが、ここからスランプに陥る。

「5~6年前が一番しんどかったです。ドライバーはキャリーで140ヤードのチーピンしか打てなくて、セカンドショットも、どんなに大きいグリーンでも乗せられない。50㎝のパットが入らない時期もありました。ゴルフ場に行くだけで涙が出てきて、吐いたり、蕁麻疹(じんましん)が出たりで、メンタルを保つのが難しかった。こんな恥ずかしいゴルフなら辞めたほうがいいと思い、引退も考えました」

それでも歩みを止めなかったのは、やはり父の存在があったからだ。

「数年前からお父さんの体調が悪化して、試合会場にも来られなくなってしまいました。生きているうちに、もう一回優勝する姿を見せたい。その一心で再び練習に打ち込みました。
よく聞かれるんですが、具体的なターニングポイントがあったワケじゃないんです。諦(あきら)めずに続けてきたことが、やっと実を結んでくれた。試行錯誤する中で、力を抜いたハーフスイングで、コントロール重視で戦うスタイルを身に付けました。手ごたえがあったのは今年6月の『アース・モンダミンカップ』。7位タイに入れたことで、自信を取り戻せました」

長いトンネルを抜けたキンクミ。今後について聞くと、笑顔で目標を答えた。

「納得できるまで、自分の理想に近づくまで続けたい。メジャータイトルよりもまずは3勝目。ベテランだけれど、まだまだ若い子には負けません!」

トレードマークの金髪&ミニスカも続けていくつもりだという。これからも、自分らしさを貫いて戦い続ける。

小学生時代からプロの試合に出場するなど、天才少女と呼ばれたキンクミ
小学生時代からプロの試合に出場するなど、天才少女と呼ばれたキンクミ
16歳で出場した日本女子オープンでは17位に食い込んだ
16歳で出場した日本女子オープンでは17位に食い込んだ
本誌未掲載カット 金田久美子 天才ゴルフ少女「挫折と苦悩の11年189日」スペシャルインタビュー
本誌未掲載カット 金田久美子 天才ゴルフ少女「挫折と苦悩の11年189日」スペシャルインタビュー
本誌未掲載カット 金田久美子 天才ゴルフ少女「挫折と苦悩の11年189日」スペシャルインタビュー
本誌未掲載カット 金田久美子 天才ゴルフ少女「挫折と苦悩の11年189日」スペシャルインタビュー
本誌未掲載カット 金田久美子 天才ゴルフ少女「挫折と苦悩の11年189日」スペシャルインタビュー
本誌未掲載カット 金田久美子 天才ゴルフ少女「挫折と苦悩の11年189日」スペシャルインタビュー
本誌未掲載カット 金田久美子 天才ゴルフ少女「挫折と苦悩の11年189日」スペシャルインタビュー
本誌未掲載カット 金田久美子 天才ゴルフ少女「挫折と苦悩の11年189日」スペシャルインタビュー

『FRIDAY』2022年11月25日号より

  • 取材・文金 明昱(キムミョンウ)PHOTO川柳まさ裕(1枚目) 金澤智康(2枚目) 香川貴宏(3枚目)撮影協力ニューキャピタルゴルフ倶楽部【PGM】

Photo Gallery7

FRIDAYの最新情報をGET!

Photo Selection

あなたへのおすすめ記事を写真から

関連記事